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一次創作物

『青』

作者: 蒼山詩乃

 最近夢を見る。

 モノクロでそこまでハッキリはしていないのだけれど、なんだか懐かしい気分に浸される。

 その波に溺れたくて今も布団の中で目を瞑る。

 でも今日は眠れなかった。

 しょうがないからベッドから降り部屋から出てキッチンを目指す。

 コップをまな板の上に置き冷蔵庫からココアパウダーと牛乳を取り出してはコップに入れ混ぜた。

 すぐ液体はココア色になり、まだ溶けきっていない粉の塊を潰しながらスプーンでかき混ぜる。

 まだ溶けきれてない。イライラを募りながらも必死にスプーンを回し、ようやく全部溶け切ったと思うとコップを手に取り少しずつココアを飲み始めた。

「…………」

 ココアを簡単に作れることは人類が思いついた素晴らしい発想だ。

 そう思いながら舌で丹念に味わい、喉に通す。

 ゴクリ、ゴクリ。

 単調な音が私の耳を響かせる。

 これが心地良くて眠れない夜はこうして眠気を誘っているのだけど、今日はその眠気が一向に来てくれない。

「……どうしてだろ?」

 空になったコップを見つめる。特に何かあるわけでもない。ココアの残骸が残っているだけ。

 でも眠れないのは嫌だな。早くあの夢の続きが見たい。聞きたい。触りたい。

 キッチンとつながっているリビングの灯りをつけ、誰もいない広い空間の中に座ってみた。

 寒い。何故かは知らないけど寒い。

 なんとなく閉めているカーテンを開けてみると、ポツンポツン。

 雨が降っていた。そこまで激しいという訳でもないけど、小雨と言うには範囲が広いと思うような雨。

 手を差し伸べてみるとすぐに水滴が四、五粒ほど乗っていた。

 その水滴を眺めてみるも特別な何かが浮上してきた訳でも無く、飛ばした。

 ぼんやりと見つめてみると、雨はだんだん激しくなってきた。

 ――――呑み込まれそう

 ――――曖昧で視界がぐちゃぐちゃになる

 ――――遠くまで見えない

 ふとそう思った。なんでそう思ったのかはわからない。

 それから自室に戻ってベットに潜り込み目を閉じてみると今度は自然と眠れた。

 見ている夢は全部青で染め上げられた世界。その中で雨音がポツポツと響く。

 それ以外無かった。何も無かった。あるのは青と音。

 さっきまでのあの夢の幸福感はどこへ行ってしまったのだろう。

 なんで消えてしまったのだろう。

 消えてしまった? 壊れた? 何が?

 私はあの夢が見たい。モノクロで曖昧だけど懐かしい気持ちにさせてくれるあの夢が。

 ……あれ? 私は誰? ここはどこ? この色は何?

 あれ、あれれ? わからないわからないわからないわからないわからないわからないわから――――

 ピーピーピー…………






 ある少女が寝ているベッドの周りには大勢の大人が、涙を流していたのでした。



                                         fin.

適当に思いついた言葉から書いたものですが、結局思いついた言葉一言も入ってませんはい。一応習作扱い。

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