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Sの世界

作者: 早瀬恭一

 夢を見ていた。

 黄色の世界を、ただひたすらに泳ぎ続ける。そんな不思議な夢。

 時折、耳に突き刺さるようなベルの音が響き渡って、それを不快に思う一方で、なんとも言えない高揚感が胸の奥のほうで生まれているのを知っている。


 暫くすると息が切れてきたので、自販の前で立ち止まる。でも財布が見つからなかった。ポケットの中を探したが、一枚の硬貨も見つからず、替わりに出てたのは二粒のガムと一枚のメモだった。

 ガムを口に放り込んで、メモを見る。そこにはこう書かれていた。

「眠気すっきりガムと眠りガム。発売中」

 ……とりあえず口の中は潤った。先を急ごう。


 にわとりとすれ違った。必死で羽を動かして、ふらつきながら、でも一人前に空を泳いでいる。

 おまえもやれば出来るじゃないか。空の飛び心地はどうだったか、後でこっそり教えてくれ。

 

 少し風が強くなってきた。せっかくの髪型が崩れてしまった。この体もそろそろ買い替え時かもしれない。近いうちにスーパーに行かなくちゃ。

 そんなことを考えているうちに、どこからか良い匂いが漂ってきた。

そういえば最近まともな食事をしていない。次にわとりを見かけたら捕まえよう。鶏肉は好物なんだ。


 口ずさむ歌が次々と変わって、それに伴って風景も変わっていく。原因と結果は決して一方通行じゃないと実感する。踏み出した最初の一歩が左足だったとして、左足だけありがとうってことにはならないだろ?


 そろそろ眠くなってきた。雲ホテルを探す必要がある。

 この際だから、寝心地にはこだわらない。雲の端っこを貸してくれ。


 今日も一日お疲れ様。寝る前のトレーニングをサボってしまったが、まぁいいさ。

 目を閉じて、遠くに聞こえる汽笛の音の向こう側にある、Sの世界を君は知ってるかい?


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― 新着の感想 ―
[一言] 非現実的で不思議な事を書こうとすると、くどくなってしまいがちですが この作品はその辺が実に程よくあっさりしていていいなと思いました これからも頑張ってください^^
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