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七話《木の上に登り、二人で街を見る》


 炎を放つと、木が急成長するなんていう異常なことに戸惑った僕は、急いでステータスを開いた。



名前……ショウ 

性別……男

レベル……60 ポイント0

筋力値……9880

防御値……350

魔力……10

魔防……350

俊敏値……9200


魔術

……急激成長(フレイムバースト)

剣術

……なし

スキル

……レベルブーストC

能力

……『どんなものでも消しゴムに出来る能力』


急激成長(フレイムバースト)

えーっと、効果とか見れないかな?

そう思うと、急激成長(フレイムバースト)と、書かれたところの下に、説明文が現れた。

どれどれ……?


急激成長(フレイムバースト)……名の通り、使うとその使われたものが、急激に成長する炎を放つ。

が、相手にダメージを与えようと考えれば、普通の炎として、力を発揮する。

因みに、成長の効果は一時的なものである。


と、書いてあった。

なるほどなぁ……。だから木は燃えずに成長したってことか。

それにしても、なぜ僕は普通の炎じゃなく、こんなものを出せるようになったのだろうか?

もしかして、イリアの魔法授業のおかげ?

イリア先生凄すぎます!



 と思いイリアを見ると、イリアはまだ笑っていた。

うん……絶対イリアのおかげじゃないな。

ただの偶然だろう。

というか、イリアがこんなに笑っているということは、こんな魔法を初めて見たってことだよな?

まさか僕、かなりのレア魔法的なの覚えちゃった?

ひゃっほううぅ!

喜んでは見たものの、やっぱり虚しくなった。

でも、あることを思いついた。


「そうだイリア、せっかくあれだけ大きな木があるんだ。登らないか?」

「確かにね! 私、あんなに大きい木を見たの初めて! 登りたい登りたい!」

「じゃあ、行こっか」

「ええ!」


小走りで木まで近づく。

やっぱり、近くで見ると迫力が違う。

ただでさえデカかったあの木が、五倍くらいデカくなっているのだから、当然といえば当然だろう。


「これ……登るの? ショウ。私には無理よ」

「大丈夫だよ。ほら」


言って僕はイリアをお姫様抱っこした。


「わわっ! ショウ、どうしたの⁉︎」


少しだけイリアの顔が赤い。

照れてるのか?


「僕がこのまま、木の上まで上がるよ」

「無理だよ、そんなの」

「大丈夫だよ。僕を信じてくれるんだろ?」

「うん」


イリアがそう首を縦に振った瞬間、僕は走り出した。

この俊敏値なら、木の上にイリアを抱えたまま上がるくらい、余裕だ。

あっという間に僕は、木のてっぺんまでたどり着いた。

ゆっくりとイリアを木の太いところに座らせる。


「わあぁ……ショウ、見て。すごく綺麗よ」

「そうだね。イリア、あっちには街が見えるよ」

「街……?」

「街っていうのは村より大きな、村みたいものだよ。村の……進化版みたいな感じ」

「ふーん……街かぁ。私たちが冒険者になったら、あんなところに行ったりもするのかな?」

「さぁ? するんじゃないのか?」

「楽しみね、ショウ」

「そうだね、イリア」


その後もお昼まで僕たちは、ずーっと木の上で、遠くに見える街や、森、山に平原、と、様々なところを、一緒に見ていた。


「あ、ごめん、イリア。僕はそろそろ帰らないと」

「え? もうそんな時間なの?」

「太陽を見る限り……うん、もうお昼だよ」

「そっかぁ、残念。じゃあショウ! 明日も遊ぼうね?」

「あぁ、約束だ」


そう言って僕は、イリアを抱え、木の下に戻った後、家に帰った。



 家に帰ると、父さんがニヤニヤしていた。


「どうしたんだよ、父さん」

「いや、さっきお前に言った良いことが起きるっていう件だがな。なんと今日中に起きるぞ。楽しみにしておけ」

「ふーん……」


なんなんだろうか? 良いことって。

そう思いながらも、昼食を済ませ、僕は自分の部屋に行った。

昼からは、消しゴムタイムである。

消しゴムの能力を試したり、消しゴムを観察するのだ。

まぁ、そんなことをしていて、気づくともう夜になっていた。



 夕食だが、何故か今日はいつもより異常に豪華だった。


「父さん、これが良いこと?」

「ん? あぁ、これはまぁその良いことの前哨祝いみたいなものだ」

「へぇ……ま、良いや。いただきます!」


やっぱり母さんのご飯は美味しかった。


「美味しかったよ母さん」

「当たり前よ。私が作ったんだから」


母さんはいつも通り自信満々にそう言って笑う。

ふぅ……それにしても食べ過ぎた。

もうお腹いっぱいだ。

それに今日は良く運動もしたし、眠たくなってきた。


「母さん、父さん、今日はもうお風呂に入ったら寝るよ。すごく眠たい」

「ん? そうか。寂しいなぁ」

「父さん……寝るくらいで何が寂しいんだよ」

「いや、別に……」

「ふーん……」


変な父さんだ。

それから、僕はお風呂に入り、自分の部屋に向かった。


「あぁ……眠い。でも、明日もイリアと遊ぶし、早起きしないとな」


そんなことを呟きつつ、僕は布団に入る。



 そして、気づくと僕は、目隠しをされ、手足を拘束されていた。


「え……?」



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