5 いい人、の意味
さあ、もう少しで終盤です。
翌日、僕は翼に文化祭実行委員長について尋ねてみた。
「へえ、君が人に対して興味を持つなんて珍しいね……て、比沙子さん関係か」
「いいからさっさと教えろよ」
ぶっきらぼうに言う僕に、翼は苦笑した。
「と言われても、うーん、文化祭実行委員長ねえ。正直、僕はあまり接点ないから詳しくは知らないけど、……うん、まあいい人だよね」
「それは、姉さんも言ってた。いい人って何だよ、それじゃ人物像が曖昧でよくわからない」
「いい人って言ったら、いい人なんだよね。優しいし、人への気遣い出来るし、いわゆる大人? 上と下から突き上げくらって胃薬手放せない中間管理職っぽいおじさん? 女の人から、本当あなたっていい人よね、お友達として最高、って言われて恋愛対象から強制フェードアウトされちゃうような?」
翼の例えが何だか酷い。
しかし。
「……それって、いい人なのか」
「うん。とても良い、人なんだよね。人として。好きなタイプではあるなー」
「……恋愛対象外、なんだよな。女子からすると」
要は、そこが大事なポイントだ。
「うん、そうだね。一般的にはね。彼氏恋人通り越して、いい結婚相手、みたいな?」
「……ふうん」
「でも、比沙子さんって普通の女子とは何か違うし、わかんないよね。外見より中身重視っぽいし。本人は超美少女だけど」
「…………」
「もうさ、君告白しちゃえば? そんなぐじぐじしてるんならいっそスッキリするんじゃない。当たって砕けちゃえばいいよ」
翼の軽いその口調に、僕はギッと翼を睨んだ。
「それが出来れば苦労はないし、その砕けること前提って何」
「だって自分で言ってるじゃん。血の繋がらない姉弟なんだから、シスコンじゃないって。比沙子さん激ニブだから、黙ってたらいつまでたっても伝わらないし、進展もないよ? もしかしたら、言えさえすれば、うまく君の気持ちが成就する可能性だってあるじゃないか」
「……まだ、いい。姉さんを驚かせたくないし、きっと姉さんだって、まだ恋愛とかは早いと思ってるだろうし……」
「まあ、君がいいって言うならいいんだけど……」
翼は微妙な色を滲ませた笑みを浮かべて言った。
「後悔、することになっても知らないからね」
翼のその言葉が真実となり、嫌な予感が的中したのは、それから間もなくのことだった。
次回も早めに投稿てきるよう頑張ります。




