表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
97/186

97.このメンバーに暇を与えてはいけない理由

本日は武闘大会準々決勝。

 

第一試合 予選1位リューザ対予選2位カサバ

第二試合 予選3位ゼムノア対予選4位ゲイズ

第三試合 第二試合勝者対予選10位レオン

第四試合 三位決定戦

 

このスケジュールで執り行われる。

 

・・筈だったが、昨夜の大捕物で国王の午前中欠席が決まってしまい、本日の試合は午後からとなった。

 

クルティナ君のせいである。

 

 

「暇ねー。」

「唐突に暇が出来たな。」

 

私達はゼムノア君の選手控え室で待機していた。

アリサとリティア君は実況放送の仕事もあり、大会関係者扱いとなったので、ここに居ても良いそうだ。

 

「アタシ寝てて良い?」

「そうしたまえ。」

 

アリサは起きてると姦しいので、寝てくれていた方が助かる。

 

「シャチョー様、それではゼムノアの黒歴史話でもいかがでしょう?」

「君はサラリと鬼のような提案をするね。」

 

見たまえ、ゼムノア君の顔を。

青ざめて絶望しているではないか。

これから闘いに赴く選手を前に、闘志を根こそぎ奪うような事をどうして提案するのか。

 

聞いてみたいけど。

 

 

「とは言え、今後を考えてもゼムノア君の実力は知っておきたいものだ。仲間の能力を把握しておくことは大事なことだからね。」

 

ゼムノア君が強いのは判ったが、一体どれ程なのか分からない。

魔獣が存在し、荒事の多い世界である。

どんな敵が現れるか判らないので、せめてどれくらい魔法が使えるのか知っておきたいな。

 

それにスキルポイントを消費せずに覚えられる魔法やスキルがあれば教えて貰いたい。

相手は魔法の始祖。魔法の神。

暇な時こそ、時間を有効活用したいではないか。

 

「流石ですシャチョー様。ではゼムノア、シャチョー様の要望は私の悲願。シャチョー様の質問は私の至上命題。シャチョー様の意向は私の厳命。良いですね?」

「は、はい・・」

「声が小さい!」

「ひゃい!」

 

何この上司の言うことは絶対みたいな洗脳ムーヴ・・。

神界の職場環境は真っ黒だと判明した。

 

「よし、では取り敢えず脱ぎなさい。」

「ひゃい!」

 

シュルッ

 

「って待て待て待て待て!どうして脱ぐ事になった!?」

 

ゼムノア君は取り敢えず服に手を掛けるをやめたまえ!

 

「え?シャチョー様がゼムノアの能力を知りたいと仰いましたので、まず脱がせるべきかと。」

 

何故前提条件が脱衣なのか全く意味が分からないのだが・・。

 

「私は能力が知りたいだけだ。それと脱衣がどこに繋がるのか理解出来ないのだが?」

「え?ですからまずは脱ぐべきかと?」

 

駄目だ。流石はリティア君だ。

知力値100をもってしても全く理解が出来ない。

 

「アリサ、君は理解できるかね?」

「アタシがリティアの言動、理解できると思う?」

「訊いた私が悪かった。」

 

念の為にアリサにも確認したがやはり駄目だった。

 

当然クルティナ君に聞くのは時間の無駄だ。

リティア君の絶対イエスマンは、何を言ってもリティア君が正しいと盲信しているからね。

 

「リティア君、もしかして君は私が知りたい能力を勘違いしていないかね?」

 

この壊滅的に合わない辻褄は、前提から狂っているとしか思えない。

 

「そんな事は有り得ません。」

 

その自信が疑わしいのだが・・。

 

「では私が知りたい能力は何か言ってみたまえ。」

「無論秘書の能力です。」

「 戦 闘 能 力 だ よ ! 」

 

全然違うではないか!

 

「なるほど、夜の戦闘能力でしたか。」

「朝でも夜でもないよ!」

 

残念、ちょっと外してしまったか、みたいな顔をするんじゃない!

掠ってすらいないから!

 

「え?秘書の能力とは、どれだけ淫靡且つ背徳的魅力をムンムン放てるか、に集約されますよね?」

 

秘 書 に 謝 れ !

 

「だから秘書の仕事にエロ方面の業務は無いと何回言えば分かってくれるのか!」

 

誰だリティア君に間違った秘書の知識を与えたのは!

殴ってやるから出てこい!

 

「そんな、ではどんな事をすれば・・」

「そこで途方に暮れないでくれ!」

 

泣きたくなる!

 

「第一ゼムノア君は秘書ではないだろう!」

 

秘書でもないゼムノア君の秘書能力調べてどうするのだ!

いや、そもそも秘書能力は要らないんだよ!

あーもー、早く秘書談義から離れたい!

 

「あ、これは報告が遅れ失礼しました。ゼムノアは私の配下として迎えましたので、自動的にシャチョー様の第二秘書となったのです。」

 

いつの間に・・。

 

「は?そうなのかゼムノア君。」

「は、はい、勝手にそうなってました。」

 

不憫だ。ゼムノア君に選択肢は無いのだろうな。

まあリティア君やクルティナ君が余計なことをしなければ、秘書だろうが付き人だろうが、特に実害はないので構わないが。

 

「ですので秘書スキルにゼムノアの項目が加わっております。」

「無駄に高度!そして要らない項目が増えた!」

 

職務的な秘書ではなくて、スキルとしての秘書だった!

 

秘書スキルレベル3は秘書が顕現。

Lv4で、秘書に壁ドン顎クイッ出来る権限獲得

Lv5で、秘書を彼女に出来る権限獲得

Lv6で、秘書と同棲出来る権限獲得

Lv7で、秘書を嫁に出来る権限獲得

Lv8で、秘書と子作り出来る権限獲得

Lv9で、秘書自身になれる権限獲得

Lv10で、秘書以外に愛人を作れる権限獲得、但し取得すると家庭崩壊リスク増

だったか・・。

 

クルティナ君にしか需要がない無駄しかないスキル。

スキルの削除が出来るなら、真っ先に消したいスキルだ。

 

つまりレベルを上げると本人の意思に関係なく、秘書に登録された人全員が妻になったりする訳だ。

よく考えると恐ろしいスキルだな・・秘書登録って呪いか何かなのか?

 

『何て羨ましいスキルか!』

「こんな要らないスキルを羨む人がいた!?」

 

クルティナ君が作ったスキルじゃないよね?

 

 

「では、秘書としてのゼムノアのどんな能力を知りたいのでしょうか?」

「まず秘書から離れて!お願いだから!」

 

どうして私の質問が秘書の能力に置き換わったのか。

リティア君に訊いたのが間違いだった。

 

「ゼムノア君がどれくらい強いのか知りたいだけなのだよ。例えば、私と比較してはどうかね?」

 

はぁ、やっと本来聞きたかった話に辿り着けた。

と安堵したこの時の自分を殴りたい。

 

私はここで地雷を踏んでしまっていたのだ。

 

「それは難しい質問ですね。互いに両者を即死させられる魔法を瞬時に発動出来ますので、タイミングや環境に左右されます。」

『妖木もゼムノアも最大出力のヴォルドアーク一撃で生物的絶命に至る。』

 

リティア君に加え、クルティナ君も考察に加わった。

成る程、互いに一撃必殺なら勝負なんて意味は成さないか。

 

しかし、よく考えると危うい環境だ。

お互いいつでも相手を瞬殺できる手段を持っていて、それを用いないストッパーは個々の倫理と理性だけという状態か・・。

魔法という能力は実に恐ろしいな。

 

「魔法障壁レベルも同じですし、互いに防ぐ手段がありません。撃たれたら終わりです。」


ヴォルドアークは魔法障壁Lv5では防ぎ切れないのだな。

 

「ふむ、瞬間火力は同等という訳かね?」

『いや、瞬間火力や集団殲滅力はゼムノアが上だな。ゼムノアは最大レベルの全ての魔法を使える。』

 

この世界の魔法を創った人だからな。当然全ての魔法を習得しているか。

 

「流石は魔法の神だね。」

『だがヴォルドアーク以上の魔法は、威力的にオーバーキルなだけで、発動が遅くなる分だけ不利だ。無駄魔法とも言えるな。』

 

おお、有用な情報が出てくるな。

普段の会話には無い、中身のある会話。良い傾向だ。

 

「ですが継戦能力はシャチョー様が上ですよ。シャチョー様には高い魔力量に加え、吸収スキルと知力100がありますので、ゼムノアを圧倒します。」

 

成る程、ステータス値的には私が有利なのか。

 

『いえ、妖木は機動力が皆無です。つまりゲリラ戦が出来ないという致命的な弱点があります。撃たれたら終わりな以上、隠れ潜む事が可能なゼムノアが有利では?』

 

確かに狙撃戦では格好の標的になってしまうな。

 

「いえいえ、シャチョー様にはゼムノアにはない転身スキルがあります。ゼムノアは転身したシャチョー様を追跡できませんよ。」

 

『それを言えば妖木には寿命がありますが、ゼムノアは厳密には死にません。妖木はいずれ朽ち果てます。従いまして最終的にはゼムノアが勝つ事になります。』

 

ん?普段はリティア君の盲目のイエスマンたるクルティナ君が珍しく食い下がるな?

 

「そんな事にはなりません。シャチョー様は年月が経つ度にスキルポイントを得られますので、どんどん強くなるのです。ゼムノアとは成長速度がまるで違います。」

 

『しかし妖木は戦闘の素人。経験値では圧倒的にゼムノア有利です。命懸けの極限状態では実力は出せないでしょう。』

 

あー、クルティナ君は私の存在を認めていないからな。

単に私を肯定する事を忌避しているだけか。

それにしても白熱していないか?

 

「いいえ、そもそもの話シャチョー様にはゼムノアにはない智謀戦略と前世の知識があります。勝負とは始まる前から決まっているのです。つまりシャチョー様が強いのです。」


『ですがゼムノアが本来の力を得た場合は、時間を超越する事も可能ですので、スタートラインなど書き換えてしまえば済むことです。』

 

ちょっと二人とも落ち着いて・・

 

「それは仮定の話では?」

『リティア様こそ妄想の話を拡大し過ぎでは?』

 

うわぁ・・

 

「・・・・ふふふ。」

『・・・・ははは。』

 

何これ恐い!

 

「『ゼムノア!』」

「ひゃっ、ひゃい!」

 

「『 チ ェ ン ジ で ! 』」

「へ?」

 

リティア君とクルティナ君が同時にそう言った直後、ゼムノア君の身体が光輝き始めた。

 

「ちょっと何何、何なの!?」

 

寝ていたアリサも飛び起きる。

あ、この光で光合成が・・気持ちいい。

 

とか言ってる場合ではない!

これはもしかして、もしかすると・・

 

「ふう、ワタシの降臨だ!」

 

ク ル テ ィ ナ く ー ー ん !

またゼムノア君の身体乗っ取ったな!

 

温泉宿以来か、クルティナ君の姿を見るのは。

相変わらず絶世の黒髪美人さんだ。

今回はちゃんと服を着てくれているな。

いや、良かった。

 

って良くない!

まだ時間はあるが、この後武闘大会準々決勝が始まるんだぞ。

 

「来ましたねクルティナ。」

「ええ、リティア様。」

 

あ、これマズイのでは?

前回はリティア君がクルティナ君の送還に協力的だったので10分間の制限を設ける事が出来た。

しかし、どうやら今回はリティア君が望んでクルティナ君を召喚した節がある。

 

ゼムノア君、試合までに元に戻れるのか?

それより神界で見付からないようにどこまで隠れられるのか?

どちらにせよ、ピンチではないか!

 

「私のシャチョー様こそ最強です。」

「いいえ、ゼムノアが勝ちます。」

 

「えっと、それ、どうでも良くないかね?」

「良くありません!」『良くないに決まっている!』

 

あーそーですかースミマセン。

 

「クルティナ、貴女と意見が対立するのは久し振りですね。歓迎します。」

「リティア様、ワタシとの勝負にその姿で良いのですか?」

 

「ふふ、そうですね。では、私も本気を出しましょう。」

 

リティア君まで眩い光に包まれる。

あ、光合成。

 

そして久し振りに元の姿に戻っていた。

改めて見るとこちらもとんでもない美人さんだ。

女神って凄いね。

 

しかし懐かしいなー。

リティア君もこの姿だと、見た目だけはちゃんと女神感あるよね。

中身はポンコツだけど。

 

「『勝負!』」

 

などと感慨に浸っていたら、女神同士の闘いの火蓋が切って落とされていた。

 

 

もうどうにでもなれと思う・・。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ