ここまでのあらすじと、登場人物説明
あらすじ
人の世にあって最強の妖鬼と謳われる白珞族の千珠は、国を二分する大戦の最中、その混乱に乗じて鬼を滅ぼさんとした僧兵たちによって、一族を皆殺しにされてしまう。手傷を追いながらも僧兵の手を逃れた千珠は、瀬戸内にある青葉の国に迷い込み、命を救ってくれた青葉の棟梁・大江光政に鬼の力を貸すことを決意する。千珠は数多の敵兵をその手にかけ、青葉軍属する西軍を勝利へと導き、大戦を終焉へと導いたのであった。
登場人物
(年齢・身長等は第一作目のもの)
・千珠
白珞鬼。十四歳。白を珞うという名の表す通り、銀色の長い髪、白い肌をした戦闘種族の鬼。千珠は純血の鬼ではなく、白珞の母と朝廷に仕える神祇官との間に生まれた半妖である。鬼の本能と人の血の間で、人を殺すということに葛藤を抱え、罪悪感から目を逸らしながら人を斬ってきた。
戦が終わるにあたり、青葉にて人と共に暮らすべきか迷い迷う。孤独は怖い、しかし通常ならば相容れぬ人間との暮らしも怖い……となかなか心を決めることが出来なかったが、周りの人間達の説得もあり、青葉の国に腰を据えることを決めたのであった。
〈容姿〉
主人公なので詳し目に……。
腰まである白に近い銀髪、血の気の薄い白い肌、やや吊り気味で猫のような琥珀色の目は、獣のように瞳孔が縦長である。大きな目を縁取る銀色の長い睫毛、つんと尖った小さめの鼻と紅いふっくらとした唇。人離れした美しい姿である。
白い指の先には、鉤爪(通常時は大体3㎝程か)がある。身長は160cm、これから伸びます。
・大江光政
青葉の国第十四代棟梁。二十三歳。傷を負った千珠を助け、命を賭けて千珠と”血の盟約”を結ぶ。帝を守り、戦を終わらせた武将として名を馳せることとなった男。
若い割に冷静で視野は広く、家臣に対しても国の民に対しても誠実であるため、長として信頼を得ている好人物。男らしく華やかな容姿と、逞しい体躯、武芸に秀で頭も良い……という取り敢えず完璧な男である。身長180cm(昔の人にしてはでか過ぎますが、ファンタジーなので悪しからず……)
戦の最中、千珠に対して徐々に情を募らせ、半ば強引に肉体関係を結び、その不器用な優しさや美しさに心を囚われてゆくが、国の繁栄の為を思った千珠に冷たく突き放される(詳しくは『ー孤独を忌む鬼ー』第五章後半参照)。
その後は千珠を優しく見守るような役回りになってゆく。
(【二】ー呪怨の首飾りー第二十、二十一部参照)
*血の盟約
千珠をその配下に加えるにあたり、戦において裏切りを防ぐ為の"血の盟約"を結んでいる二人の間には、命のやり取りが存在する。千珠は光政の生命を贄として、戦にて鬼の力を振るうこと。そして千珠が死ぬ時、それは光政の死を意味するということ。(本文より抜粋)
・舜海
青葉軍の中心人物。十八歳。関西弁。僧侶としての名前を賜っているにも関わらず、義のために殺生をするという破戒僧。三歳の頃、戦で家族を失い、青葉の国へ拾われてきた。光政とともに鍛錬を積み重ね、成長してきた幼馴染でもある。初めは千珠をライバル視して突っかかる。
この国で唯一法力を使える人物として、千珠との関わりも多い人物。霊力を用いて千珠の傷を癒やしたり、その気を高めたりすることが出来る。千珠が半妖であるということもすぐに看破し、そんな千珠を守ろうとする。
千珠の脆く儚い姿を目にしてから、光政と同様、千珠に情を募らせる。
〈容姿〉準主人公なので詳し目に…。
黒い法衣を緩く着崩し、広く開いた胸元に鍛えられた胸筋を覗かせ、錫杖を持ちながらも腰に刀を帯びるという珍妙な格好をしている。ぼさぼさの黒髪は髷に結わず首の下辺りまで伸び、目につきそうな長めの前髪の下からは、鋭く眼力のある黒々とした目が覗く。一見怖そうに見えるものの、細かいことは気にしないあっけらかんとした男。身長178㎝。
・大江留衣
光政の妹で、青葉の国の忍頭。十六歳。顔立ちは兄に似て、はっきりとした華やかな容姿。一国の姫君らしからぬ出で立ちで男のような言葉遣いをし、兄の役に立つべく忍衆を率いている。千珠に淡い恋心を抱いているが、戦場にて、最愛の兄と千珠との濡れ場を見てしまい、複雑な気持ちも抱えている。
・柊
留衣の部下。二十四歳。身長187㎝、関西弁。【二】以降、千珠の我儘をきいてやる世話役のような感じでよく出くる。見廻りが仕事ということもあり、人様の秘密によく出くわすため、覗きが趣味だと皆に勘違いされている。あくまでも沈着冷静、穏やかな人となりで、上からも下からも頼られる人物。突然背後に現れて耳元に話し掛けるのが癖。
〈容姿〉
今後よく出てくるので詳し目に…。
揃いの黒尽くめの忍装束、額当ての付いた黒い鉢巻を巻いた柊は、まるで留衣の影のようだ。肌や声色から察するにまだ若そうであるが、ここにいる誰よりも背が高く、醸し出す老成した雰囲気から、柊はえらく年上にも見えた。優しく微笑んではいるものの、涼しげな一重瞼の目はまるで笑っていないことにぎょっとさせられる。(本文より抜粋)