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83.ヴォルドアークがぶっ壊れ魔法だった

で、妖精拉致の実行犯を王都警備隊に引き渡した後。

ここからは蛇足なのだが、クルティナ君にお願いして実験をしてみた。

 

この時、捕まえられたのは実行犯だけ。

だが、彼等に指示した親玉がいる。

欲深き親玉が健在な限り、王都では安心が出来ない。

 

そこでその親玉にも鉄槌を喰らわすことが出来ないか、クルティナ君に相談したのだ。

 

親玉達は私の魔力感知ではどこに居るか判別が付かない。

今現在も失敗した部下を貶しながら、どこかで優雅に過ごしているのだろう。

そんな卑怯者を私は野放しにしたくはない。

だが、目標が判らなければ攻撃することが出来ない。

 

それをクルティナ君のサポートで、対象を特定し、攻撃出来るか試してみたのだ。

まあ、出来なくても大した脅威ではないので、オマケのようなものである。

 

 

そして、気軽にやってみたところ、気軽に出来てしまった。

ヤバ過ぎる!

 

「当然です。シャチョー様ですから!」

 

謎の根拠でリティア君が誇らしげ。

君、今回関係ないよね?

クルティナ君が有能なだけと思うのだが・・。

 

『リティア様に仇成す者はワタシの敵だ。』

 

正直、この事実にドン引きしている。

 

複数のターゲットに同時攻撃可能で、正確無比な上に恐ろしく強力な、超々遠距離射撃。

それが成立したことになる。

完全に反則である。

 

まず使用した魔法は光魔法Lv7ヴォルドアーク

この魔法、任意の場所に雷を落とすだけの魔法と思っていたが、その「任意の場所」というのが、本当の意味で任意の場所だった。

 

なんとターゲットを決めると、そこに向かって正確無比に稲妻が走るのである。

自動的に、勝手に、追尾までして・・

知らなかった。

 

私はこれまで、任意の”位置”に向けて落としていた。

だから、ターゲットが動くと外す事もあった。

それをターゲットに向けて撃つだけで、必中となる。

エグい・・。

 

しかも雷なので、発動と同時に文字通り光速で襲い掛かる。

殺傷力も高いというえげつなさ。

凶悪そのものである。

 

流石に地下に潜っている者には無理だろうと思っていたら、そんな事情もお構い無し。

本当の意味で必中なのだ。

バグってるなこの魔法!

 

この事実を教えてくれたのが鑑定スキルであるクルティナ君だ。

鑑定スキルらしい働きをしてくれる。

 

 

だが、流石に私が認識し得ない、何処にいるか判らない相手をロックオンは出来ない。

それをサポートするのがクルティナ君である。

 

ターゲットの座標を私の思考に投影してくれて、ターゲットの姿、距離、周辺環境等を、私が見ているのと同じレベルで伝えてくれるから成り立つ離れ業であった。

尚、このイメージの伝達は思念通話の応用『思念共有』というスキルで実現可能らしい。

 

あとはヴォルドアークの発生場所と着弾場所(ターゲット)を決めて放てばリモート攻撃の完成である。

その為、地下の部屋の中に居ても、部屋の中で発生させてしまえば攻撃可能となった。

逃げ場が無い!

 

世界の何処に居ても、女神であるクルティナ君はいとも容易く捕捉する。

この世界に居る限り、クルティナ君の目からは逃れる術はない。

 

その反則的な諜報能力に、ヴォルドアークのぶっ壊れ性能が加わると、まさに天の裁きのような現象が引き起こされるのであった。

 

理論上、世界の何処に居ても攻撃が可能。

ヴォルドアークがここまでぶっ壊れ性能の魔法とは思っていなかった。

 

 

但し弱点はある。

消費魔力が多いのと、あくまで私の魔法なので、指定の場所まで私の魔力をお届けする必要があるのだ。

 

発動させると、魔力を現地にお届けするのは、魔法が自動的にやってくれるのだが、途中で放散するらしく、魔力消費極少補正で魔力7しか減らないところ、遠くなると数倍減ることが判った。

なので、遠くなればなるほど、距離に比例して魔力がゴッソリ減る。

 

設定した威力によっても、消費魔力は変わる。

殺傷力を上げると、その分減りが激しい。

スタンヴォルト程度の威力なら、そんなに減らない。

 

魔力は後払いなので、魔法が成立した後に、必要となった魔力コストを徴収される。

突如ゴッソリ魔力が減るのは、判っていても気持ちが良いものではない。

 

魔力が足りなかったら威力が弱まったり、発動しない場合もある。

魔力に依存するのは、魔法だから当然だった。

 

それでも私の魔力保有量と消費魔力極少補正があるので、凶悪そのものだ。

 

 

この実験に付き合う事となった、憐れな悪党の親玉は、突然、何の前触れもなく雷に撃たれるという不運に見舞われたのであった。

ま、全員生きてはいる。

威力は弱めにしておいたのでね。

 

尚、屋外に居たら、光魔法Lv4レイヴァブレイドやLv5フォトンレイザーによる精密射撃の方が消費魔力が抑えられて、静音なのでお手軽だ。

 

 

私はゼムノア君に後始末を任せることにした。

 

『アルファ1(ゼムノア君)、王都警備隊にこれから伝える場所に向かうように要請してくれたまえ。手下からの情報で、組織のアジトの場所が判ったとでも言って、適当に先導して欲しい。情報が信用されず、警備隊が動かなければそれはそれで良い。』

『了解した。作戦をフェイズ2へ移行する。』

『幸運を祈るよアルファ1』

 

こうしておけば、役に成りきってるゼムノア君はノリノリで動いてくれる。

普段の彼女だったら絶対やらないだろうけど、謎の正義の味方ムーブが居心地良いのか、ずっとニマニマしてた。

 

最終的にはいつの間にか姿をくらまし、

「凄い!長年尻尾が掴めなかった組織のアジトが!」

「ありがとう!君のお陰で・・あれ、彼女は何処に!?」

「彼女は一体何者なのだ?」

とかやるに決まっている。

 

と、リティア君が語っていた。

 

分かり易いなゼムノア君・・。

 

 

こうして妖精を拉致しようとした組織は壊滅の憂き目を見ることとなった。


ちなみに王都警備隊の上層部にも雷が落ちている。

この事実が後に大きな波紋を生むことになるのだが、そんなのは私達の知った事ではない。

 

それは神の裁きなのだから

 

 

 

 

翌朝

今日は休みだが、やることは多い。

 

本日の武闘大会は、本戦の会場準備の為閉場。

会場スタッフに国王暗殺の為の仕込みをしている不埒な連中が混じっているが放置である。

警護の意表と裏を突く、よく練られた計画で感心するが、丸っとスッキリお見通しである。

無駄な努力に精を出してくれたまえ。

 

さて私達だが、昨晩の大捕物で宿には大変迷惑を掛けた。

その為、本日は新たな拠点の宿を探すことにしていた。

 

そこで、以前ランクシャー領で意気投合していた宮廷魔術師のモーリス翁を頼ろうと思っていたら、

 

「ヴォルドアーク!ヴォルドアーク!」

 

向こうからやって来た。

ええい!ヴォルドアークヴォルドアークうるさい!

 

 

 

 

場所を移して話をする。

街中では妖精とゼムノア君は目立ち過ぎるので、王城内にあるモーリス翁の私室に移動した。

 

「あれはシャチョー様のヴォルドアークに間違いない。」

 

モーリス翁は昨晩の同時期多発落雷事変について、王国警備隊から調査を依頼されていたらしい。

 

不可思議な事件だったので興味深いと感じたモーリス翁は、早速情報を集めた。

すると、武闘大会本戦出場者のゼムノア選手に似た、匿名の情報提供者からもたらされた情報により、長年煮え湯を飲まされていた犯罪組織の中心人物が、軒並み落雷を受けて全滅していることが判明。

雷は警備隊上層部にも落ちており、当初はテロを疑われたが、被害者の名簿が揃うと、その共通点から警備隊上層部に調査のメスが入り、犯罪組織との繋がりを示す証拠を発見、押収となった。

 

モーリス翁はランクシャー領主が妖精を伴って王都に来訪している事を耳にしていた。

そこに不自然な落雷と聞いてピンときた。

 

シャチョー様が王都にいると。

 

しかし・・

 

「シャチョー様はランクシャーに居ます。」

 

と、リティア君が否定したことで確信が疑惑に変わる。

 

「シャチョー様は本当に来ていないのか?」

「おじいちゃんの目のま・・ぇびぃ!」

 

アリサが余計な事を言いそうになったので、スタンヴォルト弱にて止める。

 

「ん?何じゃ?」

「何でもありません。アリサはたまに飛びながら痺れるのです。」

 

何だその面白存在は・・。

だが、テキトーに誤魔化してくれて助かる。

 

「・・その植木は?」

 

当然そこを怪しむよね。

 

「シャチョー様とわたしの子供です。」

 

違う!

 

「シャチョー殿の苗木ではないのかね?」

「シャチョー様とわたしの子供です。かわいいでしょ?」

「かわ・・そ、そうじゃのぉ。」

 

モーリス翁、なんだねその微妙な反応は?

 

「ウ~ム、現場の魔力残滓から、確かにシャチョー様の"匂い"がしたのじゃが・・。」

 

何 そ れ キ モ い !

君は私のストーカーかね!?

 

「あれはヴォルドアークじゃ。しかも乱発されておる。世界にヴォルドアークを連発出来る存在は、シャチョー様以外に考えられぬ。」

「居てもおかしくはないでしょう。」

 

リティア君は思わせ振りなことを言ってはぐらかした。

 

「もしもそんな存在がいるとすれば、200年前に姿を消した魔王しか考えられぬが・・。」

 

その魔王が目の前にいますよ?

 

だが流石宮廷魔術師にして、稀代の魔法バカ。

魔王ゼムノア君の存在を知っていた。

 

恐らく魔法バカのモーリス翁にとっては憧れの存在だろうな。

まさか部屋の壁を背にして腕を組み、時折意味深に何か呟く挙動がおかしい美魔女が、その魔法の王とは夢にも思わないだろう。

 

こんな残念な人が魔王だなんて知ったら落胆するんじゃないだろうか・・。

 

「うーむ、妖精と妖木は子を成すことも出来るのか・・興味深い。」

 

違うから!

そこを納得されるのは癪に障る!

 

「私とシャチョー様の愛があればこそです!」

 

一方的な愛で想像妊娠でもしたのかね君は!?

 

モーリス翁は納得いかないまでも、リティア君の言葉に合わせておくように考えをシフトしたようだ。

うん、それで良い。

 

モーリス翁は、しばらくの間一緒に過ごした仲なので、私達の秘密もある程度は共有しており、例え王命であっても他言しない事を誓っている。

もしも他言したなら、クルティナ君の情報網に引っ掛かり、天罰が落ちる事になっているが、今のところその心配は無用だった。

その為、信用できる仲間である。

 

尚、一番仲が良いのは、私の鑑定スキルの中の人のクルティナ君だ。

鑑定スキルと良好な関係を築くという、離れ業を成し遂げているツワモノ・・いや、キワモノだね。

 

それ故にアリサやリティア君とも普通に会話するし、リティア君の言動は突飛である事を知っている。

リティア君は一度言い始めると曲げないのは周知の事実。

なので、これ以上小突いても、自分の知りたい情報は得られないと理解したのだ。

 

「確かにシャチョー様の同行は難しいじゃろうしな。」

 

結構な大きさな樹木なった私の本体は、旅には全く適さない。

 

「目立ち過ぎますので。」

「相違ない。」

 

そして、私は王都には来ていない。という事になった。

 

 

尚、これは事前に練られた作戦だ。

この王城で、私の正体を知っている者は限定的だ。

 

しかも、苗木に転身している事実を知っているのは、アイン領主とその従者、アリサとリティア君のみ。

ゼムノア君は、私の本体を見たことがないので、今の姿が本来の私だと勘違いしてる可能性がある。

 

この状況を利用して、ランクシャー領を良く思わない勢力や、私利私欲の為に利用しようとする策略等を暴く突破口として使う事にした。

 

発展目覚ましい若い辺境の貧乏領主と従者に、得体の知れない妖精2体。

舐めて、アクションかけてくるに違いない。

貧乏領主と妖精しかいないと侮った敵性勢力が、ペラペラと秘密を喋って悪事を晒すように仕掛けた罠である。

 

つまり邪魔者ホイホイ

 

王城でランクシャー領と敵対的関係にある者を炙り出してやろうではないか。

今後お付き合い出来る相手なのか見定めさせて貰う。

 

相手はこちらを探っているつもりでも、探り返されているのだ。

 

ふふふ、鉄壁要塞都市と化したランクシャーは、物理的にも、策略的にも鉄壁である事を見せてやろう。

仕込みは万全だ。

 

 

「ところで、そちらの御方は?」

 

モーリス翁は先程から会話に加わらない、無口な女性を見た。

 

「ゼムノアです。妖精族だけでは、何かと不便ですので連れてきました。」

 

ゼムノア君は今日も謎の実力者ムーブに勤しんでいた。

壁を背にして、たまに思わせ振りな動きをしているが、全て意味はない。

 

「武闘大会で唯一魔法で戦い、本戦出場を決めた女性と聞いた。凄いのぉ、儂でも厳しいぞ。」

 

亜人族の中でも魔力保有量がズバ抜けて多いモーリス翁でも、連戦を魔法だけで戦い抜くのは難しい。

Lv3魔法を4発、Lv2魔法なら10発も放てば魔力が枯渇するからね。

 

「ノアちゃん強いからねー、無駄な動き多いけど。」

「ゼムノアは少し特殊ですから、気にしない方が良いですね。意味の無い動きもしますし。」

 

二人ともフォローのつもりなのだろうか?

ゼムノア君がメンタルにダメージを負ってるぞ?

 

「シャチョー様の仲間であれば、ゼムノア殿の特殊性も無条件で納得が出来てしまうのぉ。」

 

モーリス翁は笑いながらそう言った。

何だね?類は友を呼ぶとでも言いたいのか?

 

「む、もしやゼムノア殿がヴォルドアークを?」

 

まだ私達を疑ってた。

 

「わ、我ではない。」

 

あ、否定した。

ヴォルドアークを開発した本人だ。

当然打てるはずである。

だが、ゼムノア君でもヴォルドアークをあんなに連発は出来ない模様だ。

 

あの裁きのヴォルドアークを連発する光景を見て、

「え?嘘?」

と、ドン引きしてたからね。

私の魔力量・・というか、知力100によるチート依怙贔屓が冗談じみているだけだろう。

 

「とすると、シャチョー様がどうにかして何かしたと考えるのが最も現実的じゃな。」

 

うん、真実はその通り。

モーリス翁は勝手に納得してその話を締めた。

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