美少女天使現る!?
俺の親友の八神 純はイケメンで成績優秀、運動神経抜群で完璧なんだけど性格が悪い。
「こんな無意味な世界で生きるって意味ないよな。戦争でも起きればいいのに」
「何言ってんだよ。俺死ぬのも殺すのもいやだって」
公園で話す俺たち。純に向き直ると夕闇に照らされた目は氷のように俺を射抜いていた。体温が抜ける不気味さだ。しかし本当の恐怖はここから始まった。
純は抱えていた猫の目を抉り、俺は声にならない悲鳴を上げた。厚い本を抱え猫の首を刃物で取ってブツブツ呟く純。
「生贄を与える。神に背きし7人の大天使よ、偉大なる力を我に与えよ。」
純は手のひらを切り付け加える
「さあ、我と血の契約を」
無数のカラスが飛び立つと、純の姿はマントを着たタキシード姿に変わり目は蛇のように俺を見据え不敵に微笑んでいた。
「俺お前のこと殺そうと思ってたんだ」
どうしてなのか、いつからなのか聞きたいのに声も出ない。長い足から繰り出されるキックが顎にあたり、俺は無様に倒れた。
「レヴィアタンよ、我に水の力を」
噴水の水が重い水の固まりになって襲い掛かってくる。さらに尖った槍のようになって俺の脚を貫いた。悲鳴を上げてひざをついた俺に更なる絶望が襲い掛かる。
「ルシファー、時空を行き来する時の王者よ。」
浮かび上がった魔方陣から出てきたのは俺の彼女だった。小柄な美少女で優しい彼女は俺の自慢だった。だが彼女は意識を失っているかのように人形のように虚ろな目をしている。
「お前の大切な人を殺してあげる」
「どうしてだよ」泣きながら尋ねた俺への彼の返事は残酷だった
「楽しいから」
純が何か唱えようとしたが、辺りを白い閃光が包んだ。純は顔を歪め、彼女を道連れに魔法陣の中に消えた。
目を凝らすと目の前には、俺と同い年くらいのかわいい女の子がいた。さらさらの黒髪ロングヘアーの彼女は真っ白いドレスのようなものを着ていて、翼が生えていた。俺はもうすぐ死ぬのか。
「私は大天使ラミエル。お願いします。勇者様、私に力を貸してください。」
「俺に、何しろって言うの?」
「なんでもします。だから異世界で仲間を集めて、あの男を、魔王を倒してください」
「仲間って何?エルフとかいんの?かわいいの?」
「基本的には女の子ばっかな世界ですからね。エルフも吸血鬼もあなたに従順になると思いますよ。皆欲求不満ですし」
「マジマジ?やったー、彼女も助けたいし仕方ないなあ。はっ、早く助けなきゃ未来があいつに犯されるかも」
「勇者様、先に殺される可能性はありますけど、あの男に限ってそれはありえません。あの男は異世界で皆を殺しまくっていた殺人鬼なんですよ。あの男にとっては殺人こそ至高の快楽なんです」
「えっ、かわいこちゃんを殺しまくってんの?」
そう答えるとラミエルは悲しそうな顔になった。女子に手を上げる男は俺にとっては一番許せない輩だ。俺は決意をかためた
「勇者様、ありがとうございます」
「えっ、どういたしまして。じゃあそのたわわなおっぱいを触らせてよラミエルちゃーん」
「もう、仕方ありませんね」
長いまつげに縁取られた黒目がちな目を伏せるとラミエルは呟いた。
ラミエルに軽いセクハラを繰り返した後、彼女があけてくれた異世界への扉の中に入り込んだ。