表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/8

第1話:ジョエル・サンダーソン

早くSF要素を書きたいと思っています。あとバトルも。

「……クイーンは全方向に動く。距離の制限も無い」

「なんだ、そりゃあ。万能じゃないか」

「最強だが、万能とは違う。他の駒を飛び越えることはナイトにしか出来ない」


冬の朝早くから、働きもせずチェスに耽る男が二人。怠け者たちにとっての、冬の風物詩だった。傍らの暖炉が景気良くはぜ、盤を明るく照らす。


「しかし、その騎士を差し置いて最強とは、さぞ豪腕かつ健脚な女王様なんだろうな」

「戦女神のような存在だろう。アテナ、マルス、それにヴァルキリー。例はいくらでもある」


教え役の男は何ともなさげにそう言い、席を立ってラジオを弄り始めた。雪のせいか調子が悪く、垂れ流しの歌謡曲に雑音が入っていた。


「いい考えだ。それにしてもお前、ずいぶんと博識だな。チェスとやらもだが、前時代の神話なんて知ってる奴、そう居ないぜ」


結局ラジオの調子は直らず、男は諦めて窓の外を見やった。ますます吹雪いて、あの退屈で愛すべきリクエスト曲は当分聴けそうにない。


「以前旅先の都市(ポリス)で、図書館という施設に行ったことがある。それぞれの文明圏が造り上げた最高の物語だ…………ところで、大分天気が悪い。お前、いつまで居るつもりだ?」


もう一人の男はチェス盤に夢中で、外には全く気を払っていなかった。慌てて首を向けると、窓一面白銀。


「山の天気は変わり易くていけねぇ。頼む、俺ん家まで送ってくれよ」

「お前が勝手に来たんだろう」

「ちくしょう、せっかくこんな山小屋に遊びに来てやったってのに!」


ひどい反論を受け流してそのまま窓を眺めていると、吹き散る雪に混じって、ふと小さな影が近づいて来るのが見えた。影は家の玄関の前で止まり、律儀に二回、ドアノッカーを叩いた。


「僧正のお使い娘だな。仕事の催促か?ジョエル、俺は隠れるからな」


ジョエルと呼ばれたこの家の主は、こっそり物陰に隠れた友人をよそに客人を出迎えた。

扉を開けたジョエルの目に映ったのは、雪のような白髪の少女。寒冷地戦用コートと相まって、ほぼ真っ白だった。冷たい風に煽られた頬だけが赤い。


「おはようございます、ジョエル・サンダーソン。ご健在で何よりです」


彼女は見た目に合った高めの声で慇懃に挨拶する。あくまで社交儀礼、可愛らしい顔には欠片の好意も見られない。


「大僧正さまより伝言を預かっております」

「上がったらどうだ。なにか出そう」

「お気遣い恐れ入りますが、結構です」

「そうじゃない。俺が寒いんだ。用件なら中で聞く」


吹き込む屑雪に露骨に眉をしかめてみせる。一応として礼節を守る使いの少女は、結局家に上がらざるを得なかった。僅かに不服そうな色を滲ませ、


「では、失礼します。同志ソルジャー……」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ