プロローグ
『冷たい雪は、温かく笑った。』
プロローグ
「ねえ、美和。」
夜の公園はとても静かで、いくつかの街灯に明かりが灯っている。
そんな沈黙の中、隣に座っている紗雪は、私の名前を呼んだ。
そのの表情はどこか寂しそう。
白い街灯の灯りが紗雪の顔を明るく照らす。
「ん?」
私は紗雪の方を向いた。
私が向くと、紗雪もキリッとした目をこちらに向けた。
「私って、……。」
紗雪は少しだけ目をそらした。
「やっぱりいいや。」
紗雪は何かを言いかけて、やめた。
正面に顔を戻した紗雪の横顔は、やっぱりどこか寂しそうだった。
紗雪の吐息はとても白くて、まるで雪女みたいだ。
「寒いね。」
私が言うと、紗雪は缶に残っていたコーヒーを飲みほして立ち上がった。
「帰ろっか。」
「そだね。」
私が立ち上がると、紗雪は先に歩き始めた。
私はそれを少し小走りで追いかけた。
「待ってよ。」
「ごめんごめん。」
紗雪は振り向いて少しだけ笑った。
紗雪が笑うと、顔の周りに雪の花が咲くように美しい。
紗雪はいつも私の先を歩いている気がして、なんだか寂しくなる。
それでも、私はいつも紗雪の側にいようと思う。
紗雪が寂しくならないように。
そして、私が寂しくならないように。