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第2話:W.E.陸軍特殊偵察局 アレン・ストリクス少佐

別視点で書くに当たって一人称にしてみました。習作なのでご容赦ください。

暗い会議室、中央のワイドスクリーンに僕らの仰ぐべき旗が映し出される。


Will of the earth。大地の意思。

それはつまり僕らが『大いなる意思の代行者』ということで、僕からしてみれば、かなり名前負けしているように思えた。

Will of the earth、通称W.E.は北アメリカ大陸を支配しているに過ぎない。現在僕らの国家は太平洋を挟んで極東企業連盟と、大西洋を挟んでユーロ・ポリスと、それぞれクリーン水爆を突きつけ合っている。大地の意思を自負するのなら、もっと地球環境をいたわってやっても良いだろう。いくらクリーン水爆でも、爆心地から半径十数キロを汚染(ある意味では洗浄だけど)しない訳にはいかないのだから。


「作戦企画の概要を説明します。まずこちらの写真をご覧ください」


眼鏡を掛けた、如何にもという感じの女性秘書官が話し始める。僕ら陸軍特殊偵察局の面々は、黙って前に注目した。


「現在本局が行方を追っている過激派ジャーナリスト、ソフィア・カーライル。ご存知の方もおられるでしょうが、彼女のブログ兼電子新聞 《ノブレスオブリージュ》にアップされた最新画像になります」


記念撮影だろうか。若い女が武装した男たちと一緒にピースサインを取っていた。背景は砂色の街並みで、明らかに北アメリカの文化圏ではないようだ。


「場所は中央アジア、極東企業連盟領セルヴィナ。映っている兵士たちは、地域宗教であるセルバ教の修道兵だと思われます。現在反極東連を掲げて東部の市街へと進撃中の民兵組織です」


僕は敬意を込めて彼女をカーライル女史と呼ぶ。Will of the earthという恵まれた先進文明圏に生まれながら、新聞ネタのためなら鋼鉄のカーテンすら潜り抜ける危険人物。22歳にして多くのパトロンと熱狂的読者を抱えていて、僕も個人的に興味があった。


「カーライル女史は地域紛争に加担している、ということかな? 極東連は僕らの敵なわけだし、情勢を掻き回してくれるぶんには問題無いように思えるけど」


そう言うと、非難がましい目で秘書官に睨まれた。


「わが国の人間が敵領内で紛争幇助を行っているとしたら、即開戦に発展しかねない国際問題です」

「そうだね、おおっぴらに出来ることじゃない」

「……どうも彼女は、民兵たちの進撃とは逆方向に移動しているらしいのです。つい先刻のブログ更新から割り出したことなので、作戦企画には後ほど追記させて頂きます」

「明確に加担しているとは言い切れないんだね」


では、カーライル女史の求めるネタは何か。

唐突に会議室の扉が開け放たれた。


「おそらく、民兵たちの源流を目指しているのだ。セルバ教総本山、狭義で言うなればセルヴィナ村」


その声に会議室の全員が総立ちで敬礼する。特殊偵察局局長ダグラス・バレット准将は年季の入ったキャップを脱ぎ、僕の隣の席に腰を下ろした。


「これはバレット准将、ご苦労様です」

「ガンシップの手配に手間取ってな。遅れてしまったが、話は理解している」

「……ガンシップとおっしゃいましたか」

「ああ。後は私が説明しよう」


特殊偵察局、というよりバレット准将は軍隊における規律を重視しない。いわく、誰の命令が正しいか解っていれば良いのだそうだ。

准将は座ったままの姿勢で声を張り上げた。


「諸君!特殊偵察局はソフィア・カーライルの保護を決定した。実行部隊は海軍の潜水母艦にて極東企業連盟の領海に進入、その後空軍より借り受けたVTOLガンシップにてセルヴィナ地域に向かう。対象を保護し、速やかに帰投せよ。概略は以上だ」


隠密作戦としては定石通り。だが、方々に移動手段を頼っている現状に、


「おんぶに抱っこですね」


と、誰かが呟いた。


「潜水母艦には海兵隊一個中隊も同乗する。ストリクス少佐に指揮は任せる。全力で甘えるといい」


他人が自分たちのために働いてくれるのは悪くない気分だ。それで給料を貰っているのだから、尚更。おまけにカーライル女史という魅力的な人に会いに行ける。

僕は少し、この作戦が楽しみになった。


「了解です。早速部隊を編成しましょう。とりあえず、マック、ジーン、アレックス、それと…………」

軍事にはあまり詳しくないです。この描写おかしい!とかあったら気軽にコメント戴けると嬉しいです。

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