27.魔力に関する考察 ~真面目か!~
ステータスに関するエピソード
今回は新たなスキル「魔力操作」に関してお届けします。
レベル28
【獲得スキル】
補助系:吸収Lv5、魔法障壁Lv5、魔力操作Lv3、威嚇
次に魔力操作Lv3。
これは今後伸ばして行きたい有用スキルだった。
この世界の根幹的にして未知の力、魔力。
無形のエネルギーであり、法則の触媒であり、存在や概念を支える骨幹でもありそうな不思議な力だ。
全ての物質や事象に介在しており、この世界を形作っている。
この世界が前世と決定的に違う点は、この魔力の存在である。
アリサのような妖精や、亜人族の存在、私のような非常識な存在も、魔力が支えてくれているのだろう。
脳の無くても思考が出来て、筋肉が無くても動けたりするのも、魔力のお蔭。
そんな風に原理原則をガン無視しても不思議と世界が成立しているのは、魔力がその辺をモヤッとなんとなく適当に、よく分からないけど上手い具合に補ってくれているからのではないか?と、私は予想していた。
細かい所は分からない。
考 え た ら 負 け だ 。
何あったら、取り敢えず魔力が原因にしておけば良い。
何か分からない事があれば、大体魔力のせい。
原因は大体魔力。
悪そな奴は大体が友達。悪そな奴と大体同じ。みたいな。
そんな物理的に非常識な私の存在を根幹から支える、有難~い魔力様。
そんな魔力様を、魔法を媒介せずに、直接操れるのが、「魔力操作」というスキルだ。
私はこのスキルの将来性の高さを、極めて高く評価した。
私は以前から、このスキルの汎用性に注目をして、取得を決めていた。
ただ、生活に、つまりスキルポイントに余裕が出来てからでなければ、かまけていられなかったので、今になってしまっただけ。
『魔力を、魔法を媒介せずに、直接操れる』というのがどういう事なのか?
簡単に説明する。
何か超常現象を引き起こす際は、私の場合はスキルを媒介して使用する。
例えば土魔法は、魔力→土魔法→土の隆起
例えば思念通話は、魔力→思念通話→会話
この様に、スキルに魔力という対価を与えて、スキルを通して、超常現象を起こしている。
スキルが無ければ、私は魔力を使う事が出来ない。宝の持ち腐れになる。
エネルギーはあっても、それを使えるように変換する事が出来なければ、無いも同然だ。
魔力を活用するには、スキルしかない。
アリサに会うまでは、そう思っていた。
私は考えた。
スキルツリーやスキルポイントがないアリサが、思念通話や風魔法を習得していたのは何故だ?
スキルを取らずに魔法が使えているアリサという事例。
それは、スキルが無ければ、魔力を使う事が出来ないのではない、という証明になった。
では、彼女はどうやって魔法を使えるようになったのか?
答えは彼女が語った通り、地道な修練だ。
更に掘り下げる。
彼女は「何」を修練したのか?
私はスキルを通して、魔力を超常現象に変換していた。
ただ、これをすると、スキルの枠を超えた事は出来ない。
水魔法で生み出した水を、熱湯には出来ないように。
恐らくそれを実現するには、火魔法を併用しないといけないだろう。
だが、両方ともその現象を引き起こす源は「魔力」である。
つまり、魔力さえどうにか出来れば、スキルがなくても、その現象を引き起こす事が出来る筈なのだ。
これは言い換えれば、スキルを通さずに超常現象を起こすには、魔力を現象に変換する方法を習得すれば良い。
これで確信した。
アリサは「魔力を現象に変換する術」を修練していたのだ。
つまり、魔力操作である。
私はスキルこそ、魔力を活かす最上の手段としていた。
そうではないのだ。
むしろ魔力操作さえ出来れば、スキルなんて取らなくても何でも出来るのではないか?と考えを改めたのだ。
そう考えた時に、この特殊な「魔力操作」スキルが気になった。
そして、取得して更に確信を深めた。
魔力操作で出来るのは、読んで字の如く「魔力を操れる」
これだけ。
だが、そのシンプルさ故に、汎用性が極めて高いと確信した。
このスキルの特徴は、スキルを使用しても、魔力が減らない。
魔力操作は、魔力がエネルギーとして消化されたら減る。
という至極当然の結果が得られる。
だが、他のスキルは、使用した瞬間にレベル分の魔力を失う。
最大限活用しても、直ぐにキャンセルしても、その分を機械的に無情に失う。
これはあまり自然なことではないと、違和感を覚えていた。
魔力操作による魔力の使い方の方が、本来の姿ではないのか?
そう思った。
また、魔力操作スキルは、スキルを通したように見えて、通していない。
基本的に自力で自分の魔力に触れて、自力で動かす感覚だ。
このスキルは自力で魔力を操作出来るように、”ツカミ”を与える補助機能に過ぎない。
この特性は他のスキルには無い。
魔力操作スキルとは、魔力を超常現象に変換し易くする補助機能であって、教材のような位置付けなのだ。
スキルに頼らず魔力を活用することで、より効率的な運用が出来る。
また、魔力という不思議な力を、より身近に感じて、その正体に迫るアプローチとなると考えたのだ。
以上の事が私が魔力操作スキルを重要視した理由である。
さて、スキルを媒介せずに、魔力を直接操るとは、言い換えれば、エネルギーを生のまま、そのまま使う。と言う事はどんなことか。
実演すると、こうなる。
Lv1では、体内を巡る魔力を操れる。
部分的に強化したり、果実を大きく育てる時にも効果的だ。
初めてLv1で使えるスキルを見た。
Lv2では、その圧縮率や希釈率の幅が広がり、体内でかなり自在に操作出来るようになった。
これによる恩恵が、このスキルを取得した、大きな利点となった。
これまで「腕力」や「脚力」で動かしていた身体を、魔力でも動かせるようになった。
光合成をしなくても、魔力をエネルギーにして動けるのは、かなり心強い。
魔力は「吸収」で急速チャージも出来るので、光合成よりも制約が少ないのがメリットだ。
ただ、最初は少し動かすにもひと苦労。
操作に慣れない初回プレイのゲームのようで、要領を得なかった。
プルプル震えたり、ビクンビクンしたりと、怪しげな動きを繰り返すだけだった。
「よっ、たっ、ほっ!」
ブルン・・ぷるぷるぷる
「ぷっ!くくく・・」
アリサが魔力で身体を動かす練習に付き合ってくれているのだが、不器用な私を見て、笑いがこみ上げてくるようだ。
「それっ、このっ!」
ビクンビクン
「ブハッ!キャハハハ!ビクンって!ビクンってした!」
その様子を見たアリサは、ツボにハマったようで、先程から笑いが止まらなくなっていた。
私の必死な練習が、どうにもコミカルに映るようで、笑い転げている。
正直、邪魔だ・・。
「今のは良かったのではないかな?もう一度・・」
ビクン
「ビクンって!キャハハハ!またビクンってした!」
ビクンビクン
「陸に打ち上げられた、死にかけの魚みたい!もうやめてー!笑い死ぬー!」
例えが酷い。
だが、言い得て妙でもあり、文句が言えない。
「はーヤダ、もーヤダ、もうダメ、もう笑わないから!」
真面目な顔付きに変わるアリサ。
ビクン
「ブッ!キャッハッハッハッ!」
無駄な決意だった。
ビクンビクン
「あひっ、あひゃ、キャッハッハッハッ!ひぃー、お腹痛い!」
彼女の事は無視しよう。
思い通りに動かせるようになるには、かなり練習が必要だが、私は諦めないぞ。
リハビリ時間はいくらでもあるので、私は地道に練習に励んだ。
尚、後にLv3にすると、更に操作が楽になり、少しだが体外に魔力を放出することが出来た。
これは魔力の強い生命体には、治癒効果があるそうだ。
アリサは魔力を当ててあげると、
「はあ~極楽ぅ~。魔力浴とか贅沢~♡ 最高!」
私の事を温泉か、マッサージ機としか思っていなかった。
尚、魔力操作の練習だけではなく、スキルはこれからも積極的に取得していく。
魔力操作の汎用性と万能性は、大きな可能性を秘めている。
だが、結果を得る為には地道な努力と時間が必要だ。
対してスキルは限定的だが、即効性があり、利便性が高い。
互いに一長一短があるので、良いとこ取りで使い分ければ良いと思った。
オートマチック操作のスキル。
マニュアル操作の魔力操作。
なので、魔力操作至上主義になる必要はなく、スキル至上主義になる必要もないのである。
これからは必要以上にスキルに頼らなければ良いだけ。
スキルは便利なので、これからも、ポイントが溜まれば投資して行こうと思う。
尚、魔力操作は、レベルを上げると操作し易くなるが、それでは基礎が身に付かない。
なので、今後修練が進むにつれて、ステップアップするように、徐々にレベルを上げていくべきスキルだと思った。
不器用で、地道な私には、お似合いのスキルかもしれない。
ちなみに、スキルが無かったり、魔力が使えないのなら、物理的に自作や自力でも何とか出来る。
魔力が弱い亜人族がそうしているように。
魔力に頼らずに、「技術」を磨けば、隆盛繁栄は可能なのだ。
それは魔力が存在しない、前世の世界が証明していた。
風魔法は送風機、水魔法はポンプ、土魔法はショベルカー、思念通話は携帯電話を開発すれば良い。
スキルで出来る事は、物理的な範囲は機械等で補助すれば出来るのだ。
魔法も決して万能ではない。
あれば便利的な位置付け。
上手く付き合い、上手く利用する事が肝要である。
私はアリサに会ってから、魔力についてずっと考え続けて、そう結論付けていたのだった。
次回もステータスエピソードなのですが、新主要キャラが登場します。




