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ゼロからのスタート

 コンビニを出て思ったことは、

 まず、稼ごう。

 何をするにしてもお金は必要だ。

 あと言葉だ。

 生きる為には言葉を身に付けないと。

 コンビニを出て、暫く歩いていると

 いくつか飲食店を見付けた。

 なんとなく外観から居酒屋なのだろうと思った。


 『仕事をさせてください。』


 こっちの言葉でなんて言えばいい?

 そんなことは後だ。

 私は店員らしき人にジェスチャーで仕事をしたいと伝えた。

 店員は少し考え込むような素振りを見せたかと思えば裏に戻ってしまった。

 数分した後、その店員が他のスタッフを連れてきた。

 二人は何やら色々都話してた。

 私は無我夢中で訴えた。


「ここで働かせてください」


 何度も何度も伝えた。

 その時、偶然他のスタッフが掃除道具を持ってきてフロアの掃除をしようとした。

 私はその道具をスタッフから奪いフロアの掃除をした。

 店長?らしき人はそれを見て根負けしたのか、裏に来いというジェスチャーをした。

 彼は私をスタッフルームに連れて行った。

 テーブルが1つとパイプ椅子が数個乱雑に置かれている。

 壁には恐らくシフト表らしきもの、あとはなにかのチェックリストなどが貼ってあった。

 唐突に彼は私にユニフォームを渡した。

 私はそれを服の上から羽織った。

 それを着るとまた、こちらに来いというジェスチャーをした。

 私がこの世界に来て初めて与えられた仕事は皿洗いだった。

 皿洗い。

 たかが皿洗いかもしれない。

 でも、今の私にとっては生きていくための生命線だった。



どの世界でもそうだと思うが、チートは無いと思っている。一つ一つ積み上げていくこと。これが最短距離なのだろうと。もちろん個人差はある。初めから階段の5段目にいる人、1段目にいる人、既に1番上にいる人。でもそこであぐらをかきていたら必ず落ちていく。

昔、誰かが言っていた。

常に自分下りのエスカレーターをぎゃくむきに登っているようなものだと。

努力を怠れば下がっていく。

この世にチートなんて無い。

恐らくそれが宇宙の心理だろう。

それは異世界であろうと変わらない。



初日の仕事は地獄だった。汚れた皿の山、見たこともない料理が皿に乗った状態で下げられてくる。それをバケツに捨て皿を流しに置く。熱い湯、だが、私は観察した。洗い場の近くにメニュー表が貼ってあった。私は、近くにいたスタッフに客が残した料理はどれなのか

皿とメニュー表を交互に指を差し尋ねた。

そのスタッフは私の言いたいことを理解したのかメニュー表の下から3番目に指を差した。

その後もそのスタッフに皿に食べ物が残っていれば何度も何度も尋ねた。

私は一つ目標を決めた。

1日ひとつだけ完璧にする。

今日ならこのメニュー表だ。

絶対に覚えてやる。

暫くして店長らしき人がこっちに来た。

こっちに来いとジェスチャーをした。

裏のスタッフルーム

そして、彼は

ホワイトボードに数字を書いた。

それは明日のシフトの時間だろうと気が付いた。

だが、その時私は重要なことに気が付いた。

住む場所が無いということに。

流石に男の人の家に泊めてもらうわけにはいかない。

私はホワイトボードにあることを描いた。


家の絵

そこにバツを付けた。


店長は少し考えているような素振りをみせ、何かを思い付いたのか踵を返しホールに戻って行った。

数分後、彼は1人の女性スタッフを連れて来た。

彼はホワイトボードに棒人間を2つ描き、その隣に家の絵を描き、矢印で繋げた。

なるほど。転地は彼女を説得し、私を彼女の家にしばらくの間住まわせてもらえるよう頼んだのだ。

それを理解し、私は何度も何度も店長にお礼を言った。

 言葉は通じてはいないが、理解してくれたと思う。

 それから私は彼女の家にお世話になることになった。


彼女の部屋にいるときは、言葉を覚える為に必死だった。

オーダーの取り方、お客様が来店、帰るときにかける言葉など私は彼女に尋ね教えてもらった。

一週間くらい経ったときのこと。

店長がホールに出てくれとジェスチャーをした。

 もちろん最初は1人ではやらない。

 他のスタッフを付けて仕事をを行う。

少しずつ客の流れが分かってきた。



客の顔、注文の仕方、酒の好み。常連の男が、疲れた目で同じ酒を頼む。隣の女が、微かに眉を寄せる。店主の苛立ち。人心掌握の基本だ。翌日、私は提案した――ジェスチャーと笑顔で。客の好みを覚え、さりげなくおかわりを勧める。店主は驚いたが、試させた。

それが始まりだった。客が増え、チップが弾む。言葉は少しずつ覚え、金が貯まる。この世界で、魔法なんて要らない。人はどこでも同じ。心を掴めば、道は開ける。私はここで、

生きるために、私はまた人の顔を見る仕事を始めた。

世界が変わっても、人の心だけは変わらないと――

その時の私は、まだ信じていた。




 

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