小石がこいしになるお話
・・・・在り来り過ぎる引用は控えておこう。もし気になるのなら、夢野氏の生涯に想いを馳せる事だ。
昔、唐に張説という宮廷詩人がいたらしい。
私は今からする話を語る時、この詩人がどうしても思い出されてしょうがない。
はっきりと言ってしまおう。
私の妹は遥か昔に月に壊された。
それ以上でもそれ以下でもない。
でも、それは生死を拒絶する。
だから妹はもう普通に生きることは出来ない。
そんな話。
ーーーー
「おはよう…みんな」
「やあ、こいしちゃん!今日はちょっとあの林、探検してみない?」
今日のこいしはいつも通り内気で可憐な少女。そのまだ弱い能力は姉によって封じられている。
人里において、彼女はサトリ妖怪ではなく普通の少女だった。
数人の子供達は、人里から少し離れた林を探検しようと目論んでいる様であった。
大人すら嫌う、謎の林。もし子供だけでそこを暴いたなら、一躍有名になれるだろう。そういう雰囲気は、すでに集まっている子たちに流れていた。
その提案に、こいしは頷くしかなかった。
林は奥になるほど暗くなっていて、手前からでは全く見渡せない。
そして、全て竹だ。この広大な林全てが竹だった。
ついに、一番勇気のある子が、一歩を踏み出した。みんな、それに続いて竹林に入っていった。
奥にどんどん進んで行く。でも景色はずっと変化しない。竹林はそんなものだ。
反対側はあるのだろうか。随分と歩きまわって、みんな疲れてきた。白く細い足のこいしは尚更だ。
この辺で一回休憩しなければいけない。まだ日は昇っている最中だ。時間はたっぷりある。
ちょうど良いところに広場があったので、そこで数人が昼寝をしたいと言いだした。
こいしは頷くしかなかった。
目が醒めると、お日様はちょうど真上、経度的に考えると正午ちょっと前だろうか。
さっきも見た竹林は目の前で真っ赤に染まって…え?
目が醒めると、お日様はちょうど真上、経度的に考えると正午ちょっと前だろうか。
さっきも見た竹林は目の前に聳えている。
男の子が一人目の前にいた。その子が言うには、みんなは水を探しに言ったのだとか。
赤と青の服を着た人が案内をすると言ってくれたらしい。
でもさっきこんな男の子、いたっけ?
あまり人の顔を見ていないから分からない。
右上腕がチクリとした気がした。
次第に痛みは激しくなる。
か弱いこいしは耐えられるはずもなく。
目が醒めると、お日様はちょうど真上、経度的に考えると正午ちょっと前だろうか。
さっきも見た竹林は目の前に聳えている。
男の子が一人目の前にいた。その子が言うには、みんなは水を探しに言ったのだとか。
赤と青の服を着た人が案内をすると言ってくれたらしい。
でもさっきこんな男の子、いたっけ?
あまり人の顔を見ていないから分からない。
右上腕がチクリとした気がした。
見ると、注射痕がある。
ナンデダロウ
目が醒めると、お日様はちょうど真上、経度的に考えると正午ちょっと前だろうか。
さっきも見た竹林は目の前に聳えている。
男の子が一人目の前にいた。その子が言うには、みんなは水を探しに言ったのだとか。
赤と青の服を着た人が案内をすると言ってくれたらしい。
でもさっきこんな男の子、いたっけ?
あまり人の顔を見ていないから分からない。
右上腕がチクリとした気がした。
でももうそんなことも既に遅いかもしれない。
私は何をかんがえてイタンダロウ
アハハはハは!タのシイなァ!
目が醒めると、お日様はちょうど××、経度的に考えると××ちょっと前だろうか。
さっきも見た××は目の前に聳えている。
××が一人目の前にいた。その×が言うには、みんなは××を探しに言ったのだとか。
×と×の服を着た××が実験をすると言っていたらしい。
"赤と青の服を着た人"は呟いた。
穢れがなくなる副作用も、あの妖怪にはほとんど関係ない。ならばこれを使えばいいじゃない。
あのスペルカードを発動できるのをまだ知らないのなら、そう、万人に同じ思いを抱かせるココロにしてしまえば良いのよね。
全ての人から忘れ去られる、無意識に。
…×××、××××××××××。
「ただいま、お姉ちゃん!」
珍しくこいしが元気だ。
その第三の眼は、眠そうに。
そして…私は恐懼した。
私はこいしを見ているわけではなかったのだ。
こいしは、私の眼に決して映らなくなっていた。
地霊殿の壁に向かって話している感覚、だがそこに「存在しない」存在がある。
私は余りに変わり果てたこいしに、言い放った。
「…出ていけ」
私は、恐れたのだ。
心の読めない妹、いや、ペットと言った方が私には正しいかもしれない存在に。
今までの慣習もあるかもしれない。
心は読めるのが当然だった。
動物とて例外ではなかった。
だが、それだけなのだろうか。
わからない。それが私にわかったなら、こんな結末にはならなかっただろう。
私はまるで殺人を楽しむようにこいしを嫌ったのだ。
そして猫と鴉に言いつけ、隔離牢にこいしを連れて行かせた。
あぁ、思い出した。こんな感覚を昔、一度だけ味わったことがある。
ここがまだ地獄だった頃、私は見物をしたことがあった。
そこで、ある女性を眼で観たのだ。その時、私は背徳感を味わい、そして優越感に浸った。
彼女の隣に重なっている、小さな腕や内臓の欠片はその事実を物凄く照らしていた。
私はこいしの牢を毎日見に行った。
いつ見てもこいしは元気そうだった。
ああ気持ち悪い。
そして、こいしの眼はだんだん閉じていった。
まるで私の心の重さを判断しかねるように。
こいし自身の心の重さがなくなったように。
そして分銅をなくした天秤のように。
ちなみに、こいしがこんな目に遭ったということを私が知っているのは、その時に同伴していたと名乗る男の子がこの地霊殿に送られたからだ。
私は尋問し尽くした。彼が肉片すら残らなくなるまで。
そうして、真実を掴んだ時、もうこいしが決して元には戻れないことを知った。
永遠亭の医者ご本人様がそう言ったのだから。
何十年経っただろうか。
妖怪は千年など余裕で生きるので、十年など一瞬だ。
ついに私の心境に変化が見られた。
こいしを外に出してやることにしたのだ。
他人の目線から守られているあの牢、慈しみの部屋から、強制的に。
私は楽しそうに騒ぐこいしを縛り付け、外に運び出した。
昔使われていたこいしの部屋を掃除し、そこにこいしを投げ込み、縄を切った。
「こいし、私、今日からあなたの世話をしてあげる気分になったから。感謝しなさい。」
「きつい冗談はよしてよ、お姉ちゃん。フフ、感謝しても仕切れないわね!」
こいしは皮肉を言ったようだが、そんなことはどうでも良い。私には地霊殿の仕事がある。
あとでまたこの可愛い児を見に来ましょう。
こんにちは、仮定です。今回2回目の投稿となりましたが、今回は前回と違い、やや考察が薄めでも読めるものとなっていると思います。(俄かに書きなぐったものに近いからです)
最後に、こんな後書きまで読んでいただき、誠にありがとうございます。