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私、木になります。 ・.:**☘ 平穏願って樹木に転生したのに駄女神のせいで魔王にされた殴りたい ☘**:.・  作者: 湯
第六章 盆栽王に私はなります。~魔法都市ゼムノークス編~
204/210

204.スノーエール討伐開始! ~ 魔法の習得方法を添えて ~

魔法談義のついでに、魔法の習得方法に関して少し語ろうか。

 

一般的な魔法の習得方法だが、魔力操作スキルが必須なので、そこで挫折する者も少なくはない。

その為、魔法を習得する前に、まずは魔力操作スキルを習得する必要がある。

魔法というスキルが、一般的には習得が難しいと言われているのはここに原因がある。


次に使用するイメージ。

これは知識として持っていないと想像も理解も出来ないので、勉強する必要がある。

ゼムノークスが学校で何を教えているのかと言えば、ここである。


習得に必要な魔法の形や種類、可能なこと不可能なこと、その完成形のサンプル等を見聞きして、習得する魔法のイメージを固める必要がある。


最後に魔力である。

そもそも魔法を発動出来る魔力がないと習得が無理だ。


つまり纏めると下記の条件が必須となる。


①魔力操作スキル

②魔法のイメージ

③魔法の消費魔力に応じた魔力


この三つが揃って、初めて習得に取り掛かれる。

 

あとは反復練習である。

魔法をイメージして、実際に発動したり、発動のチャレンジをしていれば、いずれ習得するのである。

 

それを千時間、千回繰り返す事でLv1が習得出来る。

大体1~2ヶ月もあれば習得が可能だ。


Lv2なら1万時間、1万回繰り返せば習得

大体2~3年で習得が可能だ。


Lv3ともなれば十万時間、十万回だ。

毎日毎日欠かさず半日やったとしても20年以上

現実的には30年を要する。


Lv4は予想通りの百万時間、百万回だ。

もうね、ホントね、この設定創ったゼムノア君を殴るべき。

 

設 定 が 雑 !

 

1レベルごとに10倍って、最終的には天文学の数字だからね!

高レベル魔法を亜人族に習得させる気がゼロだろ!バカじゃないの!?


これがLv4以上の魔法が、亜人族には習得困難な理由だ。

魔力が足りないのはまだ良い。

 

寿命が短い亜人族には、圧倒的に時間が足りないのである。



ただ習得には抜け道があるので、真面目に時間と回数を重ねる必要はない。

例えば込める魔力が多いと、時間が短縮されるというもの。


所要時間とは、1日一回発動する事を前提としている。

つまり1日一回発動すれば、所要1万時間-24時間=残り9976時間となる。

尚、その後何回発動しても時間は減らない。

 

それに対して、消費魔力2の魔法を、倍の4込めて放つと所要1万時間-24時間=残り9952時間となるのだ。

2日分頑張ったで賞が貰える、という隠し要素だ。

無駄に大量の魔力を消費して放つと習得が早いのである。


他にも知力や魔力操作レベルによる補正や、月の満ち欠け補正等、抜け道は色々仕込まれている。


そんな隠し要素があるので、いかに効率良く習得出来るかも、魔法研究の一つの分野だったりする。

だが、抜け道、裏道、近道を使ったとしても、圧倒的な物量の前には無力だ。


ぶっ壊れ性能となるLv7って、百億時間、百億回だ。

ゼロの数がエゲつない!百億って個人で稼げる単位じゃないよ!

億千万の胸騒ぎだよ!

ま さ か の 億 千 万 の 胸 騒 ぎ !

胸騒ぎで済む数字じゃないよ!

 

Lv10は、1,000,000,000,000時間、1兆回だ。

ゼロの数がイッちゃってますわ!

兆キタ!亥まで行かなくて良かった!

数値のインフレここに極まる!

 

最強の近道、知力100に感謝ですよ。

サクッと数字の壁、飛び越えちゃった。


知力100がどんだけチートなのか、魔法の習得条件を聞いて身に染みて理解した。


尚、定形魔法と不定形魔法、共に習得に要するに条件は同じだ。

習得してしまえば魔法もスキルの一つなので、自動的に発動が可能となり、消費魔力も定数化するのが習得のメリット。


また、単発使用だけなら習得を要さないのも、魔法スキルの自由度。

設定された正しい手順が必要だったり、消費魔力も多かったり、発動に時間がかかる等のデメリットもあるが、別に習得していなくても魔法は放てるのである。

複合魔法等は、その応用である。

習得しないと使えないって訳じゃない、という親しみ易さを残している辺りは、ゼムノア君の絶妙な塩梅が利いていた。


尚、魔法障壁も同様の習得条件だが、一つだけ違うのが気持ちの強さで、所要する条件が緩和される点。


護りたい!という強い気持ちが観測されると、かなり条件が緩和されるらしい。

真剣に取り組むと補正がかかって短縮できるという点は面白い。

ワイズエイプ戦で、クルティナ君が突然覚醒したのは、その辺りの隠し条件が上手く作用したのだろう。


ウンコに当たりたくない!という思いが、習得に届いたようだ。


・・・う~ん、習得経緯として自慢できるものではないなぁ。


ただ、ドラマを演出する為の隠し要素を仕込んでいる所もゼムノア君プロデュースのスキルらしいところだ。



このように、この世界の魔法スキルは設定されていた。


知力100か・・。

リティア君が転生特典でねじ込んでくれたチート能力。


と、思っていたが、どうにも胡散臭い。

だってクルティナ君やゼムノア君のような神格存在でさえ、知力は70を超えないのだ。

(ゼムノア君は今なら70に届いているかもしれないけど。)


それが何故私に適用できる?無理があるだろう。

私は神でもなければ、賢者でもない。単なる凡夫である。

前世では多少雑学には強かったし、知識欲は豊富だったが、一般的なIQや知識量しかなかった。


そして今は単なる考える盆栽だ。

凡才の盆栽だ。


そんな私のどこが知力100なのだろうか?

実感が全く湧かない。

 

実際に知力100を感じないのだ。

感じるのは知力100だから使用可能な機能スキルだけ。

 

実感で言えば、私なんかよりゼムノア君の方が遥かに知識量豊富だと思うぞ?

だからこそ感じるのだ。

単に数字だけ100になっていて、実際の頭脳は関係ないのではないかと。

数字だけ貼り付けられた見せかけのステータスなのではないかと、私は感じている。


一体、この知力100には、どんな意味があるのか。

 

それとクルティナ君の私への敵対的心情は、何か関係がありそうなのだが、教えてくれない。

どうも何か裏がありそうだが、確かめる術がないし、実情は知らなくても問題がないので転生直後から放置している謎だ。


何処かで伏線回収されるのか、謎のままなのか。

今の私には、その解は求められない。





翌日は港町まで戻って達成報告である。

たった1日で戻ってきた私達に、港町の連中は驚いていた。

いつもはアンゴラトード狩りに出ると一週間以上かかるらしい。

その為、妻子持ちの漁師の家族は心から喜んでいた。


「これが依頼達成証明だ。」


よしよし、アンゴラトード狩り助勢と、雪崩管理の依頼達成証明を手に入れた。

順調に実績重ねているな。


取り敢えずEランクになったら、それ以上ランクを上げるメリットは無いので、ハンターとしての活動は停止しよう。


下手にランクを上げると有名になって、忙しくなるからね。

深奥の摩天郷引き籠り生活が出来なくなるし、モザイク姿でも町を歩けなくなる。



さて、明日からはスノーエール退治の依頼だ。


スノーエールは冬場、流氷で閉ざされた漁港がある湾の中に入り込み、春から秋にかけて育った、湾内の海の幸を根こそぎ食い散らかして逃げていく迷惑な魔獣だ。


クジラのような巨体で、性格は獰猛。

頭の先にゴツい角のような骨格があり、砕氷船のように流氷を割って進む事も出来、海面上に現れることもある。


陸地に打ち上げられても自力で自重を持ち上げ、海に戻れる怪力持ち。

ヒレや尾の攻撃、噛みつき攻撃、体当たり等、その巨躯とパワーを使った物理ゴリ押し型魔獣である。

クジラよりシャチに近い動きだ。


そんな全身筋肉、全身武器みたいな危険極まりない海の王者なのだ。



そんなヤバい魔獣を、これまでどうやって倒していたかと言えば、()()()()()()()

弱らせて湾から追い出す程度しか、出来なかったそうだ。


海面に姿を表した時に銛を打ち込んで、ロープで陸上に引き擦り込む作戦だが、ロープが引き千切られるか、銛が外れて逃げられるかのどちらかで、討伐には至っていない。


撃退はしているが、翌冬になるとまた同じ個体がやって来て、海を荒らされている。

どうやらこの湾は、自分の縄張りと認識しているようだ。

回復して戻ってくるので、また1から耐力を削る必要があり、堂々巡りをしている。


今回こそは討伐まで行きたいと、依頼主の漁業組合長は息巻いていたそうだ。





「よし、ここで迎え撃つぞ!」

「「「おおおお!」」」


スノーエール迎撃準備が整った。


ある程度海岸に近い流氷に大きな穴を開けて、海面を露出。

その穴に向けて銛の発射準備も完了。

何度か試射して、穴に姿を現したスノーエールへ確実に当たるよう調整されている。


あとはそこで漁をしていれば、スノーエールが怒って姿を現すそうだ。

毎回これで退治してるそうだが、罠だと気付かないのだろうか?


スノーエール・・頭はあまり良くないようだな。


漁師たちが大声で掛け声を出しながら、設置していた網を引き揚げる。

スノーエールのせいで、湾内の漁獲量は年々減っているそうだが、稚魚を放流したりして資源の枯渇を防いでいるようだ。

フィヨルドの大きな湾は、天然の養殖生け簀でもあるのだ。


網には大きな魚が何匹もかかっており、巻き取り機を使って陸へと引き揚げる。

ほうほう、ギアによる減速技術はあるのだな。


「そろそろ来るぞ!」

「穴に近付くな!」


組合長が合図を送る。

すると穴付近の漁師達が退避を始めた。

その直後、


「ボエエエエ!」


穴から巨大な氷柱が突き出した!

違う、アレがスノーエールか!


白い巨体に、頭の先に斧みたいな角が付いていて、全身傷痕だらけのクジラみたいなヤツが海面から飛び出した。

以前に刺した物か、何本か銛が刺さったままになっていた。


「うわぁ!」


スノーエールが流氷の上に落ちた瞬間、その重量で足場の流氷が沈み、大きく揺れる。

バランスを崩して倒れた漁師を、仲間が助けていた。


「撃て!」


合図で銛が一斉に射出された。

高威力の弩を使って、ロープを繋いだ太めの銛が射ち出される。

ビュルビュルとロープの尾を引いて飛び、何本かの銛がスノーエールの身体に突き刺さった。


角度が悪くて刺さらなかったり、暴れたスノーエールの角で弾かれた銛は、ロープを引いてすぐに回収して、第二射に備える。


「よし、一番、三番、四番はロープ巻き取り準備!」


組合長の合図で、スノーエールに刺さった銛のロープが巻き取り機に取り付けられる。


「二番の刺さりが浅い!引き抜いてもう一度だ!」

「まだ引くなよ!五本以上刺さったら引き揚げろ!」


ロープの強度的に銛が五本くらい刺さらないと引き千切られるようだ。

今は三本が刺さっているが、一本は刺さりが浅いのでやり直し。


あと二本の銛を刺さないと引き揚げられない。


『よし、やろうか。』

「出番ね。」


そして第二射までの間、スノーエールを地表に釘付けにするのが私達の役目だ。


「あの銛を刺せば良いのだな。」

『おいクルティナ君、私達の役目はスノーエールが海中に逃げないようにスノーエールを足留めするだけだぞ。刺すのは漁業組合弩隊の仕事だ。』


依頼内容を勘違いしているようなので注意する。


正直アビスゲートで陸上に転移させてしまい、アビスゲートでぶった斬ってしまえば討伐出来るのだが、今回は討伐の助勢が依頼だ。

その為、直接的な手出しはしないようにした。


ガンプ大森林の巨大蛙、ギガントロッグを難無く討伐できる私達には、この程度の魔獣は大した脅威ではない。


「銛が刺されば逃げられないのだろう?」

『そうだね。』

「ならば足留めの一種ではないか。」


強引な論理!


『確かにそうだが・・って、あんなクソ重い銛を君が刺すつもりかね!?』

「ゼムノア、フィジーゲインを寄越せ!」

『人の話を聞け!』


クルティナ君がニヤリと不敵に嗤うと、身体強化と剛力スキルを発動。

更にゼムノア君が聖魔法ダブルキャストでバフを上乗せした。


「おい、それを貸せ!」

「ちょっ、何すんだ!?」


クルティナ君が再度弩にセットしようと、引き戻している途中の銛を強奪してスノーエールに向けて走り出した。

それにアリサも追従する。


「おいお前達、無茶するな!」

「行くぞぉアリサ!」


組合員の制止も聞かず、足場の悪い流氷の上を10kg近い銛を持って駆けると、ゴツゴツとした氷の障害物も軽快に飛び越える。

そして助走しながら銛を振りかぶるクルティナ君。

デカいダーツだ。


「うらあぁぁぁ!」


ゴリゴリに強化された身体能力で、強引に銛ぶん投げた!

何あの脳筋弩!?


「フラッシュブレス」


クルティナ君が銛を投げると同時にアリサがフラッシュブレス。

すると閃光の如く飛んでいく銛。

弩で射出された銛よりも鋭いんですけど!?


ドゴォ!


「ボエエエエ!」


氷上で暴れていたスノーエールの頭辺りに深々と突き刺さり、鮮血が噴き出す。

痛みがあるのかビタンビタンと更に暴れ始めた。


「嘘ぉ!?」

「あんな華奢な娘が、銛を投げた!?」

「それどころか硬い頭に突き刺さったぞ。」

「有り得ないだろ?」

「お前らボケッとすんな!銛はあと一本だ!」


現実味が無い光景に唖然としていた組合員に檄が飛ぶ。


「クハハハハ!その外れそうな銛もワタシが叩き込んでやる!」


クルティナ君は好戦的な笑みを浮かべながら、スノーエールへと向かっていく。

いつからこの娘、こんなに脳筋化したの・・。


だが、到達はアリサの方が早かった。


「そんなに暴れてると魔風真空投げの良い餌食なんだけどなー。」

「バカ!危ねぇからスノーエールに近付くな!」


アリサがスノーエールに肉薄する。

するとスノーエールに絡んだロープが、暴れた反動で極太の鞭のようにアリサに襲い掛かかった。


それをヒョイヒョイ躱して、更に近づくアリサ。

あんな不規則な動きのロープを、揺れる不安定な流氷の足場でよく躱せるな・・。


あ、そうか。見た目は兎人族だけど、中身は妖精のままだった。

当たり判定が極端に小さいし、実際は低空飛行してるので足場関係ないのだった。


「ボエエエエ!」


スノーエールが尾びれをぶん回した!

軽トラックが突っ込んでくるかのような迫力だ。

それをバックステップで回避(してるように見えるが、擬態スキル無しだと飛び越して躱している。)


「うえっぷ!冷たい!」


水飛沫を浴びるのを忌避するアリサ。

更にスノーエールは噛み付こうと体勢を変える。

 

「抜けそうな銛ってアレね。フラッシュブレス!」

 

出た、魔風真空投げ!

決まるか!?

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