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ご利用は計画的に

 ダンジョンマスターになってから2日たった。今のところDPは特に溜まっていない。新しいダンジョンも初めはこんな物だとリリィは言っているが……。たまらないならすでに持っているDPを使うべきだろう。

 さて、まず肝心なのは初期保有DPだ。


「500……」

「良かったですね。過去最低の半分です」

「これって俺の強さに関係するの?」

「いえ、ダンジョンマスターとしての素質です。才能は関係ありませんし、強さも同様に」

「?才能と素質って何か違うのか?」

「例えば野球の才能があっても本人に全くやる気が無ければそれは素質があるとはいえませんよね?気概、才能、これをあわせて素質と私は思ってます。まあ、やっくん様はやる気しか見ませんから全く才能のないくずに初期10000を与えることもありましたし」


 と、忌々しそうに言うリリィ。何かリリィと話していると時折違和感を覚えるんだよな。何でだ?

 ………あ、野球とか知ってるからか。そういや俺の記憶読んでるんだもんな。そりゃ普通角持ち羽持ちの見るからに悪魔っ娘メイドから現代知識が出れば違和感を持つか。


「まあ俺はこの500で運営を始めなきゃいけないわけか……とりまモンスターとこ?お、ちょうどゴブリン傭兵団っての500じゃん」

「っ!ま───」

「買取……」


 足下に魔法陣が現れカッ!と光る。ん?今なんかリリィが慌ててたような───.うお!?

 気がつくとリリィに持ち上げられており、目の前には50ほどのゴブリンの群があった。皮鎧や短刀を持っており、まさしく傭兵だ。

 消費コストは100。1500秒、25分でCPを補えるわけか。ん、今リリィ俺を止めようとしてなかった?


「こんちわ兄さん!ちーっす!」

「うおしゃべった!?」

「そりゃしゃべりますよ。んで、俺らは何すりゃ良いんですかい?」

「とりあえず死んでください」

「「「「………へ?」」」」


 俺とゴブリン達の声が重なり、次の瞬間俺の目の前からゴブリン達が消えドチャリと後ろの方で音がする。生憎今はリリィに捕まれており見えない。

 察してくれたのかリリィが振り向くとそこにはゴブリン達が居た。いや、ゴブリン達だった物があったと言うべきか。


「……は?」


 夥しい血の海の中に沈む無数の肉片。顔の半分が原形をとどめている物が一つだけあった。ゴブリンの顔だ。ゴブリンの死体だ。


「ちょ、リリィ!?おま、何を……!?」

「無駄遣いなさったので。取り敢えず吸収を。5分の1ぐらいにはなるでしょう」

「え、ああ……」


 頭の中で吸収と念じると死体が血の後残さず消えた。ポイントは……100だな。


「………で、説明してくれるんだろうな?」

「むしろ私が説明してほしいぐらいです。何故こんな愚行を?」

「………愚行?」

「ゴブリンは弱い。それ故の低コスト。基本的にはダンジョンの入り口近くにおいて冒険者を集める餌ですね。しかし生まれたばかりのダンジョンで、50ものゴブリンが出現したら人間はそのダンジョンが近いうちにモンスターパニックの要因になると判断するでしょう。ああ、モンスターパニックと言うのはダンジョンからモンスターが溢れることです。CPと範囲が足りないからと眷属登録を解く者も多いんですよ」


 それであぶれたモンスターがダンジョンから溢れるのか。確かに生まれたばかりのダンジョン、ただの洞窟にゴブリンが50匹も居たら、直ぐに100匹、200匹って増えてくと思うわな。そして直ぐに洞窟からあふれると。


「実際初期DPで群モンスターを大量に召喚して一ヶ月後に滅ぼされた魔王も存在しますからね。私が居なければ子虫も同じ末路。感謝してくれていいのですよ?」

「…………取りあえずキチンとマスターって呼んでくんない?」

「………ッチ。これで良いですかマスター」


 棒読みだし舌打ち聞こえたぞこのアマ。


「傭兵ゴブリンは6Pですが武器なしのゴブリンなら4Pですので二匹ほど召喚しましょう。取りあえずそれを2日おきに繰り返しておけば調査も一週間ほどで終わるでしょう。あ、ちなみにマスターは……失礼、マスターの同種族である魔蟲族(幼態)は0Pですよ。やりましたね、雌ばかり集めてハーレム作れますよ」

「んなことするかよ………ええっと……ん?」


 ちなみにカタログとかは目の前に現れる。ゲームみたいだな。俺には手はないが念じれば動いてくれる。そのカタログの中で妙な物を見つけた。


「どうしましたマスター。可愛い雌でも見つけました?」

「いや、その……カタログ欄に10Pでカッパーガチャ一回ってあったんだけど……」

「……魔結晶は?」

「カタログの中にはないなー……ん、あ。敵味方関係なく10がダンジョン内で死ねば一つ手にはいるって……ゴブリン傭兵団で5個。一回引ける」


 ゴブリン傭兵団、君達の死は無駄にならなかった。


「まあ、ここは魔結晶を使っておきましょう。次溜まるのが何時なのか解りませんし」


 というわけで早速ガチャを回してみることにした。床から魔法陣が現れやっくんそっくりな虹色に輝く石像が現れ中肉中背のくせにボディービルダーみたいなポーズを数回取る。


「……私の召喚の時もこんな感じでした?」

「この後虹色に輝いた」

「…………」


 リリィが不機嫌そうな顔をした瞬間、やっくん石像は青色に光る。あれ、色が違う?


『Sだよ。やったね♪』


 カパ!と口が開き青いカードが出てくる。やっくん石像は親指を立てて魔法陣の中に沈んでいった。


「…………」


 リリィが無言で俺を見つめてくる。何が言いたいのか、まあ解る。リリィも当然──


「こうやって出て来た」

「あんのクソおやじ………まあ良いでしょう。で、何ですか、それは?」

「ええと………」


 青いカードはフワリと浮かび上がり俺の目の前にくる。リリィも位置的には見えるだろう。そして俺たちは、固まった。


「………目の錯覚でしょうかマスター。CP上限10000UPと見えるんですが」

「俺にも見える……」

「……いきなりダンジョンランク90相当!?」


 ええっと、確か俺という例外をのぞいて最低で1000だよな?てことはランク1に対して大体100上がるのか?


「………残りのポイント全て使ってカッパーガチャを」

「え、いいの?モンスターは?」

「その辺から捕まえてきます。100Pなので、10できますよね?」

「あ、10連でやれば90ですむけど?」

「ではそれで」


 今度は銅色のやっくん石像──銅像か?──が現れ再びポーズを取ると虹色に光った。……ん?


『大した運だね、すごいや!』


 口からカードを出す度にポーズを変え、10枚のカードを出す。

 一枚だけ虹色で残りは全部銅色。よく見るとカードにCマークがあった。虹色のにはSS。やっくん石像はうんうん頷きながら魔法陣に沈んでいく。すんげえイラつく。


「カードの柄が違いますね」

「確かに。何枚かの柄はリリィと同じだな。ん、これは……ゴブリンか?」


 おそらくこの柄がモンスターカードなのだろう。ゴブリンを五体手に入れた。

 残りの三枚は同じ模様が下級マナポーション2つと下級ヒールポーションが一つ。アイテムか?別のマークの奴はCP回復(100)となっている。で、SS。これもまたマークが違うな。


「ふむふむ………スキルだな」

「なるほど。現状でモンスターカード、アイテムカード、CPなどのポイントカード、スキルカードの柄が解ったわけですね。他にも種類はあるのでしょうか?」

「さあ、解んねー」


 取り敢えずスキルをみてみるか。SSだし、いいのがくるだろう。来るよな?レアだけど役に立たないとかないよな?


「………ログインボーナス?」

「ログインボーナス………千年ほど前の勇者が持っていましたね。一日を生き抜いた褒美にランダムで様々な報酬か渡されるとか……」


 まんまネトゲだな、これ。


「カッパーガチャとは具体的にどの様なガチャなのですか?」

「70%の確率でCランクカード、20%でB、5%でA、3%でAA、後はそれぞれ1%でSかSSだ」

「魔結晶ガチャは?」

「基本的にA以上」

「ふむ。マスターは運だけはありますね、運だけは。取り敢えずゴブリンを二匹放っておきましょう」


 まあ俺は素人だし、その辺はもうリリィに任せるか。

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