あーくんの1日 13話
是非読んでね
「広いねー」
リカの言葉に僕はうなずく。
大きいショッピングモールは何回来ても広く感じる。
「ねーねー、あーくん」
「なに?」
「まだ時間あるから、都市伝説のエレベーターで異世界に行く方法試してみない?」
エレベーターで異世界か。
確か、正しい順序でその階に行けば、異世界にたどり着くという話だ。
「いいね。おもしろそうじゃん。やってみよう」
異世界への行き方は、リカが言うにはこんな感じらしい。
【 1階→3階→5階→4階→5階→6階→2階
※2回目の5階で綺麗な女性が入ってくる。その女性は6階でおりる。
※この順序で2階に行けば、異世界にたどり着く。】
そうして僕たちは1階のエレベーターに乗った。
「ボタン押すよ。準備はいい?」
リカが聞いてきた。
「いいよ。ボタン押し間違えないでね」
「もう!私がそんなミスするわけないじゃん」
しばらくして扉が開いた。
扉の向こうには、3階にはないはずの洋服売り場が広がっていた。
「やっぱり、ミスってんじゃん」
「ごめん、5階のボタン押しちゃった。てへっ⭐︎」
リカにボタンを任せては日が暮れてしまうと判断し、僕がボタン係になった。
「異世界ってどんな世界なんだろうね?」
リカが聞いてきた。
「気になるよね。未知の生物が住んでる世界じゃない?それか、天使がいる天国とかじゃないかな?」
僕のテキトーな予想に、リカは恐ろしいことを言ってきた。
「違ったら、罰ゲームでかなやんに告白してね」
「やだよ。フラれる自信しかないもん」
しばらくすると、順調に2回目の5階に着いた。
うまくいけば、ここで綺麗な女性が入ってくるはずだ。
ドキドキ。
そして扉は開いた。
確かに女性がいた。
しかし、その女性というのも綺麗は女性とは決して言えない、ヨボヨボのおばあさんだった。
「これ大丈夫なの?失敗じゃない?」
僕は小声で聞いた。
「た、たぶん、だ、だいじょうぶだぁって」
リカはかなり動揺しているようだ。
ブゥ〜。
突然変な音がした。
くさい。
リカは僕を責めてきたが、僕じゃないので否定する。
「ごめんね。おしりの穴がゆるくて我慢しようと思っても出ちゃうの」
白状してきたのはおばあさんだった。
まじか。
ブゥ〜。ブボボボボォー。
またしやがった。
このクソババアめ。
エレベーターの中は密室なため、ニオイが充満している。
そして、おばあさんは予定通り6階でおりた。
「あれ?予定通りじゃん。あのクソババア6階でおりたよ。」
「本当だね。私たちもしかしたら本当に異世界にいけるかも。楽しみだね。」
そして2階。
扉が開く瞬間、心臓がバクバクした。
扉が開いた。
扉の向こう側には本コーナーが広がっていた。
「あれ?これ異世界?」
リカが聞いてきた。
「違うよ。普通の2階だよ」
2人は落胆した。
やっぱり異世界に行けるわけないよな。
今日も悲しい1日であった。
読んでくれてありがとう