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第8話 観光




「今日は観光でもするか」


「うん、色んなところ見て回りたい」


 シンとハルは宿の外で道行く人々を見ながら話していた。今日も今日とて、賑やかなカラムだった。


「じゃあ、まずは服でも見るか」


 シンが歩き出したので、ハルも後ろを付いていく。大勢の人と見ると、少し大きいんだと、ハルは、シンを見て感じる。


「安いよー、嬢ちゃんどうだい?」


 声をかけられ、その店を見る。そこでは甘い匂いのしたお菓子が売っており、ハルは無意識にその店の商品を眺めていた。


「美味しいぞー」


「うん、美味しそう。あ、お金」


「はは、嬢ちゃんお代は良いから、少しここで食べててくれないか?」


「え、良いんですか?」


 ハルは、お店の主人に甘い匂いのしたお菓子を渡される。見た目はクッキーを少し大きくしたようなもので、表面にキラキラ光るカラメルがまぶしてある。


「頂きます」


 一口かじる。サクッとした感触の中から、トロッとしたクリームが出て来る。クリームはどうやらチーズのようで、サクサクの甘いクッキーとの相性がとても良かった。


「美味しい…! 凄く美味しいですね!!」


「だろー、“クッチー”って言って、最高傑作なんだ。そして、嬢ちゃんありがとな。美味しそうに食べてくれたおかげでほら、お客さんがいっぱいだぜ」


 店の主人はニタァと笑みを浮かべてウィンクをする。ハルもウィンクを返して残りのクッチーを食べ終える。店主にお礼を言い店から離れる。そこでハルは気付く。


「あれ? シン?」


 シンとはぐれたハルは、辺りを見ながら宿に戻ろうとする。しかし、流れ着いたのは広場だった。

 広場では様々な種族がスポーツや散歩、日向ぼっこをしていた。それこそ魔族も普通に暮らしている。


「新聞だよー」


 ハルはその声を聞いてそちらを向く。人混みが出来ており、気になったので近づいてみる。


「嬢ちゃん、新聞いるかい? 今回は訳あって無料なんだ」


「あ、貰います」


 新聞屋さんから新聞を受け取り大見出しを見てみる。そこにはでかでかと『遂に終戦』と書かれていた。


「終戦……」


 読み進めてみる。


『遂に魔族と多種族連合との戦争が終戦を迎えた。調査団が調査したところ、魔王城が完全に崩壊しており、勇者の物と思われる破壊跡も見つかった。しかし、勇者の帰りがないことが発表されている。我らの英雄は死んでしまったのだろうか。調査団はもう暫く調査に時間がかかると発表していた。』


「はあ、終わったんだな。戦争」


「なんて言ったら良いか分かんなぁけど、俺はこれからもお前と友達だぜ?」


 新聞から顔を上げると、魔族と獣人の二人組が話していた。とても親しげで、笑い合っている。


「戦争も、この街みたいに、平和にいかなかったのかなぁ」


 人狼の青年がため息混じりに呟く。


「いた、」


 ハルは肩を掴まれ、全身が跳ねるほどに驚く。振り向くとシンが相変わらず無表情で立っている。額に汗を浮かべているということは、探し回ってくれていたのだろう。


「ごめん。……あ、これ、新聞」


「ああ、ありがとう」


 シンは新聞を受け取り少しの間眺める。表情がいつも以上に読み取れない。


「なるほどね、モーモー牛乳が値上がりするらしい」


「……は?」


「ほら」


 シンは新聞を指差す。そこには『長年の歴史を誇るモーモー牛乳が値上がりすることが分かった。』と、書かれている。


「十ゴールドもか、結構変わるなぁ」


 シンはそう言いながらハルの手をとる。ハルは、しっかりと繋がれた手とシンの顔を交互に見る。


「もうはぐれないでくれよ」


 二人は広場を後にした。









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