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「お待たせ蜘蛛達」

『キー♪』


 森の外に出るとビッグスパイダー達が出迎えてくれる。俺の騎乗していたビッグスパイダーの頭を撫でてやると一度だけ街の方向に振り返った。

 彼奴等今頃どうしているか、とそんな俺の心境を察してくれたのかアルカードが恭しく礼をする。


「命令さえあれば何時でも王の敵を殺しに行きますが?」

「だからやめろって」


 彼奴等が死のうと俺には何の感慨もないけどなら殺すかと言われたらそれも違う……ような気がする。無駄な殺生はやめときたい。こちらが命を狙われる原因になるし。

 ある意味俺も勇者君と同じくラノベ主人公の資格あるのかもな、平気で命を奪えるサイコパスだし。あ、でも俺は罪悪感取られてるからか。


「人を助けるなら最後まで責任をとるか、それが理由で死んでも自分には関係ないって割り切れば良いのにな」


 そもそも銀貨だけでも貧民達には大金だ。殺される可能性は十分ある。それで殺されてたとしても俺は俺のせいだなんて思わない。

 お前のせいじゃんと言ったりはするけどね。


「マスターは線引きがはっきりしているのですね」

「普通、切り捨てることにも罪悪感があるだろうからね。あ、でも多分線引き内に認定した……リリィやアルカード達には罪悪感とか感じると思うぞ」

「………………」

「それは、ありがたいですね。しかし、王の気持ちを煩わせるような事があったら私は直ぐに自害しますよ」

「……重い」


 リリィみたいに無言で微笑みゃ良いのにアルカードは大袈裟なんだよな。ま、いっか。さっさと帰ろ。

 ビッグスパイダーの上に乗ると森の中を走り出した。そういやもう一つのダンジョン、どうしよっかな。見に行くか?いや、一度帰ってから考えるか。





「……マスター」


 もう直ぐダンジョンって所で急にリリィがビッグスパイダーの上から飛び降り俺達の前に出て手を伸ばし止めてくる。良く見るとアルカードも何やら警戒していた。

 ダンジョンに侵入者か?ダンジョンコアが破壊されそうになったらスコロペンドラゴン達が出るようにしたけど、その前兆は無かったが………。


「……ん、あれか?すげー格好」


 木々に隠れながらそっと覗くと1人の少女と冒険者風の男がいた。少女のほうの年は……見た目16、7歳ぐらいか?

 全身にピッチリ張り付いた露出度の高い黒い革のボンテージみたいのを着た痴女だ。しかしその頭や背中には人化を解除したリリィのように角や蝙蝠の翼、オマケに尻尾まである。


女淫魔(サキュバス)ですね」

「え、てことは滅茶苦茶強いのか?」


 アルカードの呟きに思わずリリィを見る。サキュバスなんてリリィしか知らないしな俺。

 と、俺の考えを否定するようにアルカードが首を横に振った。


「王よ、女淫魔(サキュバス)はそんな化物の集団ではありませんよ。もしそうだったらこの世界はとっくに淫欲に乱れています」

「そうなのか?リリィなんて普段そういう所見ねーけど」


 何時も無表情で淫乱の影の形もないリリィ。本当にサキュバスなのか?


「というか誰が化物ですか。マスターも否定してください」

「……否定?」

「殴りますよ?」


 否定できないだろと思ったが不服らしい。


「ふむ、どうやらダンジョンマスターのようですね」

「解るのか?」

「ダンジョンマスターと魔王という称号がありますから間違いないかと」

「……俺にはそんなの無いけど?」

「マスターはダンジョンの領域は広げても改造は行ってませんから。魔王に関しては、単純に弱いからでは?」

「………………」


 称号習得にも条件があるのね。ふーん。取り敢えず彼奴どうするか、目的が不明だしな。

 内の奴らが出てきてないって事はダンジョンコアに触れてないんだろうし……。でもそれだって俺が居ない事に気づいたからの可能性もある。


「……リリィ」

「私の敵ではありませんね」

「アルカード」

「我が身は御身を守る盾であり怨敵を殺す矛でございます」


 なら良し。アルカードは弱点がなくなったしリリィは滅茶苦茶強いし、まあ大丈夫だろというかリリィが敵じゃないって言ってるし。


「マスター、ダンジョンマスターらしく威厳のある対応を……」

「具体的に言うと?」

「黒歴史になるレベルの厨二病を演じてください」

「……えー」

「厨二病を患わずして誰が魔王を名乗れるというのですか」

「え、名乗れないの?」


 じゃあ俺魔王になれなくて良いや。

 黒歴史は流石にな。中学の頃の無二の親友との一時だけで十分だ。

 思い返せばあの時の妹の目は冷たかった。

 まあ中二病設定で考えるならそもそも俺の前世の来歴が中二病設定そのものだったけど。あれ、ひょっとして選ばれた理由それか?


「さあマスター、今こそ厨二力を発揮する時です。後でからかえるぐらい」

「……やらなきゃ駄目?」

「駄目です。おもしろくない」


 此奴……っ。

 まあ交渉は舐められたら終わりって言うしな。やってやる、やってやるぞ!

 ………やってやるさ。


「俺のダンジョンに何か用かなお嬢さん」

「あら、帰ってきたのね」


 俺が茂みから出るとサキュバスの女は笑みを浮かべて振り返った。そして、その隣に控えてきた冒険者風の男が腰の剣に手をかける。


「やめなさいジャオ」

「…………」

「どうやら魅了状態のようです」


 ああ、この世界で初めて殺したあの盗賊達と同じ状態なのか。どうりで目に光がないわけだ。


「そいつは?」

「ジャオ、私の手駒よ」


 ふむ、ジャオ……逆から読むとオヤジ。うん、見た目完全にオッサンだな。


「まあそれはどうでも良いか。

 本題だ、何の用があって俺のダンジョンに来た?まさか新人として挨拶するべき決まりでもあったか?

 だとしたら、俺の無知を詫びよう」

「別にそういう決まりはないわ。ダンジョンを広げいく内に気づいて、そこから挨拶するようにすればいいの。

 今回は私が先に貴方達に気づいたのだけどね」

「そういうものなのか」


 まあダンジョンの反応なんてさっぱり感じ取れなかったしな。さてそれより早速話を始めなくては。

 会話の主導権を握られるわけにはいかない、此方のペースに乗せる。


「だうすると勇者か?そちらはどういった対応をとるつもりだ?」

「ッ!へぇ……赤ん坊のくせに馬鹿じゃないんだ」


 このタイミングで来たしな。それに、さっきの会話からしてダンジョンはお互いがある程度近づかないと存在に気付けないらしい。

 おそらく此奴は魅了した相手を街に送って逐一情報を集めていたのだろう。そして勇者の存在と俺のダンジョンの出現を知った。その上で来たのだろう。関係ないはずがない。


「私の下僕によるとね、勇者達は私のダンジョンの深層に入るそうなの。入るだけ、だけどあの勇者君無駄に正義感強そうじゃない?見られたら困るものがあるのよね」

「困るもの?」

「うん。眷属の娘達の餌件DPアンドCP稼ぎようの家畜。ちなみに私の深層の眷属はみーんな女淫魔(サキュバス)よ。良かったら来ない?ダンジョンマスターだもの、たーっぷり楽しませてあ・げ・る♪

 何なら私が相手して上げても良いわよ。貴方、可愛いも──」

「本題に入ってください」

「あら、ただの女淫魔(サキュバス)女王淫魔(サキュバス・クイーン)である私に命令?でも、ま。その通りよね」


 リリィの言葉に気にした様子もなくサキュバスはニコニコ笑い何も書かれていない羊皮紙を取り出した。 

 何だコレ、何となくやっくんの気配を感じる。リリィも僅かに眉根を寄せていた。


「これは『闇の契約書』我らが創造主たる闇の神様の力が宿った神器。

 同盟を結びましょう?私、女王淫魔(サキュバス・クイーン)リリスと、貴方で……所で貴方の種族って?」

魔蟲王 名前:シュヴァハ 状態:寄生 Lv12 魔結晶19

HP 654/654

MP 680/680

CP 最大10710

DP 143205

攻撃力:151

防御力:95

精神攻撃:168

精神防御:1204

命中力:104

素早さ:11

運:2206


スキル

《ガチャ》 《ログインボーナス》 《創糸Lv3》

《操糸Lv6》 《残機Lv3》 《斬糸Lv4》

《寄生》



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