表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強「庭師」ユーリの任務録 ~天才剣士は今日も「日常」を守るために働く~  作者: タツダノキイチ
第二部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

52/95

庭師と国際会議03

翌日。

第二回目の予備会合に臨む。

会議の内容は、全体会議を前にした最終確認という段階だったので、特に盛り上がることなく、淡々と進んでいった。

「明日はいよいよ本番だな。それが終わればお楽しみの時間ってわけだ」

楽しそうに言うフェルドさんに私とエイクさんが苦笑いをして会議を終える。

その日は最終確認を兼ね、一行で揃って夕食の席を囲み、同行してきた貴族たちと緊張しながら飯を食った。

リルとマロンは部屋でのんびり夕食をとったらしいが、私が部屋に戻ると、リルが、

「わっふ! ユーリ、遊んで!」

と言ってじゃれついてきた。

「一緒に飯を食えなくて寂しかったんじゃろう。遊んでやってくれ」

と言われリルと戯れる。

その夜は結局夜中までリルの相手をし、一緒の布団に入って寝た。

翌日。

正装に着替えて一同と一緒に城に上がる。

初めて入るエメルシスの城はフィッツランドの城に比べるとやや地味な感じではあったが、どこかふんわりとして可愛らしい印象を持った。

落ち着いた内装の廊下を通り、大広間のようなところに入る。

中央には王とその側近たちが座る席が設けられており、私はそのはるか後ろの末席に座った。

平和な空気の中会議が始まる。

会議は予定した通りに進み、午餐の時間となった。

私はやや豪華なサロンに入り、退屈そうにしていたリルやマロンと一緒に食事をとる。

どうやら、リルとマロンは特別扱いらしく、その家族である私も特別な控室を用意してもらったということのようだった。

「終わったらリルとマロンはこの国の大公様にご挨拶があるからな。緊張する必要はないが、きちんとご挨拶してくれよ」

「わっふ! 大丈夫だよ!」

「うむ。任せておくがいい」

「すまんな。いろいろと付き合わせて。しかし、これも大事な外交行事というやつらしいから、少しの間がまんしていてくれ」

「うん。僕、がまんできる! でもね、帰ったらいっぱい遊んでね?」

「ああ。帰ったら森に入ってたくさん遊ぼう」

「やった! 約束だよ!」

そんな話をしながら用意されたフィッツランド風のパスタを食べ、私はまた会議の場に戻っていった。

会議の終盤、話が魔獣対策についてに移る。

各国とも魔獣の存在には頭を悩ませているだけあって、真剣な意見交換が行われた。

我が国もこれから新体制を作って魔獣対策にあたることを表明する。

その案はエメルシス大公国、ゴルディアス共和国、両国に歓迎された。

何事もなく会議が終わり、晩餐の時間になる。

通常、実務者は晩餐会に出席することはないらしいが、私はリルとマロンの同伴者として出席することになっていた。

少し緊張気味のリルを軽く撫でてやってから会場に入る。

会場に入ると、エルフの人たちが一斉に跪いた。

フィッツランドとゴルディアスの面々も神妙な面持ちで姿勢を正している。

私たちは静まり返った会場の中をひな壇まで行き、王族たちの前に跪いた。

エメルシス大公とその夫人が席を立ち、リルとマロンの前で跪く。

まずはマロンが、

「我が名はマロンである。たいそうなもてなしに礼を言うぞ」

と鷹揚に挨拶すると、続いてリルが、

「リルだよ。美味しいごはんありがとう」

と可愛らしく挨拶をした。

「もったいなきお言葉。この度は我が国にお越しいただきまことにありがとうございます。ささやかですが、宴の席をご用意いたしました。どうぞ、心ゆくまでお楽しみください」

そう言って王が立ち上がり自らリルとマロンを席に案内してくれる。

その席は王族と同格で私はなんともいたたまれない視線を感じつつ、二人の後に控えた。

素晴らしい歌や踊りが披露され、美味しそうな料理が次々と運ばれてくる。

マロンは落ち着いた様子でその料理を食べていたが、リルはなんだか落ち着かない様子だった。

「リル。無理はしなくていいからな。辛かったら部屋に戻ってもいいんだぞ」

と声を掛けるがリルは、

「ううん。僕、我慢できるよ」

と気丈なことを言ってくれる。

私はそんないい子のリルを後ろから軽く撫でてやった。

盛大な晩餐会が終わり、ようやく緊張から解放される。

控室に戻るとすぐ、リルが頭をこすりつけてきた。

「よしよし。いい子でよく頑張ったな」

と言ってワシャワシャ撫でてやるとリルは、

「くぅん……」

と甘えた声で鳴き、さらに頭をこすりつけてきた。

しばらく戯れた後、馬車の準備が整ったところで宿に引き返していく。

宿に戻るとカイゼルさんが部屋を訪ねてきた。

「明日は午後からだ。朝から迎えの者が来るらしいから、案内の通りに動けば大丈夫だ。去年と同じだったらおそらく城の一角にある闘技場へ案内されるだろう」

「はい。恥ずかしい試合はしないように心がけます」

「いつものお前らしく戦えば問題無いだろう」

「だといいのですが……」

「がんばれよ」

短く明日のことを打ち合わせてカイゼルさんが帰っていく。

私はなんだか重たい気持ちになりながらも、

(まぁ、なんだかんだいって久しぶりに体が動かせるんだ。きっと相手も強いだろうし、ここは思いっきり楽しませてもらおう。それ以外にやりようがないし、全力を出せば怒られることもないだろう)

と思い直し、さっさと風呂に向かった。

緊張でこった肩を少しほぐしながらゆったりと風呂に浸かり、ほどよく体がほぐれたところで風呂から上がる。

風呂から上がるとまた甘えてきたリルの相手をし、いつものように落ち着いた気持ちでベッドに向かった。

けっして狭くはないが、広くもないベッドでリルと一緒に横になる。

リルのモフモフとした毛が私を包み込み、なんともほんわかした気分になった。

(明日は明日の風が吹くさ……)

もう一度少し楽観的なことを思って目を閉じる。

(はてさて、どんな風が吹くことやら……)

とどこか他人事のように思うと、私は少し頬を緩め、甘えてくるリルを撫でてやりながらいつも通りゆったりとした気持ちで眠りに落ちていった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ