世界の情勢
「これがこの辺りの地図だ。しかし、本当にこんな事で良いのか?」
「……………」
女騎士さんの言葉を聞きながら地図を見る。かなり大ざっぱだな。山の高低差だって解ったもんじゃない。
地形も詳しくかかれてないし、街の位置とそれを繋ぐ街道、後は村々の場所が描かれてるだけか。村々に至っては大きさも描かれてないし。
「……ここが最近ダンジョンが発生したっていう大森林?」
「ああ。魔族領の進行を守る天然の要塞。『ガルの森』だ。その昔、あの森の奥地に入り戻ってきた冒険者に因んだ名だよ」
「へぇ……この赤丸は?」
地図上の森には赤いインクで丸が描かれていた。それも二カ所。まあ、片方の場所を見る限り予想できるんだが……。
「ダンジョンだ」
「……そうか」
やっぱりか。片方、明らかに俺のダンジョンがあった場所だもんな。だとすると片方は……インクが少し色褪せてんな。先輩か?
「此方は五年前生まれたダンジョン。こちらは数ヶ月前に生まれたばかりのダンジョンだ」
「二つはどんな成長をしてるんだ?」
「此方は『不返の城』と呼ばれており、中のモンスターは主にゴブリン、オーガ、コボルトなど人型種だ。ダンジョンマスターは不明。数を考えても、逐一向かえばモンスターが溢れることはないだろう」
「モンスターパニックの心配はなし、か。名前の由来は?」
「最下層と思われる階層に足を踏み入れ戻ってきた者がいないからだ。ま、そこは冒険者。自己責任さ」
「何がとれる?」
「宝箱からは主に宝石。後は、モンスターが持つ武器がたまに、だね」
宝石か。だから帰ってこない奴が現れても放置されているわけね。
「しかも最近、宝箱で宝石類がでる頻度が上がっているらしくてね。もう一つのダンジョンの調査もほったらかしという現状さ」
「なる程……所で魔族領ってのは?巨大なダンジョンか?」
魔族ってのはモンスターの事だよな?それの領ってのはどう言うことだろうか?
「ダンジョンから抜け出したモンスター達の子孫だよ」
「ああ、モンスターパニックの名残か」
「モンスターの中には知能が高い者も多い。小競り合いはあるそうだが、その辺は人間と変わらないね。ダンジョンに潜るモンスターも居るぐらいだ」
完全に独立してんのね。しかしモンスターがモンスター倒してるってのも妙な話だな。
「まあ、光神教の教義ではモンスターは倒すべき敵なのだけどね。ほら、地上は全て人間の物、なんて書かれてるだろ?モンスター達を穢らわしい侵入者というのが彼等の考えなんだ。最近では、亜人種は人間のなり損ないだからどう扱っても罪にならないとまで言い始めている」
女騎士さんはそういって肩をすくめた。
「その辺について女騎士さんはどう思ってんだ?」
「騎士ではない、しがない冒険者だ。それと、私はエリザだ……ふむ、どう思うか……」
エリザは顎に手を当て考え込む。しかし答えは決まっているのだろう、迷うそぶりはない。言うべきかを迷って居るみたいだが。
「これは私の持論だ。否定したいならしても良い………一言で言うと、くだらない。私は人間がこの世界の支配者を名乗って良いほど優れているとは思えないんだ」
「言うね。お前、その人間なのに」
「……私の領地に、嘗て一匹のドラゴンが出たことがある」
「……?」
唐突に何だ?ドラゴン?家にも一匹居るけど。
「ドラゴンには龍王と呼ばれる途轍もない強さを持ったドラゴンがいる。龍王の次に強いのは上級龍と呼ばれる。その幼体、子供が暇つぶしに領地の街の一つを焼き払った。光神教会が誇る光刻聖典の兵士諸共ね」
その光景を見たみたいに言ってるな。いや、ひょっとしたらガチで見たとか?
「私が見たのは跡地だが、酷いモノだったよ。たった一頭の為に何人も死んで、生き残りも恐怖に震えていた。普段偉そうに、我等には光の神の加護がある、などと宣っている連中もね。
人は強くなんて無い。優れてなどいない。むしろ、この世界ではかなり下の方にいるだろうね。
勿論レベルを上げて英雄級になれば話は別だろうが、英雄になれる才能を持つ者なんて一握りだ」
ま、そうだろうね。ファンタジーじゃお約束とも言える境遇だ。むしろよく持ちこたえているよ。
ただ、その英雄級と呼ばれる連中の働きは勿論だろうけど、魔族だのが比較的に攻めてこなかったりして。
その間に繁殖して数を増やしてんだろうなぁ。そうじゃなかったら、亜人種と争ってもすぐに滅ぼされたりして。
「そう考えると、この世界は人間には生きにくいな。召喚勇者の世界が羨ましいよ」
「召喚勇者?なんだそりゃ」
「君の国にはいないのか?召喚されるタイプの勇者だよ」
「……………」
勇者の召喚とかあるのか。ますますファンタジー。
「家の国じゃ顕現勇者って呼ばれてたな。他の勇者はどんな呼び方なんだ?」
わざわざ前に召喚ってつけるぐらいだし、他にもあるよな?
「勇者の証となる紋様を生まれながら持ったりある日体の何処かに現れる選定勇者。教会が認定する認定勇者。前世、召喚勇者の世界の記憶を持つ転生勇者などが居るな」
前世の記憶持ちとか居るのか。まああのやっくんの事だし俺以外にも同じように………ん、勇者は光の神が生み出すのか?
「それで、他に聞きたいのはあるかな?」
「今はないかな。ああ、そうだ。とりあえず服を買って貰えないか?」
「服?」
「目立たない服をな……それと、冒険者登録を行うことによって得られる利益ってのは地図以外にもあるんだよな?」
中世の服を着ると本当にファンタジーって感じがするな。
「それで、冒険者登録はするのか?」
「ああ。一々検問に引っかかるのも面倒だしな」
貴族の証明書だの商人の認可証だの、席を越えるには何らかの書類が必要らしい。んで、あたりまえだが貴族も商人もまず移動する国に許可を取ってその書類をもらう必要がある。
取り敢えず貰っとくか。
「エリザ様のご紹介ですね。解りました。では、此方の契約書にサインを」
おもっくそ『命を落としても当方は責任を負いかねます』って書かれてるな。まあそもそもが俺、何時殺されてもおかしくないダンジョンマスターだし。
別名魔王だし、下手に鍛えようとするもんならそれだけで死ぬ最弱の虫ですし、命と保証があろうと無かろうと関係ないけどね。
「では、此方証明書になります。無くしたら再発行に大銅貨一枚かかりますのでお気をつけて。それと、銀貨一枚でステータスの確認が出来ますが」
「必要ないっす」
そしたらバレちゃうもん俺らの正体。さて、これで次から入るのが楽になったな。と、冒険者ギルドから出ようとした時だった。
「エリザ!ここに居たのか、心配したんだぞ」
と、黒髪茶目のイケメン君が入ってきた。
後ろに控えているのはパーティーメンバーだろうか?見事に全員女だ。ラノベ主人公かあいつは。
「セイヤか、いやすまない。武器を見に行ったら思いの外いい物を見つけてね。それを買う対価として少しこの子達に世話をしていたんだ」
エリザの言葉に俺を見るセイヤとか呼ばれた男。というか此奴の顔立ち、日本人じゃね?
「そうか、武器を……ありがとう。エリザの目に叶う武器はなかなか無くてね」
「いやいや、所詮使い道のない祖父の遺品ですので」
「困ったことがあったら言ってくれ。勇者として、出来る限りのことをしよう」
「…………勇者?」
「ああ。暁晴也、リスリーズ王国の勇者だ」
「……わお」
魔蟲王 名前:シュヴァハ 状態:寄生 Lv12 魔結晶14
HP 654/654
MP 680/680
CP 最大10710
DP 143205
攻撃力:151
防御力:95
精神攻撃:168
精神防御:1204
命中力:104
素早さ:11
運:2206
スキル
《ガチャ》 《ログインボーナス》 《創糸Lv3》
《操糸Lv6》 《残機Lv3》 《斬糸Lv4》
《寄生》




