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自動販売機を投げよう


「よし、全員揃ってい、ないな?」


 錬がみんなの集まっている場所に辿り尽き、顔を見渡して一人足りないことに気付いた。

 すでに戦闘が開始され、ASがゆっくりと迫ってきている。しかし、まだ距離が離れているので多少の時間の余裕はあった。


「それより錬、先生とキ、キスしてたわよね? あれってどういうことかしら?」


 雪乃が冷たい視線を向けながら、声を震わせながら問いただしてきた。


「錬、ずりーよ。何キスなんかしてんだよ。で、どうだった? やわらかかったか? 何味だったんだ?」


 大助がニヤニヤしながら、感想を求めてくる。大助の横腹に雪乃が肘鉄を放ち。大助はうっと苦しそうな声を上げて、しゃがみこんでしまった。

 全員から緊張が感じられない。錬は少しばかり効果がありすぎて逆に失敗だったかもしれないと頭を痛めた。

 キスの理由を説明しないと、話を進められそうもないので錬は納得してくれそうな理由を言うことにする。


「あれは先制攻撃だよ。いきなりキスして、動揺させる作戦。エクシアの奴、ものすごく動揺していたから、こちらが有利になったのは間違いない」


 本当は動揺などしていなかったが、ここで本当の理由を説明していたら時間がないので適当に誤魔化した。


 錬の説明に怒りを露わにしていた雪乃が、怒りを収めつつあった。面白がっていた大助は、つまんねと呟いた。


「いいか、これは戦争なんだ。ちゃんとしたルールのある戦争。戦闘開始前にいきなり殴るのは明かなルール違反だが、キスするのはセーフなはずだ。俺はルールを破らないギリギリのところで、この戦争が人間側に有利になるように仕向けた。たった一回のキスで全人類が助かるなら、やるべきだと思う。みんなに訊きたい、俺の行動は間違っていたか?」


 錬の問いにみんなは押し黙る。一秒前まではこれは戦争だということさえ忘れていた節があったが、錬の真剣な問いに、全員が気を引き締め直したのだ。


「よし、納得してくれたようだな。ところで久遠寺がいないみたいだが、誰か知らないのか?」

「ランチは一緒に食べたんやけど、途中で買い物があるって別れて、それっきりや」


 ほのかが心配そうな表情で報告した。


「この騒ぎで、顔を出さないってのは引っかかるな。知らずにモール外に出たか、なんらかのトラブルにあって動けないでいるか……」

「トラブルって何? 怪我して動けないとか?」


 今までひょうひょうとしていた大助が、いきなり錬に食ってかかった。


「落ち着け大助、今は久遠寺の心配をしている暇はない。俺達はこの戦争に絶対に勝たなきゃいけないんだ。久遠寺も俺達の仲間だ、きっと無事でいるはずだ。久遠寺のことを信じて、俺達は俺達のやるべきことをやる。そうだろ?」

「ああ、そうだよね。取り乱してごめん」


 大助は自分が間違っていると素直に認めて引き下がった。


「みんな訊いてくれ。バラバラに戦ってもあのASは倒せない。かといって全員で行動しても、作戦が限定される。通信も妨害されているし大人数での連携は難しい。よってチームを三つに分ける。

 アルファチーム、俺、神無城、鈴城、リーダーは俺。

 ブラボーチーム、九十九、大門、佐々木、リーダーは九十九。

 チャーリーチーム、霧生、乃木坂、アンリエッタ、リーダーは霧生。

 各チームの役割はアルファチーム『エクシアの破壊』。ブラボーチーム『ASの陽動、可能ならば破壊』。チャーリーチーム『他チームのフォロー、バックアップ』。以上、あくまで暫定チームなので、状況によってチームの入れ替えも想定される。各員、臨機応変の対応を求む」


 錬の指揮に、それぞれが頷く。ASがすぐ近くまで迫っている。手を振り上げて、今にも振り下ろそうとしていた。

 

「作戦開始!」


 錬の号令で、各チームがワイヤーを使って、一斉にその場を離れる。

 次の瞬間、ASの拳が錬達のいた場所を粉砕した。




 分散したチームの内、まずはブラボーチームがASに飛びかかった。

 飛びかかったところで、鋼鉄で出来ているASにダメージを与えることは出来ない。

 大助の青、将吾の黒、京士郞の緑。三色のスーツがASの周りを飛び交って、陽動を行う。

 四脚型AS『ケンタウロス』が腕や脚で攻撃を仕掛けてくるのを、必死に三人は回避する。ASの攻撃をくらってしまえば、一発でノックダウンされるというまさに命がけの陽動だ。

 エクシアはASの頭部に移動して、余裕の表情で高みの見物をしていた。


「エクシアを破壊する為には、まずエクシアとASを切り離す必要がある。今のASの役割は攻撃ではなく防御に重点が置かれている。ASという防御をまずはどうにかしないとエクシアの破壊は出来ない」

「そうね」


 錬の分析に雪乃が相づちを打つ。


「ブラボーチームが陽動してくれてる今、俺達はてっぺんにいるエクシアを攻撃して、なんとしてもASと切り離す」

「わかったわぁ」


 ほのかが頷く。


「よし、それじゃお互いをフォローしつつ、行動開始」


 少し遅れて錬達アルファチームもASへと飛びかかっていく。

 巨大ASの周りを六人が忙しなく、動き回る。

 そして隙を見て、頭部にいるエクシアに飛びかかる。しかし、エクシアはその攻撃をたやすく防いでいる。足場の無い空中では、攻撃のタイミングが単調になり、エクシアが攻撃を回避するのはたやすいことだった。


 何十回も挑戦するが結果を得ることは出来ない。激しい動きにだんだんと体力がヘリ、徐々に動きが鈍くなっていく。

 エクシアの戦闘力は錬達をよりも遙かに上だった。体力が減るごとにだんだんと気力も減っていく。いつしか諦めに似た感情が芽生え始めていた。





「ねえ、遊々達も戦った方がいいんじゃないのん?」


 アルファとブラボーチームが戦っているのをただ見ていたチャーリーチームの遊々がリーダーである風葉に訊ねた。

 アンリエッタも風葉に視線を向ける。アンリエッタも遊々と同じ気持ちで、自分達だけ何もしないことに心苦しさを感じていた。

 

「ダメです」


 風葉は遊々の提案を一蹴した。


「どうしてー? みんなピンチだよ?」

「自分達の役割はフォロー、バックアップです。アルファ、ブラボーのどちらかが行動不能になった場合、空いた穴をチャーリーチームが補わなければなりません。今、参戦してチームにダメージを追えば、役割を果たせなくなります。それに自分達のチームが参戦したところで、足手まといになるだけ。余計に二チームの邪魔になります」

「それもそうだねー。かざりんなら、十分戦力になると思うけど、遊々とありりんは厳しいよねー」


 遊々は風葉の意見を素直に聞き入れる。アンリエッタは小さく「ごめんなさい」と呟いた。

 ASに乗っての戦いならば、遊々もアンリエッタもみんなと互角の戦力になる。しかしASに乗っていない状態だと、やはり身体能力に差が出てしまっていた。


「謝る必要はありません。誰にでも得意不得意はあります。アンリ氏や遊々氏にしかできない役目が必ずあるはずです。その役目が回ってくるまでは、待機が仕事です。見ているだけというのは、非常に辛いですが、今はそれを耐えてください」

「わかりました」「りょうかーい!」


 アンリエッタと遊々が気持ちを切り替えて、返事をした。

 そんな会話をしていると、アルファチームで少し動きがあった。

 アルファチームはエクシアをASから落とそうとしているが、それがなかなか上手くいかない。そんななかほのかが戦闘から一人離脱する。そして自動販売機の前に立つとじっとそれを見つめた。


「ほのりん、喉でも渇いたのかなー?」


 遊々がほのかの様子を見つめながら、呟いた。


「遊々ちゃん、いくらなんでもそれは……。みんなが戦っているに、ないですよ」


 アンリエッタが苦笑いを浮かべた。


「中身の入った缶を投擲武器として使うのかもしれません。もし当てることが出来れば、エクシアをASから落とせるとの算段でしょうか?」


 風葉は自分ならどうするかを考え、ほのかのその後の行動を予想した。


「……違います。ほのかさんなら、もっと……」


 アンリエッタがそう言ったすぐ後、ほのかは自動販売機ごと持ち上げた。

 

「うわぁお! ほのりん、力持っちー」


 遊々が大げさに驚いた。


「いくらスーツの補助があっても、アレを持ち上げるとは……」


 風葉も予想出来ずに戸惑う。一方、アンリエッタは予想していたので、あまり動じていない。アンリエッタとほのかは同じ会社なので、ほのかが機械義肢だということを知っていた。


「ほのかさんは、力持ちなんですよ。たぶんクラスで一番です」


 アンリエッタはまるで自分のことのように誇らしげに語った。

 ほのかは、自動販売機に刺さっている電源ごと引き千切りエクシアの方に投げつける。ASの腕で射線を防ごうとするが、一瞬遅く、腕の横をすり抜けてエクシアに飛んで行った。

 エクシアが自動販売機を受け止めることは可能。しかし、それは安定した広い足場があるという条件付きだ。ASの頭部の狭い不安定な場所では受け止めることは不可能。ならば、回避しか選択しはない。


 今までの戦闘では一度もエクシアが両足をASから離したことはない。離したとしても片足のみ。自動販売機の攻撃によって初めて、エクシアがASから少しだけジャンプし離れた。

 この隙を狙っていた錬と雪乃はここぞとばかりに襲い掛かる。一度、空中に浮き上がれば、自由に体を動かすことはできない。そこを狙えば、攻撃を直撃させられる。

 まずは錬が跳び蹴りを放つ。しかし、エクシアは跳び箱を跳ぶ要領で攻撃を避け、さらに錬の頭を踏み台にして、その後の雪乃の攻撃も回避してしまった。


「良い作戦だったが、まだまだ甘いぞ。お前等」


 エクシアが余裕の笑みを見せ、再びASに着地をする。その時、

 

「甘いんはあんたの方やで、エクシア!」


 ほのかがエクシアの体を後ろから掴んでいた。


「どうしてここにいる? 鈴城は下にいたはずでは?」

「販売機を投げた後、すぐに販売機にアンカーを打ち込んで一緒に飛んで来たんや。悪いやけど、エクシアには特等席からどいて頂きはるよ。はあぁぁぁっ!!」


 ほのかはエクシアの体を振り回し、ぶん投げる。エクシアは何十メートルも遠くに飛んで行った。

 

「鈴城、危ない!」


 一仕事を終えて、ほっとしていたほのかを錬が抱えて、その場を離れる。直後、ASの手が先程までいた場所を攻撃した。


「お、おおきに」


 ほのかは錬に抱えられながら恥ずかしそうに御礼を言った。


「御礼を言うのはこっちだよ。良くやってくれた。第一フェーズ終了ってところだな」


 ほのかを地面に降ろしながら錬は言う。そこに雪乃がやって来て、チャーリーチームも合流してきた。


「やったね、ほのりん。すごい活躍だったー。遊々はばっちし見てたからねー」


 遊々がほのかの腕をとってぶんぶん振りながら、嬉しそうに笑っていた。


「十七夜氏、なにか私達に仕事はありますか?」


 風葉が錬に訊ねる。錬は少し考える仕草をした後に答える。


「チャーリーチームには久遠寺の捜索を頼みたい」

「月陽氏を? 別に構わないのですが……。それは今、必要なことですか? 失礼ながら、後回しにする事案ではありませんか?」


 風葉は納得出来ず、意見を申し立てた。


「霧生の意見ももっともだ。久遠寺を探して、仲間に加えたところで大幅な戦力増加になるとは思えない。だからといって、このまま戦ってもエクシアを倒すことは出来ないだろう。ASの上の足場の悪いところであの強さだ。地上では俺達が太刀打ち出来る相手じゃない」

「貴様、もう負けを認めているのか? くだらない弱音を吐くことは許さんぞ」


 風葉は激高し、錬に掴みかかった。


「風葉さん、やめて。錬は弱音を言っているんじゃない。ただ事実を述べているだけ。私も錬と同じ意見よ」


 雪乃が錬を庇うように、風葉の腕を掴んだ。


「……雪乃氏。すみません。少し感情的になってしまいました」


 風葉は素直に謝った。


「いや、いいんだ。少し勘違いさせてしまったみたいで、俺も悪かった。一つ言っておくが、俺はこの戦いに負ける気はまったくない。だからこそ何か手を打たなければならないんだ。久遠寺が姿を現さない理由は、三つ考えられる。一つ目はエリアオーバー。二つ目は怪我をして動けないでいる。三つ目はエクシアに捕まっている。のどれかだ。この中で俺は二つ目の怪我じゃないかと思っている」

「その理由は?」

「俺と神無城がモールに来た時、ゲームセンターが破壊されていた。もしかしたら久遠寺はゲームセンターにいて、中に閉じ込められているんじゃないか?」

「それはありえません」


 錬の意見を風葉が一蹴する。後ろでは遊々とアンリエッタもうんうんと頷いていた。


「どうして、そう言える?」

「ブラボーとチャーリーの六人が、あのゲームセンターで遊んでいたからです。遊んでいる最中、月陽氏の姿は一切見ていません」

「そうか、だとすると、久遠寺はエクシアに攫われた可能性が高いってことになるな。それならますます久遠寺を見つけ出した方が良い」

「いまいち、話しの流れが分からないのですが、自分にも分かるように説明していただけますか?」

「分かった。まずさっきも言ったように久遠寺には戦況を覆す程の力はない。はっきり言えばエクシアにとって、いようがいまいがどちらでも良い存在。その久遠寺をエクシアが攫う理由はないはずだ。にも拘わらず、エクシアが久遠寺を攫った。本来、無害であった久遠寺が、エクシアにとっては有害なものに変わったんだ。例えば、この戦況を覆す情報を久遠寺が偶然手に入れていたとか」

「なるほど」


 風葉は深く頷いた。


「俺の予想が必ず合っているとは限らない。無駄骨になるかもしれない。だけど、やる価値は十分あると思う。どうだ?」


 錬はチャーリーチームのリーダー風葉に問う。

 風葉は後ろの二人の顔色を窺う。遊々とアンリエッタは頷く。それで風葉は決意した。


「月陽氏の捜索が無意味でないことが良く分かりました。二人も捜索に賛成のようですし、これよりチャーリーチームは月陽氏の捜索活動を開始します」

「ああ、よろしく頼む。あとエリアオーバーには気をつけろよ」

「了解です。それでは」


 そう言うと風葉と遊々、アンリエッタは走り出した。


「ほのかさん、なんだか嬉しそうね」


 雪乃が笑顔のほのかに声を掛けた。


「月陽ちゃんを探すことになって、良かったなーって思ってん。私も月陽ちゃんのことが気がかりやったから。十七夜さん、おおきに」


 ほのかが嬉しそうに錬に御礼を言った。


「鈴城と久遠寺は仲が良いから、心配だよな。俺がもっと早く気付いてチャーリーチームに指示すれば、良かったんだけど。遅くなってごめん」

「全然遅くないよ。十七夜さんがいなければ、きっと誰も気付けへんかったと思うで。私、十七夜さんのこと、すごいなって感動してんねん」


 ほのかがぐっと一歩近づいて、錬の手を両手で握りしめて目を輝かせていた。


「え、そんなに? ……俺も鈴城のことすごいなって思っているよ。自動販売機を投げるのは、正直驚いた」

「十七夜さんは、力持ちの女の子。……嫌いか?」


 ほのかは少し不安そうな面持ちで訊ねた。


「いや、別に嫌いじゃないよ。力持ちの女子ってギャップがあって、逆に良いと思う」

「ほんまかぁ? 私、嫌われたんやないかと思って心配やってん。良かったわぁ」


 ほのかは、ぱぁっと表情を明るくした。


「ちょっと、錬。顔がにやけてるわよ」


 錬とほのかのやりとりを訊いていた雪乃が、凍えるような冷たい声で割って入ってきた。


「神無城、なんか不機嫌じゃないか? どうしたんだ?」

「どうしたんだ? じゃないわよ。今は戦闘中よ。せっかくエクシアをASと引き離したのに、こんな所でぐだぐだおしゃべりをしてたら、またASの上に戻っちゃうわよ」

「それもそうだな。でも、メンバー同士の信頼関係を深めるのも大事なことだろう」

「……それが私の信頼を失わせていることに気付いている?」

「え? 俺、なんか神無城の気に障るようなこと言ったか?」


 錬はまったく思い当たる節がなく戸惑った。


「はいはい、もう無駄話はおしまい! 早く行くわよ」

「おっけー分かった。行こう」


 錬は雪乃に急かされて、移動を開始した。


「ほのかさんちょっといい?」


 錬の後を追おうとしていたほのかを雪乃が引き留めた。


「かまへんよ、雪乃ちゃん」

「……あなた少し変よ。いつものあなたらしくない感じがする」

「そうやろか? 私は普通やと思うんけど」


 ほのかはそう惚けつつ、内心では焦る。自分ではいつもどうりに振る舞っていたつもりだったが、雪乃には違和感を抱かれてしまっていたようだ。


「私からは、あなたが本心をあまり出さない人に見える。良い意味で大人なんだと思う。錬とのやりとりで、あなたは本心を出しているように見せていたけど、実は逆。妙に演技くさく感じたわ。ほのかさん、あなた私達に重大なことを何か隠していないかしら?」

「私の言動が演技っぽく感じたんは、たぶん照れ隠しやと思うで。私の中の十七夜さんを好きという気持ちを、素直に表すのが恥ずかしんくて、無意識のうちに演技をしてしまったんや、きっと」

「……そう、分かったわ。隠し事を教える気はないってことがね。あなたが錬を好きですって? 面白い冗談ね」


 雪乃は少し呆れてため息を吐いた。


「やっぱり雪乃ちゃんには分かってまうんやね? ごめんなさい、私が十七夜さんを好きというのは嘘や。せやからって嫌いなわけやあらへん。他のみんなと同じ仲間として好きや」


 ほのかは素直に謝る。それを見て雪乃は表情を和らげた。


「ええと、やね。正直に言うと、私が隠し事をしてるんは本当や。でも言えないんよ。言って良い条件が揃わんと言っちゃ駄目なんや。雪乃ちゃんがもっと核心に触れることを言及してくれはれば、私はいつでも話すよ。……むしろ私は秘密を言いたくて言いたくて、たまらへんやから」


 そう言ってほのかはにこりと微笑んだ。


「ほのかさんにも色々と事情があるのは分かったわ。事情があるって知らなかったから、さっきはきつい言い方をしてごめんなさい」


 雪乃は頭を下げる。ほのかは慌てて手を小さく振った。


「いいんやいいんや、私は全然気にしてまへんから、謝らないといてください」

「ありがとうほのかさん、あなたはやっぱり大人ね」

「そんなことないんよ。私は大人なんかやあらへん」

「お互い言いたいことも言えたし、ケンカしてたわけじゃ無いけど仲直りしましょ?」


 そう言って雪乃は右手を差し出し握手を求めた。


「はい、これからも一緒に頑張りましょな!」


 二人はお互いに笑顔で握手をした。

 そして雪乃とほのかは、先行している錬の後を追った。


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