表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強「庭師」ユーリの任務録 ~天才剣士は今日も「日常」を守るために働く~  作者: タツダノキイチ
第三部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

73/91

庭師と合同軍事演習02

その後、もう一度ゴブリンを相手にし、さらに連携を確認したところで野営の準備に取り掛かる。

今日は私が料理を担当する番だったので、なにを作ろうかかなり迷ったが、定番のベーコンたっぷりのポトフにすることにした。

分厚く切ったベーコンと野菜をハンナさん特製のスープの素で煮ていく。

普段ならそれだけで終わりだが、今回は辛い物が好きなジーラッドさんにも楽しんでもらえるよう、別添えで唐辛子を潰し塩と油を混ぜたものを作った。

(簡易版だが、こういうソースがあると便利だという見本にはなるだろう。帰ったらハンナさんにちゃんとしたものを作ってもらうことになるだろうから、今回はお試しだな)

そう思いつつ、いい感じに煮えたのを確認し、

「できたぞ」

と声を掛ける。

どちらかというとエルフの味に近いポトフはエメローラさんには好評で、ジーラッドさんは物足りないという顔をしていた。

しかし、急遽作った唐辛子のおかげでジーラッドさんもなんとなく満足してくれたようで、

「これをもっと進化させたものがあれば、きっといろんなところで喜ばれるぜ」

と合格点を出してくれた。

少しほっとしつつ、その日も交代で体を休める。

そして、翌日も連携を試すべく次なる魔獣を求めて森の奥へと進んでいった。

しばらく歩き、昼過ぎになってようやく大きな痕跡を発見する。

「お。こりゃミノタウロスか? けっこういやがるようだがどうする?」

そう言ってこちらに視線を送ってくるジーラッドさんに、

「ああ。数は十くらいだろう。ちょうどいい訓練になりそうだ。少し急いで向かおう」

と答えるとそれを聞いていたエメローラさんも、

「ようやく本番ね」

と柔らかく微笑み、賛意を示してくれた。

やや急ぎ足に痕跡を追っていく。

すると、森がやや開けたところにミノタウロスが十匹ほどたむろしているのが見えてきた。

「ゴブリンよりも速度を上げていこう。連携はそのままで大丈夫か?」

「ああ。俺は構わないぜ」

「私はちょっとだけ前衛にも出てみたいですわ」

「そうか。なら、最初の五匹はいつも通り、残りの五匹はエメローラさんが前衛に出て私がジーラッドさんの後につくという感じでどうだろうか?」

「そうね。お願いできる?」

「おう。いいぜ」

そう軽く話し合ったところで作戦が決まる。

私たちはこれまでよりも少し気合を入れてミノタウロスのもとへ近づいていった。

ミノタウロスの側までやってきたところで戦闘準備を整え、お互いに視線を送り合う。

みんながそれぞれにコクンとうなずいたところで、ジーラッドさんが突撃していった。

すかさずエメローラさんが魔法で牽制する。

私はジーラッドさんの後に着き、ジーラッドさんが最初の一匹の攻撃を受け止めた瞬間、ジーラッドさんを飛び越えるようにして前に出た。

全身を巡る魔力を感じつつ、空中で体を捻り、落下の勢いを借りた一撃でミノタウロスの腕を両断する。

するとジーラッドさんがすかさず当て身を食らわせ、巨大なミノタウロスが後方に倒れた。

そこにエメローラさんの魔法が雨のように降り注ぐ。

私はそこで勝負がついたと判断しまたジーラッドさんの後に回った。

またしてもエメローラさんが上手く牽制し、ミノタウロスの攻撃を分断する。

その中から漏れてきた一匹に狙いを絞ってジーラッドさんが突撃していった。

また同じようにジーラッドさんが攻撃を受け止め、私が足を両断する。

そして、前向きに倒れたミノタウロスの頭部にジーラッドさんがメイスを食い込ませ、またしても一瞬で勝負が着いた。

次にやってきた二匹のミノタウロスがジーラッドさんの両側から襲い掛かる。

ジーラッドさんが左に動いたので、私は右の個体に対峙した。

そこへエメローラさんの魔法が飛んでくる。

私は面食らったような様子で防御態勢を取ったミノタウロスの隙を逃さず、懐にもぐりこんだ。

足を斬り、走り抜けて背後を取った瞬間振り向きざまに袈裟懸けの一刀を放つ。

そして、私はそのままジーラッドさんの方に行くと、ジーラッドさんの盾をどうにかしようと苦戦しているミノタウロスの足を撫で斬った。

膝を落としたミノタウロスの懐にジーラッドさんが飛び込んでいく。

そして、強烈な当て身を食らわせたかと思うと、今度はそのまま頭の方へ向かい、顔面をしたたかにメイスで打った。

その一撃で勝負が付き、さらに次の個体に向かう。

そこでもやはりエメローラさんの魔法が相手の攻撃を分断してくれていた。

(ありがたいものだ。攻撃が楽になる)

そう思って目の前にいたミノタウロスの膝の辺りに一撃を加える。

力無くくずおれたミノタウロスが苦し紛れに拳を振り回してきた。

すかさずジーラッドさんが入り、その拳をメイスの一撃でなんなくいなす。

それを見て私は、

(さすがだな)

と感心しつつも素早くミノタウロスに肉薄し、トドメの一刀を放った。

「よし。交代だ!」

そう言って、私が後ろに下がる。

するとエメローラさんがいつものふんわりとした雰囲気のまま、

「はーい」

とどこか間延びしたような返事をしつつ前線に駆けつけてきた。

私は一歩下がり、ジーラッドさんの後方につく。

それと入れ替わるようにしてエメローラさんがジーラッドさんの前にいくと、ものすごい速さで細剣を振るい始めた。

一瞬でミノタウロスの足に五つの切り傷ができる。

ミノタウロスがつんのめるように膝をつくと、そこをジーラッドさんが思いっきり叩いた。

エメローラさんを見ると、すでに次の個体への攻撃に移っているようだ。

私はジーラッドさんの後につこうとしていたミノタウロスを軽く牽制し、二人の背後を守った。

またしてもエメローラさんの神速の剣が一瞬でミノタウロスを傷だらけにする。

そして、エメローラさんは至近距離から魔法を放ち、ミノタウロスの首を落としてみせた。

(さすが「神速」だな)

と感心しつつ、襲い掛かってきたミノタウロスの拳を軽くいなして避ける。

すると、エメローラさんがこちらに戻ってきて、その個体の背中を一瞬にして何度も切り裂いた。

すぐにジーラッドさんが懐に入り、メイスの強烈な一撃をかます。

ミノタウロスがくずおれ、そこにエメローラさんが華麗にトドメを刺した。

残り二匹になったミノタウロスが両側から攻めてくる。エメローラさんが咄嗟に魔法を放ち一匹を牽制すると、ジーラッドさんが残りの一匹が放った拳を難なく受け止めてみせた。

私は魔法で牽制された方の個体の前に立つ。

倒そうと思えば倒せたが、ここはエメローラさんたちに任せるべきだろうと思って、突き出された拳を魔力を存分に纏わせた刀の峰で打ち、軽くいなした。

そうこうしている間にどうやら向こうでは勝負が着いたらしい。

エメローラさんがこちらに来て、またしても信じられないような速度で斬撃を繰り出した。

ミノタウロスの胸から腹にかけていくつもの傷ができ、ミノタウロスが膝をつく。

そこにジーラッドさんが飛びかかるようにして頭を叩くとそこで勝負が決まった。

「ふぅ……」と小さく息を吐き刀を納める。

私は軽く微笑みながら二人に近づき、

「なかなか良かったんじゃないか?」

と言うと、軽く右手を掲げてみせた。

その手を二人が交互に軽く叩き、お互いの健闘をたたえ合う。

「さて。素材だな。こいつらの角は使えるからきっちり取っていこうぜ」

と言いニカッと笑うジーラッドさんに微笑みながらうなずいて、私たちはさっさと素材を回収する作業に取り掛かった。

なんとか素材を回収し終わり、その場で野営にする。

その日はみんなが好きな物がいいだろうということで、カレーを作ることにした。

手分けして野菜を切り、ハンナさん特製のコンビーフと合わせて煮込む。

そして、これまたハンナさん特製の中辛ルーを溶かしこむといかにもおうちカレーといったカレーが完成した。

「美味ぇ! 辛さは足りねぇが、それ以上にうま味で満足できる。こいつぁいいな!」

「ええ。辛さもちょうどいいし、お肉のうま味たっぷりだからエルフでも大丈夫な味よ」

「我が家の味を気に入ってもらえてうれしいよ。ハンナさんが作るとこの何倍も美味しいんだが、そこは野営中だから、勘弁してくれ」

「いや。十分だ。これならみんな好き嫌いがねぇ」

「そうね。兵站にはカレーを多めに追加しておくように指示しましょう」

みんなそれぞれに満足した表情でカレーを食べる。

(やはりハンナさんの魔法は偉大だ。一瞬でみんなの心を一つにしてくれる)

私はそんなことを思いながら、美味しいカレーを微笑みながら口に運んだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ