妖精の住む森
ついたさきは紅葉が綺麗な森だった、今は夏じゃありませんでしたっけ。
「勇者様、ダンジョンにはモンスターがいます。危険なのでこれを装備してください」
ロングソードに重そうな鎧を差し出され当惑する俺。これも彼女を助け出すためだから仕方が無いか。
「うっ、おも・・・」
「きゃーっ、助けて」甲高い悲鳴が聞こえる。お決まりのこれですか
「勇者様、いってみましょう」
しぶしぶ駆けつけた俺が目にしたのは、とがった耳にブロンドの髪、くりっとした目をした蝶のような羽を持つ女の子だった。台のようなものに縛り付けられて、周りをゴブリンたちが踊っている。
俺は刀を持って突撃した、一匹を刃が貫くと他の鬼たちもこちらに気づいたようだ。金棒が空を切って振り下ろされるが、余裕を持ってかわした。余裕を持って勝利を収め、エルフを救うことに成功したようだ。
「大丈夫だったか」
縄を解いてやると、少女はいきなり俺に抱きついてきた。豊かな胸が当たり俺は動揺した。
「はっ、照れてやんの。まあいいや、私の名前はエディ。助けてくれたお礼に仲間になってあげるわ。駄主人様。その前にばあちゃんに話がしたいから私たちの村によっていって頂戴。」
はきはきとしたしゃべり方にひるんだ俺は、何も言えないまますぐ近くにあると言う彼女の村によることにした。
森を直進した場所にエルフの村はあった。綺麗な小川が流れ、そこにいるエルフも皆とびきりの美少女ばかりだった。森の高台に一人の老女を見つけた。
「ばあちゃん、私旅に出ることにしたの」
「おやまあ、どうしたんだい。いいことだよ、旅は経験をつませてくれる。ところでそこにいる男性は人間だね、なかなか優しそうな方じゃないか」
「それは当然よ、なんと言ってもこの私の結婚相手なんだから。じゃ、またね。ばあちゃん」
「おやまあ、それはびっくりすることだ。じゃあ、これは村に伝わる復活の秘薬だよ。ぜひ受け取ってくれ」
俺はお礼を言って受け取り、紫色に輝くその液体を眺めた。エディは返事もせずに俺の背中を押して、村を出て行くのだった。
出て行くとすぐ近くに、新しい扉を見つけた。入ってみると、中は雪の降る針葉樹林だった。
「ううさむい、こんな場所いる意味あんの?早く出て行こうかしら」
「勇者様、メデューサの群れがいます。早く倒してください」
言われて顔を上げた、俺は目の前を見る。数メートル先には女性がいた、みんなかなりの美女だ。しかし奇妙なことにその髪の毛は蛇で構成されており、目は真っ赤。突如、その目から光線が発射された。鋭い痛みが俺を貫いた瞬間、体が動かなくなった。
目の前でラミエルが泣きそうな顔をする、エディも怒りながらも不安そうだ。大丈夫、そういいたいのに声が出ない。
「森の妖精の名にかけてこの者を治癒する。サンクチュアリ」
とたんに痛みがなくなり、体が自由になった。
「ありがとう、エディ」
「・・・べつにっ、自分まで危なくなりそうだったから。仕方なくやってやっただけよ。あんたのためじゃ、ないんだから」
顔を真っ赤にして俯くエディ。
「よくも勇者様をっ。この、不細工っ」
ラミエルが怒りながら光弾を飛ばす、弾は弾けながら爆発を起こして怪物を駆除していく。
「もうお前だけいれば純くらい倒せるんじゃね」
「やだっ、そんな。ほめすぎですよ」
黒焦げになった魔物の残骸を前に笑うラミエル。初めてこいつに恐怖を覚えたわ
次の扉をくぐると、そこには看板があった。「祭壇前、注意」
面倒くさかったので、俺はそのまま前に進む。




