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はじまりの証

日本とは違う焼ける様な暑い夏の日差しを浴びながら、誠人は結花との定例報告の為にいつものモーテルの部屋の前まで来ていた。

部屋に入ると同時に結花が誠人に目掛け、冷えた缶ジュースを投げつけると、誠人は瞬時に反応して余裕もって缶ジュースを受け取る。


「さっすがぁ、フフ、冷えてるよ」


結花が裸足でベッドにゆったりと座り、笑顔で待っていた。


「ありがとう」

「それにしても暑いね、日本も暑いけど、また違う暑さだよね、日本は蒸し暑いって感じだけど、こっちは焼けるぅー!って暑さだね」

「そうだね」


誠人は立ったまま、ジュースを飲みながら、目のやり場に困りながらも、話す結花を見ている。


「んっ?どうかしたケイン?」

「いや、その新山さんは」

「ケイン!」

「アイリーンはダンスとか踊れたりするのかな…って」


結花は不敵な笑みを浮かべ、誠人を見つめる。


「踊れるに決まってるじゃない、一流のスパイは踊れるものよ」

「ええ!そうなの?」

「アハハハハハ!」

「冗談?」

「ううん、ごめんね、反応が面白くて、でも工作員って、こういうスラムばかりに潜入する訳じゃないから、勿論、ダンスが必要不可欠な場所にも潜入したりもするから、私は一通りは踊れるよ」

「そうなんだ……そういえばさ、新…アイリーンはいつからSeedに?」

「私は卒業して直ぐに1年間海外派遣されてて、その時にスカウトされたよ」

「じゃあ、俺よりも1年早く」

「私は直ぐに任務につかされたから、佐山君みたいに、1年間の訓練は受けてないの」

「じゃあ、2年分も経験の差があるんだ、通りで俺何かとは違う訳だ」

「私とあなたでは求められてる物が違うから、私は女として、あなたは……」


結花はゆっくりとベッドから降りて、少し儚げな顔して立ち上がった。


「新山さん?」

「アイリーン、さっ、ケイン」


そう言うと結花は手を差し出した。


「ダンス、教えてあげる」

「あっああ、じゃあ頼むよ」


結花は誠人の手を取り、片手を自身の腰にあてさせ、ぐっと体を近づける。


「どうしたの?顔赤いよ」

「えっ!ウソ!」


誠人は照れている事に気付かれた事に焦り出す。


「うそ、フフ、さぁステップを踏んでみて、1、2、痛い!」

「あっ!ごめん!なかなか慣れなくて」

「いきなり足踏むかな」

「ごめん……」

「フフ、マスターまでは時間がかかりそうね、さぁ、続けましょ、1、2、1、2」


2人は基本のステップの練習を続けた、誠人はおぼつかない動きで慣れた結花の動きになんとか合わせていた。


「ケイン、本当に練習したの?」

「猪熊さんの彼女さんに教わったんだけどね、ダンスは不得意で」

「ケインでもそういう事はあるんだね、フフ、猪熊さんの彼女さんてニーナさん?だったかしら」

「そう、いい人なんだけどね」

「彼女って、たしかこの地マフィアや高官何か実力者にもなぜか顔が効く未知な部分があるのよね、まぁ猪熊さんは彼女を上手く利用してるみたいだけど」

「そうなんだ……ニーナさんって何者なんだろ?」

「さぁー、私にもわからない」

「それにしても猪熊さんは本当に」

「ケイン」

「あっ!?」

「ショーン」「ショーン」


2人は顔を合わせ、笑いあった、それは一時であったが囁かな幸福の時間を楽しむように。





「おい!ケイン、聞いたか?」


チームのアジトで唐突にノリスが焦った様子で話し掛けてきた。


「どうした?」

「お前の叔父さんの彼女の死体が船着場で見つかったみてぇだ」


誠人の顔からは血の気が一気に引いた。


「ニーナさんが!?どういう事だ!?」

「分かんねぇ、だが、やべぇ事に顔を突っ込んでたみたいで、拷問されたみたいでひでぇ有様だったて話だ」

「クソ!」

「おい、どこに行くんだ!ケイン!」


誠人はアジトを飛び出し、急ぎ車に乗り込み走らせた。突然の事態に混乱と自身に良くしてくれたニーナの死による衝撃で冷静でいられなくなった誠人は、直ぐに猪熊に電話を入れるが繋がらない。


「どうなってんだよ!猪熊さん!」


誠人は車を走らせ続けた。















まだ肌寒さの残るオルスタットの昼下がりに誠人はロングソードを片手に構え、ソフィアは両手でロングソード構えていた。


「これから魔王軍の進軍が始まるまでの間、俺がお前を徹底的に仕込む、泣き言は一切聞かない、ここから先は地獄だと思え」

「勿論だ、手など抜くな!」

「いい心掛けだ」


内心少し戸惑いがあったが、ソフィアは今更引くことの出来ない気持ちにハッパをかけた。


「とりあえず、殺す気で俺に打ち込んでこい」

「無論だ!」


ソフィアは迷いを全て打ち消す様に誠人に全力で斬りかかった。

誠人はソフィアの斬撃を受けると剣で受け流し、柄の部分でソフィアの腹部を攻撃しようとするが、ソフィアは剣の柄を当て、誠人の攻撃を防いだが、誠人は流れる様に後ろ回し蹴りを放つとこれもソフィアは回転で受け流し、そのままの勢いで剣を振ると誠人は剣で力強く受けると剣を離し、ソフィアの回転の勢いを使って投げに入ろうとするがソフィアはこの攻撃すら上手く躱した。


「今の攻撃を全て防ぐとはな」

「同じ手は喰らわない、だが、本当にこの7日間のお陰で前よりも剣を上手く使える、無駄ではなかったようだ」

「そうか、少しはマシになったな」

「マシ!?」


誠人はソフィアを挑発する様に言うと、ソフィアは怒りをあらはにしたその時、誠人は手に隠し持っていた小石をソフィアの顔に目掛け親指で弾き飛ばした。


「いっ!」


ソフィアは思わず目を瞑ってしまい、目を開けた時にはロングソードが地面に突きさった状態であり、誠人の姿はなく、ソフィアは突きさったロングソードを思わず凝視してしまい、直ぐに我に帰り誠人を探すが時すでに遅し、誠人はソフィアの死角から打撃を加え、剣を叩き落とし、そのままの勢いでソフィアを投げ飛ばした。


「グハッ!」

「違ったな、まだまだだ」

「くっ、こんなの……」


ソフィアはつい言葉にしてしまいそうになってしまったが、何とか悔しさと誠人と言う人間の非情に怒りの言葉を喉の奥に閉じ込めた。


「まだまだだ、私はこんなものでは折れない、行くぞ!」

「その意気だ、次はお前へから攻めて来い」


そう言うと誠人は何も持たずに、ソフィアに斬り込んで来る様に手招きをするがソフィアは直ぐに動けずにいる。


「くっ」

(誠人は手ぶらだぞ、だが誠人の事だ何か仕掛けがある、それは分かっているだからこそ動けない、どう攻めればいい?クソ、考えろ考えろ、動くんだ)


誠人はそんなソフィアの思考を読んでいるかの様にトットットッと構えもせず歩寄っていく。


(距離を取るか?それではダメだ、打ち込んで行かなければ、しかし、体が前に進まない、迷ってる暇はない!)


ソフィアは斬りかかる為に剣を振り上げた瞬間に誠人の射程範囲に入っている事に気が付くが最早誠人の攻撃を防ぐ手段を考える間もなく、両手首を掴まれ背負い投げをくらってしまう同時に剣も奪われ、ソフィアの首元に剣を突き付ける。


「くぅぅう」

「お前に迷う暇はない、言葉や情景に踊らされるな、立て」


誠人は立ち上がったソフィアに柄の部分を差し出し、剣を渡すと、ソフィアは剣の柄を持ち受け取ると、柄に目をやり過ぎ、誠人を死角に入れてしまった事に気が付き、誠人を確認するがもう誠人の姿はなかった。


「しまった!」


ソフィアは直ちに誠人を探すが見つける事が出来ずにいると背後から誠人がソフィアの背中に剣の腹の部分を叩きつける。


「うわあああ!」


ソフィアは吹き飛ばされ、地面に倒れ込む。


「お前はいつまで、そんなつもりでいる?殺し合いにルールがあるとでも思っているのか?お前が考えてる間にも敵は動く、予想通りには動くとも限らない、予想するな、動かせ、考えさせるな、隙を与えるな、隙を作れ、休むな、休みを与えるな、殺させるな、殺せ」


ソフィアは這い上がるよに立ち上がり、剣を構え、誠人を鋭く睨みつけた。


「うあーーー!!!」


ソフィアは全身全霊で誠人に立ち向かった、何度何度、幾度となく倒され痛め付けられようと、強い意志と折れることない心で立ち向かい続けた。時が過ぎるのも忘れ、剣を振り、知恵を振り絞り、気付けば日は暮れ、青い月が空には光り輝いていた。


「はぁーはぁーはぁーはぁー……くっ」

「今日はここまでだ、朝までに回復しておけ」


誠人は一切息も切らさず、疲れすらないようなまま、仰向けで倒れ動けなくなったソフィアの前から去っていった。


「くそ……ハアハアはぁ……」

(声ももう出ない体も指一本すら動かせない、分かっていたが……分かっていなかったのだな、誠人とここまで埋めようのない差がある事を……この差は何なのか私にもいつか理解できるのだろうか……)


ソフィアはその場に気を失うように眠た。





………………「父上、私は騎士になりたいのです!勇者様の様な強い騎士に!」私がそう言うと父上は何も言わず、悲しそな目で私を見ていた、あれは一体何だったのだろうか……私が女の身でありながら騎士になりたがったから?いや、違う、あの目は、父上の悲しみはそんな事ではない…………………………………………………………。






「ソフィア……ソフィア、ソフィア!」


ソフィアが目を開けると目の前には心配そうな顔のロイドがそこにいた。


「兄様……はっ!私は!?」


ソフィアはハッとして起き上がった途端、ロイドが治癒魔法をしていてくれたお陰で、痛みが癒え、立ち上がる事が出来たことにソフィアは直ぐに気が付いた。


「兄様申し訳ございません……」

「いや、構わないよ」


ロイドは優しくソフィアに微笑んだ。


「ソフィアが戻っていないと聞いて、心配で見に来てしまったよ、本当に頑張っているのだね……」

「私はまた、兄様にご迷惑を掛けてしまったようですね……」

「そんな事はないさ、ソフィアが迷惑を掛けた事など一度ないさ、私は兄なんだ、妹の心配くらいさせてくれないか?私にはそれくらいの事しかしてやれない……」


ロイドの笑顔には妹を思う優しさと、何もしてやれない不甲斐なさが表れている様でソフィアの心には切なさが切々と溢れてきた。


「兄様、私は本当に弱い……こんなにも無様で何も出来ません」

「そんな事はないさ、ソフィア、お前は強いよ、私何かよりもずっと」

「そんな事はありません!私は弱い!今日だって、ようやく誠人が修業を付けてくれたにも関わらず、私の攻撃はかすりもせず、疎かな策も簡単に打ち破られ、誠人の強さに全く歯も立たず、何も出来ませんでした!私の強さとはなんなのでしょう……」

「そうだね、誠人殿は強い……でもあの方強さは私などが想像も出来ない様な、底知れない修羅場と数え切れない程の犠牲から培われた物なんだろうね」

「犠牲?ですか、私も犠牲を払えば……」

「そうではない、犠牲を払えば強くなるなんて事はないさ、誠人殿はソフィアにそうなっては欲しくない、だからこそ突き放すようなことをしていたんだろう……ソフィア、お前なら違った道を歩める、私は…誠人殿だってそう思っているさ」

「私には……そんな」

「大丈夫だ、お前は強い、私はそう信じているよ」

「兄様……頑張ってみます」


ソフィアに向けられる、嘘偽りのないロイドの笑顔にソフィアは、その期待に応えたい強い想いと裏腹に一筋の困惑を感じないた。


「それにしても、随分やられたようだね、誠人殿は本気でソフィアを鍛えようとしてくれているようだ」

「そうですね……ですがあいつは本当に加減もなければ節操もありません!勝つためになんでもするとは言えど、私の胸ですら平気で触るような事をして来るのです!」

「そ、……そうなのかい?」

「まあ、あいつに変な意図は無いのは分かってはいますが……手加減をしないのは私の願いですので、あいつは本気で私に接してくれている、私もくよくよしている場合ではありませんね!ありがとうございます兄様」

「ああ、それでいいよ、ソフィア、お前はそうして輝いていてくれ」

「輝く?……はい!私は帰ってまた明日に備えます、兄様、本当にありがとうございます」


笑顔で見送るロイドは心配ながらも心の底からソフィアを信じていた。


「頑張れ、ソフィア」




オルスタット城内庭園で夜遅くまで魔法の練習をするレオリオを遠くから見つめるマリアの姿がそこにはあった。


「マリア、心配ですか?」

「リリアナ様、いえ、私などが心配せずとも、レオリオ様は大変良くやっていらっしゃいます」


マリアはリリアナに一礼してその場を後にしようとする。


「マリア、ありがとう」

「いえ……」


マリアは表情を変える事無く普段どうり無表情で仕事へと戻って行くと、リリアナは少しレオリオの様子を見て、書斎へと帰っていった。

それぞれが多種多様の想いを持ち、時は過ぎ、また夜が明ける。





「ぐはっ」


ソフィアが誠人に訓練を受け、容易く倒され、上手く立てずに蹲っている。


「今日は、この辺で終わりだ」

「まっ、待て、まだ私はやれる」

「終わりだ、何度繰り返しても無駄だ、同じ事を繰り返しても意味はない、お前自身に変化がなければ同じだ、それに魔王軍が迫っている、お前も準備をしておけ、万全な状態でいられないと死ぬぞ」

「くっ」


ソフィアは立ち上がれずに剣を地面に突き刺し、杖にして何とか立てるといった状態だった。


「情けない、こんな事では……クソー!」


ソフィアは前に進もうとするが、石に躓き転び倒れ込み、何とか体を仰向けにする。


(変化……もう魔王軍が迫っているというのに、私はどうすればいい、父上……あなたが今の私を見たら何と言ってくれるだろうか……)

「ふっ、黄昏過ぎか……」


ソフィアはその場で目を閉じると、眠りに入ってしまった。



「父上!」

「ソフィア、どうしたのだ?」


まだ幼いソフィアが父親のドーソンに駆け寄る。


「私は勇者様や父上の様な誇り高い騎士になります!」

「ソフィア、その事については話し合ったはずだ、子供の戯言までは許せるだが、お前ももう成人だ、女としての幸せを考えてもいい年頃だ」

「私にとっての幸せは私が決めます!」


幼いソフィアの目は嘘偽りのない純粋で真っ直ぐな目にドーソンは押し負けそうになりそうになる。


「騎士になるという事がどういう事か分かっているのか?ソフィア、お前はその覚悟があるのか?」

「なければ、ここにはいません!」


ドーソンはソフィアの強い決意に複雑な表情をしている。


「……勇者様がお亡くなりになった、今、世界は大きく変革する、ソフィアお前はこれから辛く苦しい日々が訪れやもしれん、騎士とはその中でも誇りを持ち、強く在らなくてはならない、引き返す事は出来ないぞ」

「勿論です!」


ドーソンは腰に刺していた剣を幼いソフィアに手渡す。


「これをお前にやる、好きな様に使え、ソフィア、強くなれ」


まだ幼いソフィアにはドーソンから渡された剣は重く、剣の重さに言葉には表せない程の重圧がソフィアの手に重くのしかかった様な感覚に襲われた。





「父上、私も連れていってください!父上のお役に立たせてください!」


ソフィアはドーソンから貰った剣が身の丈に合う様になっていた。


「ソフィア、お前はオルスタットに残り、この地を守ってくれ」

「オルスタットは兄様が居られます、だから、私を共に連れて行ってください!」


ドーソンは訓練でボロボロになったソフィアの手に巻かれた包帯を見つめている。


「ソフィア、今はお前の出番ではない、これから先、必ずソフィアの力が必要となる日が来る、だがそれは今ではない」

「しかし、父上!」

「ロイドは確かに優れた子だ、だがまだまだ未熟だ、お前が傍にいて支えてやってくれないか、ソフィア」

「う……わかりました……」


ドーソンはソフィアの頭に優しく手を置いた。


「ソフィア、お前はもう立派な騎士だ、後はお前らしく、他の誰でもない、ソフィアとして強く、誇り高く進め」


ドーソンは優し笑顔をソフィアに向け、オルスタットを後にした、もう二度と戻らぬ故郷を名残なく、戦地へと向かって行った。






「父上……」


仰向けに倒れていたソフィアは目を覚ました。

目を開けるとそこには満天の星空が美しく輝いていた。


「私は私でしかいられない……それは変えられない、ならば……」


ソフィアは起き上がり、剣を地面から抜き、腰に刺し走り出す。





教会から出て来た誠人を鋭い目つきをしたソフィアが待ち構えていた。


「誠人、お前にとって私は何なのだ!」

「何を言っている?」

「私は確かに弱い、お前にとってはタダの女が騎士の真似事をして剣を振り回している様にしか見えないかもしれない、だが私は本気なのだ!どれだけ馬鹿にされようと、軽んじられようとも、私は私として……うっううう」


ソフィアは両手で顔を覆い隠し、泣き顔を隠す様に蹲る、その姿を見た誠人は少し呆れた様にソフィアから目を逸らしたその時、誠人はこの場の違和感にハッとさせられる。


「アイスニードル!」


誠人の足元に魔法陣が展開され、複数の氷の槍に襲われ、何とかガードをする事が出来る程だった。

誠人が氷の槍に気を取られていると、ソフィアが剣で斬りかかって来るのを察し何とか腰に刺していた、ショートソードで受け止めた。


「流石にこれだけ仕込んでも、防がれるか、ならば!」


ソフィアは脇差で誠人の首元を刺しに行くと、誠人は裾に隠し持っていたナイフでこれも受け止めた。


「何!お前は一体幾つ武器を隠し持っているんだ!」

「なかなか悪くない攻撃だ」


両手で鍔迫り合いをする最中、誠人は少し口元が笑った様な気がしたが直ぐに無表情に戻るとソフィアの顔を見つめていた。


「ソフィア」

「ふっなんだ!」

「鼻毛が出ているぞ」


ソフィアは誠人の不意な発言なカァッと顔を赤くした。


「そそそ、そんなはずは無い!私は身だしなみはいつも!」


誠人は恥ずかしさで混乱し油断するソフィアの溝内にお構い無しにブローを入れた。


「グハッ!誠人……貴様!」


ソフィアは不意な攻撃に油断していて、防ぐ事も出来なかったため、直撃の痛みに蹲る。


「女を武器にするのはいいが、女を弱点にするな」

「うっ……待て、鼻毛など出ていないだろ、この卑怯者!」

「それは褒め言葉だ、奴らが迫ってる、戦闘の準備を整えておけ」


誠人はソフィアを背に手を振るような素振りをして、立ち去って行った。


「あいつには手加減というものがないな、フフ、ハハハ……馬鹿者が」


ソフィアは立ち上がり、深く深呼吸をし、吹っ切れた様にオルスタット城に向けて走り出した。


















大群を連れ、地鳴りを鳴り響かせながら進行する、プルートーとジュートにフリンジが前方の軍団から駆け付ける。


「プルート様、予定通り明日には本陣予定地に到着致します」

「順調だね、予定通りなのはいい事だよ、1人余計な雌犬がくっ付いている事以外はね」

「はっ、奴は特に目立った動きもなく、物見と言うだけあって、ただついてきているだけの様ですね」

「目障りな雌犬が、いつまでいるつもりなのか、まぁ気にしててもしょうがないね、で、ジュート首尾はどうなの?」

「問題ありません、順調に進んでおります」

「そっか、じゃあ、急いで行かなきゃね、ハハハ」


プルートーは機嫌良く、進行し続けていた。





























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