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寂夜

作者: 天地 万世

物寂しい―――

ふと、そんな気持ちになった事など、ございますでしょうか


私にとってのそんな気持ちを、表してみました

またもや駄文で申し訳ないのですが、ちょっとだけ付き合って頂けませんか?

独りでいるのが、寂しい―――


そんな感情は、疾うの昔に忘れてしまっていた


その女を思い出す度に、

共に過ごした時間が、もう手に入らない事を思い知らされる度に、

この心は砕かれてゆくからだ―――


その男は、心の慰めに、花を愛した

鳥を愛した

風を愛した

月を愛した


その心を、感動を、この世に残したいと思った

ふと、そう考えた


男は、筆を執り始めた―――


――――――――――――――――――――――――――――――――――


死ぬまでに何文字書けるだろうか


ただ、美しい言葉のみを残したい

私が誰かに継いで貰いたいものは、これなのだ


男は短編を書いた

花を愛した男の物語だ


これは、心から求めた相手に求められなかった男、

そんな悲しい男の話だ


どこの誰の話だ?

そんな事は、聞かないで欲しい

私の古傷に障る


――――――――――――――――――――――――――――――――――


飼っていた猫―――

産まれて1ヶ月も経っていない頃に母が拾い、私に与えた


17歳と数ヶ月

長く生きた方だ


今でも、外で猫の声がすると縋りついてしまう

お前だよな

帰ってきたのか?―――


そんな筈は、無い

だとしたら、この目の前の遺骨は、どこの猫だ


この冬まで、ほんの数ヶ月前まで、私の足元で寝ていたのだ

今はもう、夢の中にしかいない


こんな気持ちまで、いつか私は忘れてしまうのか―――


――――――――――――――――――――――――――――――――――


今も、船の仲間達は元気なのだろうか?


かつて、私は漁師だった


全霊の力を以って、網に繋がるロープを引き寄せた


一歩間違っていれば死んでいた

そんなものを、何度も、何度も味わった


その度に仲間達に救われ、同じように仲間を何度も救った


死と隣り合わせの恐怖と闘いながら、我々は笑い合って仕事をしていた

我々の絆は、ダイヤモンドのように硬いものだった


私は、怪我をしてしまった


もう元の体に戻る事は、無い

それが分かった時、船頭に、船を下りる決意を伝えた


「本当に、お世話になりました―――」


土下座とは、従うが故に行うものではない

心の底からの気持ちを、相手に伝える為に行うのだ


これから、今から、私はこの絆を断ち切らねばならない

涙が止め処無く、溢れた


今、酒を汲みながら、あの日々を思い出している


もし、もう一度戻れたなら―――


――――――――――――――――――――――――――――――――――


賢知

正義

愛嬌


顔や姿は見るまでも無い

よく走るという事は、知っている

イベントに出演するという事も、知っている


男は、結果を導いた


この娘と幸せに暮らす

どうすれば、それが叶うか?


望んだ結果から現在までの過程を逆算し、男は愛する者を手に入れるに至った


既に死のうと思っていた男、天地万世はこの世にいない

この名を名乗る男は、愛の為に生きる男へと変貌した



今、何してますか?


寂しいんですけど、構って頂けますか?


ちょっとだけ、後ろから抱き締めても良いですか?



はやく、逢いたい―――

貴女を、愛しています

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