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不返の城攻略戦③

長らくお待たせしました。

 セイレンは落とし穴の中で飛翔の呪文を唱える。

 漸く落下は止まったが道中内側にしか開かない取っ手のない扉が幾つか存在した。登るのは不可能だろう。


「飛翔を使える者にも対策しているわけか、いやらしい罠だ……」


 途中出口もない。このまま浮いていても魔力が尽きて落下を再会するだけだろう。となると降りるべきか……と、方針を決めた時上にあった扉が勢い良く開く。


「……ッ!?」

「よ、っと………」


 セイレンが思わず目を見開くと降ってきた人物は壁を形成する積まれた石の隙間に短剣を突き刺し止まる。


「やあセイレン、無事か?」

「エリザ……遅かったな」

「いやすまない。あの扉の先に何があるか不安でね。開ける度に止まるのを繰り返していたんだ」


 セイレンの言葉に苦笑するエリザ。セイレンとてわざわざ追いかけてくれただけで十分感謝しているのだ。それ以上は文句は言わなかった。


「取り敢えず降りよう。私とて魔力が永遠に続くわけではないからな」

「ああ。くっついて良いかな?」

「好きにしろ」

「助かる」


 セイレンの言葉にエリザは礼を言うと剣を抜き放ちエリザの肩を掴む。

 女性とはいえ鎧を着込んだエリザの重量に一瞬だけ顔をしかめたセイレンだったが直ぐに軽減の魔法をかけた。


「さて、出口を過ぎてないと良いな?」


 ダンジョンの罠は完全に閉じこめるというものが存在しない。必ず抜け道がある。

 例えば外からしか開かない扉だったり全員が寝ている間に出口が現れるだったり一見すると外に出す気はないように見えるが、必ず何らかの攻略法が存在する。

 落とし穴だってこうして登れないような作りになっている以上は抜け道があるはずだ。

 そう言うものなのだ、ダンジョンとは。

 疑問に持つのも馬鹿らしい昔から。必ず誰にでも攻略できて、それ故に危険が強くなる。


「……む、ひらけたな」


 出口らしき横穴や隠し扉を発見できず降りていると開けた場所に出た。降りていた速度と時間を考えるに、ダンジョンの入り口のあった階より下。地下だろう。


「下は針の森か……既に犠牲者が出てしまったようだ」


 穴の出口から床までの高さは10メートル程。床には3メートルの巨大な杭が森の木々のように生えており、人の血を吸い赤く染まっていた。

 床に落ちて死んだ者もいるが無事な者もまた何名かいるようだ。


「お……アンタらも落ちてきたのか………ッチ、勇者はいねーのかよ」

「まさか本当にダンジョンマスターを殺したりしないよな?」


 セイレン達の姿を確認した生き残りの一人が勇者である晴也の姿がこの場にないことを確認すると露骨に舌打ちする。思わず詰め寄ろうとしたセイレンを止めたのはエリザだった。


「止めるなエリザ!奴らは──!」


 ダンジョンからモンスターが溢れ、死者が出た。

 故に晴也はダンジョンの驚異から人を守るために、泥を被ろうと決めダンジョンを滅ぼすと決めた。

 だと言うのに向けられたのは物欲にまみれた者達の悪意だ。晴也を慕うセイレンからすれば、彼等はなんと浅ましく愚かしい唾棄すべき存在であった。


「…………」


 そんな考えをするセイレンを見てエリザは困ったような笑みを浮かべて肩を竦めた。


「今は争っている場合じゃない。ここで死ぬなど私はごめんだ」

「………それは私もだ」

「では、彼らと情報を交換するとしよう」


 こういった落とし穴の先に部屋があり、他の落とし穴と繋がっている場合はこの部屋自体に出口があるか落とし穴のどれかが出入り口として使えるパターンが多い。落ちてきた者達の中にあの返し扉が無い穴を通った者がいるかか聞いてから隠し扉を探すのが最前手だろう。


「ふん。しかしこれだけの冒険者が落ちてくるとはな……迷宮素人の私達ならともかく、こいつ等は熟練者として恥ずかしくないのか?」

「セイレン……だから言い方をだな───!?」


 敵意剥き出しの言葉にエリザが呆れたように注意しようとした瞬間、エリザは顔色を変えてセイレンを押し倒す。

 宙に投げ出されたエリザの髪を物陰から現れた槍が切り裂いた。いや、槍とは少し形が異なる。


「ラミアか!」


 恐らくあれは薙刀と呼ばれる武器だろう。ソレを持つのは蛇の下半身を持った仮面の女性。


「フレイム!」

「──!」


 セイレンが牽制に魔法を放つと杭の森の中に消える。と、別の場所から悲鳴が聞こえてきた。

 別の誰かが襲われたのだろう。


「くそ!隠しボス部屋か!」


 ボス部屋とはボスを倒さない限り扉が開かない作りの部屋のことだ。ラミアクラスのモンスターとなれば間違いなくボスだろう。

 杭の森、ラミアにとって絶好の戦闘フィールドだ。


「───!?」


 周囲から聞こえてくる声から居場所を探ろうとしていたエリザは上から迫ってきた薙刀を慌てて防ぐ。

 見れば先程のラミアが杭に下半身を巻き付けていた。


「しぃ!」

「ふふ」


 エリザが剣をラミアの顔に向かって放つが別の杭に巻きつき逃げられる。

 三次元を動き回るというのは実に厄介だ。

 さらによく見ると杭から無数の杭が生えよりいっそう森のようになった。

 枝から枝を通り音が移動する。





 杭の森を移動しながらハクは勇者の仲間達を見る。レベルは他の有象無象の冒険者達と比べるまでもなく高い。いくらランクAのモンスターと言えど、生まれたばかりの自分には二人相手はキツいだろう。

 とはいえ命じられたのはあくまで威力偵察。真正面から戦うつもりはもちろん倒す気もない。

 が、驚異になるならやはり殺しておくべきだろうか?


「……──!?」


 杭の木々に隠れ観察していたハクだったが突然目の前に現れた剣に目を見開く。


「くっ!?」


 尾を幹に巻き付け上体を枝から落とす。

 自分の上を通過したエリザ。ハクは五月蠅くなる心臓を落ち着かせようと息を整えながら距離を取る。

 が、エリザは杭を蹴りながら三次元的な動きで追ってくる。杭から生える細い杭にも即座に反応し逆に足場にするほどだ。


(───明らかに此奴だけ動きが違う!)


 シュヴァハから警戒するように言及されるわけだ。同じレベルだというのにこうも他のパーティーメンバーより判断力やステータスで上回るとは………。

 寧ろ他のメンバーがレベルに対してステータスが低いのだが……。


「考え込みととは余裕だな!」

「ッ!」


 先回りしたエリザは剣を振り下ろす。避けられない!そう思った瞬間ハクが足場にしていた杭が消え落下する。


「………ふむ」


 エリザは地面に降りると周囲を見回す。


「この杭は、誰の能力だ?君やダンジョンマスターではないな」

「───っ!」


 エリザの言葉にハクは目を見開く。自分の者でないとバレるのはまだ良い、そもそも今の動きだって明らかに彼女の意思していない動きだったのだし。

 しかし何故ダンジョンマスターでないと断言できるのだろうか?


「私は主の目だからな、主の目はあらゆるモノを見通す。この杭、使い手はアルカードと言うらしいな」

「それが我が主だ」

「さっき私の言葉に動揺していた。嘘が下手だな」

「………………」




「死者あんまり出てないけど、良いの?」


 現状を見ながらリリスは不意に訪ねてくる。確かに罠やモンスターによる怪我人は出ているが死人はそこそこだ。


「まあそれでも順調だ。疎らに散ったしな」

「ふーん。順調なの……?」

「そりゃもう、このまま進めば俺の狙い通り───」


 そこまで言って、口から声の代わりに赤い液体が溢れる。


「───ごぷ」


 体の中に熱く溶けた鉛でも流し込まれたような熱を感じ振り返る。

 ジャオが不適な笑みを浮かべており、その手は此方に伸ばされ途中からは完全に四角になっている。

 まあ、そんなこと確認しなくても胸から剣が突き出ている時点で解るのだが。


「じゃあこの先は私がやるから、お前もう要らない。お前のDPも部下も、私が有効活用してやるから安心して良いわ」


 ニヤリと笑うリリス。次の瞬間、剣が引き抜かれ椅子が蹴り飛ばされ床に転がる。

 生暖かい値の感触が伝わりHPが急激に減っていくのが解る。


「じゃあねシュヴァハ」


 そして、HPが黄色から赤に変わり、完全に消えた。

この展開、結構読まれてたかな?



魔蟲王 名前:シュヴァハ 状態:ーーーー Lv12 魔結晶24

HP 654/654

MP 680/680

CP 最大10710

DP 5207

攻撃力:151

防御力:95

精神攻撃:168

精神防御:1204

命中力:104

素早さ:10000

運:2206


スキル

《ガチャ》 《ログインボーナス》 《創糸Lv3》

《操糸Lv6》 《残機Lv3》 《斬糸Lv4》

《寄生》《韋駄天Lv1》《逃げ足Lv1》

《蜃気楼Lv1》

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