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絡みついた糸

「チィ──!」


 地下の男達、流石に両断できないな………ステータス差か……。

 とはいえ僅かな傷を付けられれば十分。毒が通じるなら問題ない。足下に倒れた男を踏みつけ、此奴等にとっての在庫置き場を目指す。


「な、何だてめぇ等───くへ!」

「ぐぴ!?」


 濃縮毒を塗った投げナイフで見張りを殺す。牢の中身が見えた。35人ほどか?少ないのか多いのか……。全部人間だな。

 その中の一人、女に覆い被さってる誘拐組織の一員が振り向き、その目に毒ナイフが突き刺さる。


「あ、貴方達は?」

「助けに来た。立てるか………む」


 捕まっている者達の中に数人鎖で繋がれた者達が居た。流石に鋼鉄は斬れない。男達の死体から鍵を探して鎖を外す。


「何処から地上に戻る?」

「正規ルートはまだ戦闘中だろうからな、別のルートで行く」


 と、下水道の地図を開く。出口は幾つかあるが、一番遠くのは奴隷達の体力的にも俺の精神的にも使いたくねぇなぁ。

 街から一番離れているということは街から離したいと言うこと。つまり、排出物の処理。途中絶対臭くなるし出口も絶対臭くて汚い。弱っている奴らを送るのは良くねぇだろうなぁ。


「つーわけでこっちから行くぞ。見張りはいるだろうがそれさえ越えりゃ町の中にでる」

「解った。斥候は待かせて」

「良いのか?」

「ん。これを使わせてもらう」


 と、俺が渡した麻痺毒塗りのナイフを見せてくる。殺さないから大丈夫、ってことか?

 ま、俺が現状ロリッ娘に勝てているのは俊敏だけだ。任せられることは任せよう。

 とはいえ此方に人員は居なかった。サキュバス共に排除させたからな。今頃最高の最期を味わっている所だろう。


「……………」


 やがて階段に着き、ゆっくりと進む。最後の段より上は木の板で塞がれており、ロリッ娘がゆっくり開き周囲を確認する。

 確認し、大丈夫というように頷くと床下を開き外に出る。まあ、全然大丈夫じゃないんだが──


「避けろ!」


 お前にはこれから色々役立ってもらうんだから死なれると困る。

 ロリッ娘を押し退けた俺の器の右目が切り裂かれる。痛みはカットしているが視界を半分失った。


「チッ、外したか」

「俺からしたら当たりだこんちくしょう」

「絶叫をあげねーとはな。なかなか肝の据わったガキだな」


 此奴、どっから現れやがった。外を監視させた虫達の視界からは目の前の男は空間から滲み出すように現れた。

 恐らくはかなりのレベルの隠行スキル。この当たりにゃ空気の流れを読める虫や嗅覚の発達した虫を放っていたのに気づけなかったし、間違いないだろう。


「あ、リューゲ……ごめ、私……」

「謝るな。それより戦いに集中しろ」

「────!」


 ロリッ娘は俺の言葉に動揺が即座に引っ込み男を睨む。それをみた男はへぇ、と感心したような顔になる。


「一瞬で切り替わったな。お前、ガキの頃からそう育てられてんな?もう片方は、わかんねーな。痛みにのたうち回れねえのは単純に訓練か、痛みがないのか………まあどっちにしろ、お前相当やべーな」


 何が楽しいのかキシシ、と独特な笑い声をあげる男。少しずつ周囲に糸を張り巡らせながら、男の一挙手一投足を見逃さぬように見る。


「殺しに何も感じない。そう言う訓練を受けたわけでもなさそうだな………文字通り、やる必要があるならやって当たり前………どんな生活してきたのか」

「ベラベラと良く話す奴だ」

「へへへ。俺、お喋り大好きなんだよね。そのせいで仲間にこっぴどく怒られてさぁ。でもよ、どうせなら自分がこういう人間殺したって知っときたくならねぇ?」

「………………」


 嘘だな。彼奴の目は至って冷静。何かを楽しんでいるようには見えない。何かを待ってる……って、この場合仲間なんだろうが……。

 一応確認してみる。町中のパンデミック・スパイダーの視線を見て回るが、怪しい奴は居ないな……。と、なると………


「本拠の方は諦めろ。リリィに一部残して後は殺させてる」

「あらら、マジで?認識ずらすっつー厄介なスキル持ってる俺の父ちゃんも死んでる?」

「お喋りなのは素かよ………あのおっさんも、まあ死んでるだろ。リリィが全員見て勝てると判断したからこそこういう裏道ではなく本拠に乗り込んだんだしな」


 さて、取り敢えず後三回ほど死ねるがどうするか。

 俺だけなら逃げられないこともないだろうが、それは速度だけ見れば。スキルが不明の今無警戒に背を向けるわけにも行かない。それにロリッ娘の信頼勝ち取るために逃げるとかは止めた方がいいだろう。


「……ロリッ娘、さっさとそいつ等連れて逃げろ。彼奴は俺が何とかしてみる」

「でも、片目……」

「心配するな」


 いざとなったらリリィを呼ぶからな…………。

 ………………良くねぇなぁ。


「………ん?」


 逃げるのが前提だ。良くない。

 それじゃあ駄目だろう。いや、ダンジョンマスターとしては正しいんだろうが、逃げる事が当たり前になっている。このままだとこの先癖になる。


「お前は俺より強い……だから、殺す」

「…………へぇ」


 後でリリィに怒られるな。死ぬ気ですか、って……。死ぬ気はねぇけど、死ぬかも。


「良いね、殺す」

「─────!!」


 男の姿が消える。臭いも空気の流れも、俺の配下で探知した奴は居ない。が、糸がピクリと動く。


「くっ!?」

「おお!」


 ガギィィン!とナイフがぶつかり合い吹っ飛ばされる。男は驚いたような声を出し、しかし楽しそうに笑う。


「はは!糸か!そんなんで俺の位置を探るなんてなぁ!」

「…………非実体化か」


 糸が動いたのはほんの一瞬だけ。俺の背後に現れた、その瞬間だった。その間糸は揺れなかった。

 それを認識させない類かとも思ったが張り巡らせた糸が切れていないところを見るに、そこまで物理的に存在しなかったのだろう。


「いいや。足音を消すために飛行魔法を使ってただけさ」

「嘘だな。最後に現れる意味がない……触れられないんだろ?実体がないから」

「攻撃する瞬間姿を現さなきゃならねぇ制約付きの隠行スキルなんだよ」

「ああ、その可能性もあるな………信じねぇけど」

「ひでえ奴。お前絶対友達少ないだろ。俺がなってやろうか?」

「願い下げだ」


 今の言葉も恐らく嘘だ。浮く必要があるら、足音があるなら実体を持つと言うこと。それを空気の流れを読める虫達が気づかない筈がない。

 再び姿が消える。今度は、真後ろ!

 ナイフがぶつかり合い火花が散る。俺の体が吹っ飛ばされる。

 当たり前だが男の攻撃力は俺の防御力を上回り、俺の攻撃力は男の防御力を遙かに下回る。本拠にいた奴ら、本当に雑魚だったんだな。駆け出し冒険者ぐらいしか無かったんじゃないか?


「実力ある奴等はダンジョンで死んだよ」

「納得」


 この世界にはレベルと言う概念がある。殺せば殺すほど強くなる世界だ。それ故に大概のダンジョンは国の管理下。

 何せモンスターが無限にわき出るからな。良い経験値稼ぎの場だ。犯罪組織という何時命を狙われても可笑しくない奴等は当然レベルを上げたがるはず。残ってたのはその当然の事を面倒くさがりレベル上げしなかった奴等って訳だ。そりゃ雑魚だな。


「俺はそこそこ鍛えてるぜー!」

「────ッ!」


 速度だけなら俺が上。直接打ち合えば負ける。だからまともに打ち合わず受け流す。

 チリ、と揉み上げの一部が切り裂かれる。いや、全身彼方此方に傷が出来ている。捌ききれないのだ。


「───ぐ、ぶ………ぶぇ!」

「───!?」


 再び姿を消し背後に現れた男。心臓に向かって放たれた突きをかわし、その腕を掴む。口から吐き出したホワイトポイズンが己の体内で濃縮した毒を男に向かって吐き出した。

 男は驚愕し、しかし口角がつり上がる。


「───チッ!」


 震われたナイフをかわす。頬に大きな傷が付く。これ絶対貫通してるな。口の中に血の味が広がって来やがる。


「毒は効かねーんだよね、俺。いや、効くけど致命傷にはならないと言うべきかな?」

「毒耐性か──!」

「その通り。つか今の、蟲?寄生虫だよな……お前まさか、ムシクラか?」

「あ?ムシクラ?」

「んー。ちげぇな、彼奴等はもっとこう………暗殺道具として完成してる。お前みたく弱くねぇし、人間らしくねぇ」

「弱ぇのはてめぇもだろ」

「うん。基本不意打ちしかしない質だしね俺!」


 何がおかしいのかゲラゲラ笑う男。笑いつつ、馬鹿にしつつ此方から意識をそらさない。俺が激昂して襲ってくるのを待ってるのか?

 残機はある。乗ってやる───!




──────────────


 やっぱガキだな、こんな簡単に突っ込んでくるなんて───な、訳がねぇ。

 このガキは危険だ。本能がそう訴える。本能というのは馬鹿に出来ねぇ。あのガキの言うとおり弱いくせに、不意打ちしか能がねぇくせに俺が今日まで生き残ってきたのは本能的に勝てないと判断した奴らには手を出さず全力で逃げに徹したからだ。


(このガキはまだ殺せる。まだ───もう敵対した後だしな。確実に、殺す───)


 このまま敵対し続ければ、何時か自分が殺される。間違いなく、な。


「チッ、また消えやがった」

「お前は一つ勘違いしているぜ。俺の能力は非実体化じゃねぇ」


 正確には認識隠蔽。俺が行ったあらゆる動作を認識させなくする。恐らく糸が切れてないから投下しているとでも思ったのだろうが、考えが甘い。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だけだ。

 そして俺はきちんと本当のことを言ったぜ?

 攻撃する瞬間姿を現さなきゃならねぇ制約付きの隠行スキル何だよってな。対面した瞬間から解ってたことだがこのガキは俺の動作一つ一つをまるで信じていない。本当のことを話せば、確実に疑うと信じて。

 そして、確実に殺すために裏技も使う。攻撃されたことすら認識させない回数限定の奥の手───


「ぐぇあ!?」


 腹にドスリと衝撃が走る。不可視化が解ける。

 いったい何が!?腹を見れば林檎ほどの球体。いや、これは──糸の塊。糸!?


「斬糸」

「ぐぎゃあああああっ!!?」


 次の瞬間無数の斬撃が俺の腹を切り刻む。ゴボリと血を吐きその場に倒れ、抑えつけるように糸が手足に絡み付く。


「げぶ、ふ──!何、で───!」

「お前は姿を消した後、必ず背後から襲いかかる。攻撃するために姿を現す必要があるからな。だから反撃を恐れ死角から攻める。なら簡単だ。お前が消えた後後ろに向かって攻撃すりゃ良い」

「おばえ、は……俺のちか、らを──非実体化だと思っでた筈!」

「ああ。あれ嘘。お前に実体がある証拠はちゃんと掴んでたからな」

「──はぁ!?」


 有り得ない。そんなはずない。俺が動いて糸が震えたとか、斬れたとかは認識できないはずだ。糸の存在は忘却の彼方に──


「お前蟲踏んでたろ?俺の本当の感知はこっちだ。視界が次々消えていくんだ。そりゃ、実体があるって考えるのが普通だろ」

「──────ッ!!」

「戦った推測だがお前の能力は仮に糸を切ったり罠を解除させたりしたとしても、それを認識させない。そういう類だろ?ただし攻撃に関しては無効。まあ虫を殺しても姿は認識できないままだし、能動的に攻撃しない限り隠蔽は解けないみたいだな」


 そりゃ確かめようがねぇな。確かめようとした時点で、俺は能動的に行動したことになるんだから。ああくそ、攻撃が通じる相手なら絶対勝てると思ってた能力にこんな弱点が。だが───


「キヒヒ──」

「何を笑って──!?」


 ガキが膝を突き慌てて左手を地面に起き体を支える。目を見開き震える右手を見る。


「───遅効性の、毒か──!」

「そうだよ。獲物が苦しんで死ぬ様を見るのは俺の楽しみだったからなぁ」

「────ッ!!」


 これは本当だ。相手が範囲攻撃の使い手だと隠業スキルは意味を成さないから本来なら即効性にすべきなんだろうが、こればかりは止められなかった。

 痺れが全身に回ったのか倒れるガキ。

 魔法で火を出し自分ごと少し焼いて糸を切ると、俺は懐からポーションを取り出し飲み込む。傷の量こそ多いが深さはそれほどでもない。血は止まる。だいぶ流れたが。


「形勢逆転だな。ざまぁねぇぜ。このまま苦しむ姿を見てやりたいが、さっさと殺す」

「──────」


 仲間がいる以上助けがきて解毒される可能性だってある。そこまで強力な毒じゃないからな。


「最後に一つ教えてやるよ。俺が奥の手を使って殺せば、その死体は誰にも認識できない」

「おみゃえ──あんしゃつしゃのが、てんひょくらったりょ───」


 毒で痺れて舌が回らないのだろう。まあ言いたいことは解るが。


「俺は趣味でやってるから仕事ではごめんだよ。好きな時に殺せねーし」

「───おれぇのしたいかくふのは、じはんかへぎか?」

「おっと。お前も時間稼ぎか?その手にはのらねぇよ」


 姿を消しガキの首を切り裂き心臓にナイフを差し込む。毒で痙攣することも出来ず、ガキの呼吸と脈が止まる。


「じゃあな───」

「──連れねぇなぁ。もう少しゆっくりしてけよ」

「───は?」


 ───ッ!?

 返事が返らないと思いながらその場から去ろうとしたら返事が返ってきた。足に何かが絡み付き地面に倒れる。


「お、お前──何で、だって……死体、そこに」

「ん?あるのか?俺にゃ見えねぇが……ああ、お前が姿を消したまま殺したから死体を認識できないのか……」


 その言葉からしてそこにある死体は本物。

 なら此奴は、兄弟か?


「便利な能力なのに使わなかった。使用制限か条件があるな?で、まだ使えるのか?」

「─────さあ、な!」


 まだ使える。が、敢えて使わない。足の糸を焼き切りガキに迫る。


「死ねやぁぁぁ!」


 単調な動き。ガキなら当然かわすだろうし反撃もしてくるだろう。その後姿を消して、今度こそ殺───


「───ぶふ───?」


 あれ、何だ?喉の奥から、何か───?

 体がうまく動かせず視線だけ動かせば赤い瞳と目があった。



────────────────


 姿を消さず真正面から?やはり能力の代償か、ブラフか───ブラフと思って行動した方がいいな。夜の闇に紛れさせたパンデミック・スパイダー達を俺の周囲に配置して、斬糸をどの方向に飛ばせるように待機───


「───あ?」

「───ぶふ───?」


 黒い何かがよぎった瞬間、男の喉が裂ける。黒い影はそのまま回転し白い毛を靡かせ蹴りを放ち男の鼻を蹴りつける。柔らかい骨が折れるグキョリという生々しい音の後、ブチブチ、ゴグリュ!と肉が千切れ首の骨がはずれ頭がすっ飛んでいく。


「はっ………は──!リューゲ……だい、じょぶ?」

「ロリっ娘……」


 影の正体はロリっ娘だった。息を荒くして俺に駆け寄る。

 俺の死体は………あ、見えた。虫どもに回収させねぇと。


「───あ……また……」


 と、顔を青くするロリっ娘。染み付いた技術は未だ衰えないらしい。が、心は別。ナイフを落とし尻餅を付いて震える様は、何とも加虐欲を煽る。


「ロリっ娘………」

「リ、リューゲが、殺されると、思……って……あ、ちが──リューゲの、せいじゃなくて」

「……………」


 に、しても。不安定な。これ完全にあの勇者君のせいだよな?中途半端に手を差し伸べて立ち上がらせて歩き出させたつもりなのかね?

 まあ良いけど。勇者君が救わねえなら俺が()()から。


「ありがとな、助かった」

「…………え?」

「それとごめん、俺を助けようとしたせいで、やりたくない殺しをさせてしまって」

「え?え?ま、待って……違う──私が、私が悪い。セイヤも、そう言ってた……人を殺した、その罪を誰かのせいにしちゃ駄目だって。それは、自分で背負わなければならない、って………」


 勇者君の言葉になお縋るか。まあ、縋るしかないんだろうな。暗殺者として育てられた割に此奴は命を奪うことに悪感情を抱く。

 だからこそその罪を消せると言われて、勇者君に依存したんだろうな。で、勇者君はその手を払った。なら後は簡単。行き場を求める手を掴めばいいだけ。


「いいや、俺の罪だ。俺が弱くて、もう少しで殺されるところだったから。悪かった、頃合いを見て逃げるべきだった」


 実際俺の現状最強の攻撃手段である斬糸の束を食らってあの程度。あのままやってもまず勝ち目はなかったな。そういう意味では助かった。 


「違う。違う……それは、私が背負わなきゃ駄目。リューゲは、何も悪くない。殺したのは私なんだから……助けようとしたなんて、言い訳……」

「けどお前がいなけりゃ俺は死んでた。それとも、勇者と仲の悪い俺は死んだ方が良かったか?」

「っ!そんなこと───そんなこと、ない……リューゲは、良い人。きっと、何時かセイヤも解ってくれる」


 どうだろうね。彼奴は自分が間違っているなんて認めないタチだし、俺も芯が通ってるならまだしも基本的には他人のために頑張るんだ~って奴大嫌いだし。彼奴芯が通ってないし余計に嫌いだし……と、まずはロリっ娘落ち着かせねぇとな。


「良い人、ね。ならその良い人が言ってる言葉を少しは信じてくれ」

「でも、人を殺すのは、許されないこと」

「俺は許すよ。人を守ろうとした事は、決して間違いであって良いはずがない」


 じゃなきゃ正当防衛なんて言葉は生まれないし戦争なんて起きやしない。人を殺すことが罪になるとしたらそれはその相手が殺されるのが間違っていると言いきれる相手だけ。今回のように他人の人生を売買する奴は、死んでも良い人間だと多くの人間が言うだろう。


「だから辛くなったら俺を利用してくれ。友達を守るためなんだ、悪くないってそう思え。俺はいくら責任を押しつけられてもかまわない。その罪は、俺が背負うからよ」


 勇者君と違ってな。まあ背負うと言っても何もしないがな。だってもう死んでんじゃん。何模できねぇじゃん?いや、この世界なら復活魔法とかありそうだしゴースト系のモンスターも居るか。まあ知ったこっちゃないがな。


「背負って、って……それは……私がやらなきゃ、駄目………」

「そんなことはない。じゃあ聞くが、俺は捕まった人達を助けるために人を殺した。それは間違ってると思うか?」

「……………ううん。あの人達、リューゲに……感謝、してた。間違いなんて、ない……と、思う……」

「ならお前だって間違ってないさ。何度だって言う……助けてくれて、ありがとな」

「…………怒らない、の?」

「ああ」

「責めないの?」

「ああ……」

「見捨てないで、くれる?」

「もちろん。だからお前も、あの男を殺したことを、もう責めるな。俺が殺されても良かったなら別だがな」

「───……リューゲ、ありがと」


 あー、チョロいな此奴。拠り所だった勇者君があっさり離れてくれたおかげだね。まあ、今日はこの辺りにしておくか。時間は後少しあるし、今日はさすがに夜遅い。


「リリィ」

「何でしょうクズマスター」

「保護した違法奴隷達に部屋を───おい今クズと言ったか?」

「気のせいでは?」

「────まあ良いか。で、部屋は?」

「既にアルカードに送らせました。問題はないかと」

「なら良し。じゃあロリっ──ユノ、俺は宿に戻る。また明日な」

「う、うん!また、明日───」


 俺達が背を向けると手を小さく振るユノ。道を歩いていき少しして振り返ると未だ俺達を向いていたユノが大きく手を振ってくる。


「よくもまあ傷心の女児に漬け込めますね」

「罪悪感がねーしな。それに無駄にはならないだろ?彼奴の名はあくまでこの地で落ちただけ。まだ勇者というブランドを喜ぶ奴等は山ほどいる」

「まあいざとなったら私が殺します。魔結晶で本気だして」

「出せば勝てるのか」

「勝てます」


 此奴本当に何者なんだろう?取り敢えず此奴だけは契約切るわけにはいかんな。前々から思ってたことではあるが……。


「あの娘は暗殺者としてか、血管内に血栓蟲という寄生虫を飼っていますから寄生と出ても誰からも疑われません。脳に寄生虫でも入れて操ればいいのでは?」

「寄生させときゃ情報収集は楽だろうが操るのはなしだ。虐めがいが無くなる」

「………悪趣味ですね」


 仕方ないだろ、人の性癖にあれこれ言うなってのショタコンめ。ああ言う弱い子見てると虐めたくなるんだよな。前世の環境の八つ当たりってのはなんとなく解るが………。


「まあ確かに使えますか。なんならあの娘に勇者の暗殺をさせるのもありかもしれませんね」

「そのためにはもっと仲良くなる必要があるがな。それこそ依存させるぐらい………」

「魅了スキルを身につけてみては?」

「魅了ねぇ……魅了───なあ、一つ質問なんだが」

「はい」


 質問という言葉に俺を見るリリィ。俺はリリスと同盟を結んだ時からずっと気になっていることを尋ねる。


「何でお前、俺に魅了かけてんの?」

魔蟲王 名前:シュヴァハ 状態:寄生 Lv18 魔結晶48

HP 802/802

MP 1050/1050

CP 最大11100

DP 15742

攻撃力:242

防御力:184

精神攻撃:268

精神防御:1741

命中力:229

素早さ:10002

運:2486


スキル

《ガチャ》 《ログインボーナス》 《創糸Lv4》《操糸Lv6》 《残機Lv3》 《斬糸Lv4》

《寄生》《韋駄天Lv2》《逃げ足Lv2》

《蜃気楼Lv2》


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