表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/29

一話《転生》


 気づくともうすでに、僕は転生していて、赤子として、ある一家の中心にいた。

大きな男と、優しそうな女が、僕を見て笑顔になっている。

多分、この二人が、父と母なのだろう。

それよりも、さっきから困ったことに身体が動かない。

えーっと……つまり、まだ生まれたばかりということか。

言葉も出せないし、不便極まりないな。

ゲームみたいに、動けるようになるまでスキップ出来たりしないかな?


『スキップしたいのですか?』


すると頭の中に、僕を転生させた神様の声が聞こえた。


『え? 神様……ですよね?』

『えぇ、神です』

『なんで、急に……』

『貴方が動けるようになるまでスキップしたいと言ったからですよ』

『えーっと……出来るんですか?』

『もちろん、神ですから』


最後に『では、また……』と神様が言い、気づくと、僕は立っていた。


「あれ……? 動けるようになってる」


あ……話せるようにもなってるじゃないか。

えーっと、僕って今何歳なんだ?

ふと、手を見てみる。

大きさからして……いや、全く分からない。

手の大きさで何歳かなんて分かるわけがない。


「うーん……?」


僕が何歳かの確認のため、周りを見渡す。

木で出来た家……か。

家具とかも見たことのないくらい古いのばかりだし……時代としてはかなり昔に来たようだな。

あ、そうだ。

こんな時でも便利なアイテム、神様があった。


『神様』

『次はなんでしょうか?』

『ここって……どんな世界なんですか?』

『えーっと、俗に言うところの、剣と魔法のファンタジーな世界ですね』

『なるほど……ありがとうございます』

『はい、質問はそれだけですか?』


あ、一番重要な、僕の年齢を聞くのを忘れていた。


『あの、僕って今、何歳なんですか?』

『一歳と少し……と言ったところですね』

『ふーん……あ、後もう一つ、聞きたいことがあるんですけど』

『まだあるのですか?』

『はい、神様の……名前、知りたいんですけど』

『名前ですか。名前は……ありません。好きなように呼んでください』


好きなように……か。

じゃあ消しゴムの英語であるイレイサーからとってレイ。


『神様、僕は貴方をレイと呼びます。良いでしょうか?』

『レイ……ですか。良いですね、その名前。気に入りました!』

『そう言ってくれると嬉しいです』

『あの……』

『ん? 何ですか? レイ」

『出来れば、敬語は良してください』

『はぁ、そう言うのなら……分かりました。いや、分かったよ。レイ」


敬語……嫌なのか。

まぁ敬語って壁があるような印象……あるもんな。


『では、また何かあれば』


そう言ってレイは、僕とのテレパシー? みたいなのものを終了させた。

さてと……とりあえずは、家を一通り見て回るか。

そんな風に思い、くるりと振り向くと、大きな男が立っていた。


「父さん……?」


いや、違う。

一年と少し経ってはいるだろうが、ここまで人の顔が変わるなんてこと、普通はないはずだ。

父さんはもっと優しい顔をしていた。

こんないかにも泥棒みたいな顔はしていない……って、ん? 泥棒?


「留守かと思って来てみればぁ……ガキがいるじゃねえかぁ」


やっぱり泥棒だ! こいつ。


「……っ」


どうすればいいんだ?

僕、まだ一歳だぞ?


「まぁ、良い。おい! ガキ、家の中を案内しろ」


……素直に従うべきか?

いや、ちょっと待てよ。

確かに僕はまだ一歳。

この世界に来て、ほんの少ししか経っていない。

剣も魔法も使えるわけがない。

けど……能力があったじゃないか。

レイから貰った、なんでも消しゴムにする能力が……!


「って使い方わかんねえよっ!」


説明書とか付けといてくれよ……。

不親切だなぁ、レイ。


「あん? 何言ってんだよ。ガキ」

「貴方、さっきからガキガキうるさいですねぇ……。僕はこう見えても高校生ですよ?」

「高校……生? 何言ってるんだ?」


あ、この世界って高校とかないんだ。


「……えーっと、そうだ。泥棒さん」

「ん?」

「消しゴムって知っていますか?」

「消し……ゴム?」


やっぱり知らないか……。

それより、こんな風に、父さんか母さんが帰ってくるまで時間稼ぎするしかないのか……?

僕なんて、消しゴムの話しか出来ないから難しいぞ?


「えーっと消しゴムというのはですね。白くて、四角で、あの……えーっと」

「……? 何言ってるんだガキ。良いからさっさと家の中を案内しろよ」


くっ……!

こいつ、消しゴムにしてやろうか?

そう思った時だった。

泥棒の身体が光りだし、光が収まった次の瞬間、泥棒は消しゴムになっていた。


「え……?」


もしかして、思うだけで消しゴムにすることが出来るのか?

ちょっと……強すぎないか? これ。

というか、消しゴムにする能力……と言うから、普通のサイズの消しゴムになるんだと思っていたけど……。


「……大きすぎるだろ」


そこには、人間サイズの消しゴムがあった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ