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素人の初陣

お気に入りもとうとう三桁になりました!

 勇者の配っている食事にありつこうと並んでいた人の列は、突如聞こえてきた叫び声にしかし大して危機感を覚えなかった。

 ここは冒険者ギルドの存在する街だ。それに外堀にはモンスターを近づけないように杭がある。時折叫び声が聞こえてくるだけなら良くあることなのだ。

 が、不意に指した影と、そこかしこであがった悲鳴に誰もが空を見上げ目を見開いた。


「グオオオオオ!」


 そこにいたのは二足二翼のドラゴンに良く似たモンスター。名をワイバーン。

 堅い鱗に覆われ空を飛び種類によって異なるが炎や毒を吐くモンスターだ。人を容易に殺せるモンスターだ。


「う、うわぁ!」

「助けてくれ!」


 冒険者でもない貧民達は当然パニックになり我先にと駆け出す。目の前の者を押しのけ転んだ者を踏みつけ必死に走る。利口な者は敢えて動かず身を丸め人波が薄くなるのを待ってから逃げようとしたがその背に何かが張り付く。振り返れば緑の肌の醜い顔と目があった。


「ひぃ!?ゴ、ゴ……ゴブリン!?」

「ゲゲゲゲ!」


 不気味な笑い声を放つゴブリンは男の肩を切りつけると別の獲物に向かって襲いかかる。


「やめろ!」

「ぎ!?」


 が、勇者であるセイヤが剣を振るいゴブリンの首を切り飛ばした。


「皆落ち着け!落ち着いて建物に避難するんだ!」

「ぐおおおおおお!!」

「───!?」


 セイヤの言葉に住民達が建物に避難しようとした瞬間、叫び声を上げながら建物の上にオーガが着地した。その衝撃で建物に罅が入る。


「ごおおおおお!」


 オーガは持っていた鉄の棍棒を振るいセイヤの持つ剣とつば競り合う。人間を遙かに越える膂力に押されそうになりながらも人間離れした膂力で押し返す。

 その姿に熱狂する民達はしかし新たに聞こえてきた声に蜘蛛の子を散らしたように逃げるのだった。


「エリザ!エンリ!セイレン!ユノ!ここは僕に任せて、他を頼む!」





 流石勇者のパーティー。生まれたてじゃ相手にならないか。オーガも最初の不意打ちで押してたが今じゃ形成逆転。

 此方の残りはレッサーワイバーン五匹にゴブリン一匹とオーガ二匹。人間側の被害は死者12名、重傷者8名、軽傷者84名ってとこか。まあ目的は死者を出す事じゃないから良いんだけど。


「アルカード、そろそろやれ」

「はっ」


 俺の言葉にアルカードが弓を構える。先端はアルカードの生み出す杭から造った鏃。狙うのは4匹のレッサーワイバーンに囲まれ背にオーガを乗せた一匹。


「──っ」

「ガア!?」


 アルカードが放った矢は見事にレッサーワイバーンの心臓を貫いた。

 あのレッサーワイバーンは死ぬってわかってたのに俺に従い避けなかったのだから後で弔ってやろう。死体が回収できたら。

 さて、広場の上で飛ぶように命令してたがもういいな。

 散開。

 レッサーワイバーン達は離れるように四方に飛び地面に落ちたオーガは広場の噴水を破壊し広場に避難誘導していた冒険者達に倒された。残りオーガ1にワイバーン4。


「派手に始めろ」




「ゴアアアア!」


 オーガは主の命令を忠実に実行するべく街頭をへし折り屋台に投げつけ、植えられている木を引っこ抜き振り回す。

 が、不意に木が燃える。


「ぐう!?」

「そこまでだ邪悪なモンスターめ!」


 現れたのはローブに身を包んだ金髪の女性。主からの命令を受け取る際、流れ込んできたイメージにあった女性だ。オーガはすぐさま駆けた。



「な!?ま、待て!」


 セイレンは突如背を向け逃げ出したオーガに向かって慌てて炎の魔法を放つ。が、耐久力が高いのか大したダメージを負った様子もなくドンドン距離が開いていく。


「万物を焼き尽くす炎よ、世界を照らす炎よ、悪しき怨敵を滅ぼす龍となれ!フレイム・ドラーゴ!」

「ぐおお!」


 ならばと詠唱を行い威力を底上げした上位魔法で焼き尽くそうと特大の炎を放つ。着弾の瞬間オーガが笑ったように見えたがオーガは炎に飲まれあっさり焼け死んだ。


「……何だったんだ、今のは………ん?」


 戸惑っていたセイレンはパチパチとモノが燃える音に正気に戻ると炎に包まれた商店が見えた。





「皆さん!構えてください!」


 お姫様の号令で衛兵達が弓を構えるのが見えた。先程()()()()()()弓でレッサーワイバーンを打ち落としたのを見て自分達も、なんて考えたのだろう。

 しかし放たれた矢はレッサーワイバーンに掠りもせず地面に向かって落ちていき避難しようと走っていた市民に刺さっていく。

 まあそれもお姫様の位置からは見えないだろうがな。


「くっ!雷よ、すべてを貫く槍となれ!我が敵を滅ぼす鎚となれ!ライトニング・ジャベリン!」

「───ガッ!!」


 雷に貫かれたレッサーワイバーンはバランスを崩し家を何練か半壊させ落下した。さて、もう良いだろう。十分だ。


「リリィ、もう良いぞ。やれ」


 俺の呟きにリリィは頷くと空に向かって跳ぶ。その跳躍に多くの目が集まった。


「畏まりましたマイマスター」


 ここからでも良く聞こえる透き通った声に多くの者が目を奪われているとリリィの掌に炎が生まれる。


「ま、待ちなさい!上空で攻撃したらレッサーワイバーンが落ちて被害が!炎のなら尚更街にひ───」

「フレイム・サーペント」


 お姫様の制止より早くリリィが魔法を完成させる。技名はこの前勇者んとこの魔法使いが使ってたのと同じだけど現れたのは10メートルはありそうな巨大な大蛇。


「グアアアア!?」

「グルルルル!」

「ギャアアアア!」


 炎の大蛇はワイバーン達に絡みつき地面に落ちる前に灰すら残さず焼き尽くした。流石。


「……」


 スタッと屋根の上に着地したリリィの周りにキラキラと僅かな火の粉が舞う。周りの連中がそれに見とれ感嘆の吐息を漏らしているのを見て、つい俺もリリィを見る。

 綺麗だと思ったのは内緒だ。





「死者14名、重傷者7名、軽傷者92名ねえ………」


 重傷者の数が減ってるって事は死者の仲間入りしたのか。ちなみに死者の死因はモンスターによるものではなく、人間に踏み潰された子供達と降ってきた矢の当たりどころが悪かった者などだ。

 重傷者の内5名もそう。後は転んだり飛んできた破片で怪我したりモンスターと戦ったりした冒険者や市民達。モンスター達は俺の言いつけ通り誰も殺していない。


「てめぇ等だろ矢放ったの!」

「わ、我々はただ姫様の命に従ったまでで……」

「素人に従うからだ!俺のダチは矢で足怪我して死んだんだぞ!」

「姫様!アンタの放たせた矢が家の子を殺したのよ!」

「それだけじゃねぇ!家の店がアンタの落としたレッサーワイバーンに潰された!」

「俺なんてそこの姉ちゃんに店を燃やされた!」


 チラリと簡易テントが並んだ広場の一角をみると責任の押し付け合いが起きていた。


「落ち着け!今は人間同士で争っている場合じゃない!それよりも、モンスターパニックを起こしたダンジョンを破壊しに行くべきだろ!」

「………………」


 と、そんな言葉に冒険者達がジロリと勇者を睨む。


「素人が好き勝手言ってんな。ダンジョンに潜って、モンスター減らすだけで十分だろ」

「な!?この被害をみただろ!?」

「別にこんなの数年に一度あるんだよ。騒ぐほどでもない」


 だろうな。モンスターの数はキチンと例年の被害を調べて調整したし。


「けど、死者だって出てるんだぞ!?」

「……お前、それ言うか!?お前等のせいだろうが!」


 勇者の言葉に冒険者の1人が叫び声を上げた。そして、そのまま戸惑う勇者の胸ぐらをつかんだ。


「今回の死者は、てめぇ等が集めたせいで踏み潰されるガキ共と、姫様が放った矢に射られた奴だけだ!モンスターに殺された奴は1人も居ない……」

「そうだ!私の息子は、飛んできた矢で怪我したんだ!」

「俺なんて家を落とされたワイバーンに潰されたぞ!」

「俺はそこの姉ちゃんに店を燃やされた!」


 と、1人が言うと次々に王族であるお姫様に文句を言う者達が現れ始める。


「そ、それは……我々も初陣で……」

「なら余計な命令して混乱させんなよ!」


 この街での彼奴等の印象は最悪になってきてるな。まあこの後復旧しなくちゃいけないし、今の内に生け贄を決めたいんだろ。


「……今ならやれるのでは?」

「いや、まだだろ……」


 アルカードの言葉に俺は否定する。今回のことは、全部勇者アカツキを殺すための準備だ。

 何せ彼奴が持つチートスキル『破邪の一閃』は即死攻撃を受けてもHP一割残すのと、HPが一割になったとき()()()()()()()()()()()()()()()()()()()1()()()()()()()というモノだからな。

 この街だけで3000人。王都は45000人。

 国そのものなら200万人は居るそうだ。全員が勇者に期待しているわけじゃないだろうが、一割でも+2万。十分驚異だ。

 おまけにそんなスキルを持ってるのだから当然国は奴が期待するように噂を広げようとする筈。失態を演じて貰わなきゃな、此奴には。


「ま、話はしばらく平行線になりそうだ。宿に戻ろうぜ」

「「はい」」


 俺の言葉に付いて来るアルカードとリリィ。そういえばあのロリッ娘は……あ、いた。やっぱりこっち見てる。


「………エリザ」

「ん?ああ、リューゲか……どうした?」


 エリザに話しかけると少し疲れたような顔で笑みを浮かべた。此奴も勇者御一行の1人として見られてるだろうからな。


「少しお前と話がしたいんだ。良かったら借りた宿に来ないか?」

「情熱的な誘いだが、目的は何だ?」

「あのチビが気になってな」

「年は君もそう変わらないだろうに……それに、女を誘っておきながら別の女の話をするのはいただけないな」

「……光景を保存する魔道具、釣りが合わない気がしててな。お前だってそうだろ?」

「ふふ。まあね……返還しているとは言え貴族の端くれとして、貸し借りはキチンと返そう」

魔蟲王 名前:シュヴァハ 状態:寄生 Lv12 魔結晶24

HP 654/654

MP 680/680

CP 最大10710

DP 93514

攻撃力:151

防御力:95

精神攻撃:168

精神防御:1204

命中力:104

素早さ:11

運:2206


スキル

《ガチャ》 《ログインボーナス》 《創糸Lv3》

《操糸Lv6》 《残機Lv3》 《斬糸Lv4》

《寄生》


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