勇者アカツキ
早速勇者とご対面してしまったよ。というかエリザ知り合いなのね。
貴族のご令嬢で鎧……
「やっぱり女騎士じゃねーか」
「言ったろ?騎士ではないと。国を渡るに当たって貴族の地位は邪魔になるので返還しているんだ」
とか何とか言って自分が有利な交渉が出来る時は貴族扱いするんだろうな。そもそも勇者はその国が召喚してんだからその国の責任だろ。
「まあそういうことなら女騎士って呼ぶのは止めとく。今日はありがとなエリザ」
こういう勇者って基本的に鑑定眼とかそういうスキル持ってるからな。さっさと離れよ。
「…………」
チラリと勇者が連れているロリッ娘と目があった。見た目の年齢は俺の器と同じぐらいか?睨むと言うよりは見つめているだけ。
しかし目が死んでるな。どうでも良いけど。
「王よ、如何なさいますか、あの勇者とか言う男」
「ほっとけほっとけ。どうせ名上げに来たんだろ。家にゃ関係ないよ」
出来立てホヤホヤのダンジョンを破壊したところで名を上げるはずないしな。むしろ新しい稼ぎ場所消されて非難されるだけだ。
不返の城とやらで最下層に潜ってから帰ってくるだけで名は上がる。ま、念の為パンデミック・スパイダーに監視させとくか。
「んじゃ宿に向かうぞ。こっち近道すりゃ安宿が………ん?」
近道しようとしたら脇道からボロボロの服を着た少女が現れた。なんだ此奴?勇者の所にでも行ってろよ。こっちくんなし……。
「あ、あの……服は代わってますけど、貴族様ですよね?」
「……は?」
ひょっとして此奴、さっきまでの服装の俺たちを見て勘違いしたのか?まあ、周りの勘違いには乗っていたのは俺だが……。
しかし仮にも貴族と思っている相手に何のようだ?こんなボロ布着た見るからに貧民が貴族に話しかけたらそれだけで殺されるイメージなんだが。
「お、お母さんが病気なんです!どうか、お金を分けてください……!」
「…………」
「……嘘は言ってないようです。マスターが子供だから、情に訴えかけているのかと」
リリィと目配せするとそんな言葉が返ってきて。
アルカードは、何言ってんだ此奴殺すぞ、とでも言いたげな顔をしてるな。
「お願いします!薬が高くて、金貨一枚必要で……!」
「そうか、ほれ」
「──!ありがとうござ──……え?」
ガキは俺が渡した銀貨を見てポカンと固まる。
「それで身なりを整えて彼方に向かうと良い。娼館があるから、そこで雇ってもらえ」
「……え?」
「イヤか?でもお前みたいな小汚いガキを雇ってくれるのはそこぐらいだろ。この国、人間の奴隷は禁止みたいだしな」
ちなみに奴隷の売買を禁止しているだけで所有は禁止されていない。他の国では居たりするからね。
一応この街にも違法の人売りはいたけどここはあくまで捕まえる場所みたいだったな。何名か眠らされてた。
「え、なんで……?え?」
「金は自分で稼がないとダメだろ」
そのための資金を与えてやるなんて俺も随分甘い対応をするもんだ。と、その時──
バンッ!
「──!?」
俺の顔面に向かっていた拳がアルカードの手によって止められた。
「な、なんだ!?」
思わず尻餅付いちまったじゃねーか!って、よく見ると勇者君?
「……いきなり何すんだお前」
「………」
無視かよ。
勇者君はそのまま少女に大金貨を渡した。おいおいマジで?百万だぞそれ。
「これで薬を買って、元気になったお母さんと一緒に何か美味しい物を食べると良い」
「あ、ありがとうございます!」
少女は勢い良く頭を下げると家があるであろう路地裏に向かって走っていった。あーあ、俺知ーらね。
「待ちたまえ」
「……待ちたまえとか言う奴初めて見た。随分とまあ、偉そうだね」
振り返ると此方に侮蔑の視線を向けてくる勇者一同。あ、エリザは違うか。申し訳無さそうな顔をしている。
「なぜあの子に金を渡さなかった」
「渡したじゃん。銀貨一枚」
「彼女が欲していた金額は金額一枚だ!」
「………だから?そもそも俺は彼奴に銅貨一枚でも渡してやる必要はないんだが?」
だって見ず知らずの他人だもん。
と、俺の言葉が気に入らないのか勇者君はますますキレた。
「それが、金を……富を持つ者の言葉か!?恥ずかしくないのか、税を絞り、弱い者を苦しめて!」
「税 ?生憎、そんなもんは知らんね」
だって俺本当は貴族じゃないし。いっそ大商会の倅でも演じとけば良かったかも。いやまあそれでも文句は言ってくるんだろうな。
「……貴方、どこの貴族の子ですか?」
と、ドレスを着た女性が話しかけてきた。
「と、申し遅れました。リスリーズ王国第二王女、エンリ・イリアーナ・エーデル・リスリーゼと申します」
へえ、王女様ねぇ。
いきなり名を脅しに使う辺り自分の立場をわきまえているようで。
「そういえばエリザにも名乗っていなかったな。俺はリューゲ。家名や所属国を名乗ることは出来ない故、冒険者ギルド所属と覚えていてくれ」
「っ……虎の威を刈る狐というわけですか」
「おや、目の前に私に見えない鏡でもありましたか?」
冒険者は基本的に国の干渉を受けない。もちろんこの態度は不敬罪に当たるかも知れないが、正義感ぶりたい此奴等じゃそんな事は出来ないだろうがな。ほら、今も悔しそうな顔をするだけ。
つーか王国の威を刈る姫様が言うじゃねーの。
「君は、あんな小さな子供が苦しんでいるのを見て何も思わないのか?」
「俺には関係ないしな」
「関係ないだって……!」
「……お前、俺が嫌いなタイプの人間だわ」
俺の言葉に眉をしかめる勇者君。解りやすいね。ガキが。
「人を助ける人が嫌いなんて、随分変わっているね」
「お前みたいな人殺しに言われたくないね」
「……人殺し?僕が?」
まあ、此奴等と話していても時間の無駄か。あ、またロリッ娘と目があった。本当に何なんださっきから、何あいつ?俺のこと好きなの?
「ま、待て!まだ話は終わっていない!」
「やめないかアカツキ、冒険者とあまり騒ぎを起こすな。立場上我々も冒険者だが、リスリーゼの勇者であることを忘れるな。エンリ様も……」
「……………」
エリザには感謝だな。異世界に勇者として召喚されて自分は正義だと勘違いしたバカの手綱をきちんと握ってくれているみたいだ。
「……あ、やっぱり」
「どうかしました?」
宿でパンデミック・スパイダー達の情報を見ているとつい、呟く出来事があったので声を出してしまうとアルカードが不思議そうな顔をして振り返った。
「さっきのガキが死んだ」
「……死んだ?」
「ああ、薬とお釣り奪われて、取り返そうとして蹴られて刺されてポックリ。可哀想になぁ、大金なんか持たされるから」
特に大金貨なんて目立つ大金だ。そりゃ狙われるって。この世界じゃ物価も結構安く、銀貨一枚ありゃ1日細々と生きていけるってのに。
「どうしますか?」
「俺はあのガキに思うところなんて何もねーが、勇者君は違う。その死体を目立つ大通りにでも飾ってやれ」
「了解しました…」
アルカードはそういうと窓から外に出て行った。
と、視線を感じたので振り向いてみるとリリィが俺のことを見ていた。
「……何?」
「いえ、本当に人間らしさを失ったのだな、と。貴方らしいと言えば貴方らしいのかもしれませんが」
「俺は元人間だぜ?人間らしいのが本来俺らしいって事だと思うけどな」
「……でしたね。時に、勇者に対して随分きつく当たりますね」
「俺はああいう善人気取りの、人の痛みを解った気になれる奴が嫌いなんだよ。上から手を差し伸べて、同じ目線のつもりで解ったように語って、何も知らねーくせに僕も同じさ、なんて語る輩がな」
そういう奴は是非とも絶望させたくなってくる。
彼奴の苦しむ顔が見れたらさぞ愉しいだろうな。
「……マスターがやっくん様に選ばれた理由が、今何となく解った気がします」
魔蟲王 名前:シュヴァハ 状態:寄生 Lv12 魔結晶14
HP 654/654
MP 680/680
CP 最大10710
DP 143205
攻撃力:151
防御力:95
精神攻撃:168
精神防御:1204
命中力:104
素早さ:11
運:2206
スキル
《ガチャ》 《ログインボーナス》 《創糸Lv3》
《操糸Lv6》 《残機Lv3》 《斬糸Lv4》
《寄生》




