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人間の街

 森から出て、踏み慣らされた道を見つけ進んでいくとやがて城壁が見えてきた。

 石で出来たなかなかの高さのある城壁だ。周囲には剣山のように槍が突き出しており、チラホラと獣の骨が見える。

 門にはそこそこの数の人間が列になっていた。


「規模としては、街と言える規模ですね。我々の住む森には多くのモンスターがおりますがそれは奥地。あの槍はその奥からやってくるモンスター対策ですね」

「ダンジョンが近くに出来たし、やっぱ冒険者が集まってくるのかね?」

「どうでしょう?前回の冒険者達の荷物から推測するに、既にあの街には冒険者ギルドがあると思いますが」


 以前来た冒険者達か。荷物の量はそこそこあったが、森の深さとか考えるとある意味少ないのか?

 まあ冒険者の仕事は雑用からモンスター退治まであるし、むしろ魔物が住み着く森が近くにあるなら当然なのか?


「どうしますか王よ。このまま近づきますか?」

「んー、ちょっと待ってろ」


 通常サイズのトンボのモンスターを呼び出すと門に向かって放つ。まずは門がどんな様子か確かめないとな。

 門は大きく分けて二つあるようだ。一般用と、貴族、商人用。どちらも証明書のようなモノを見せている。一般用はどうやら金でも建て替えが効くらしい。

 うちってどう見ても庶民じゃないよな。アルカードの服装は貴族風だしリリィはメイドだし。

 着替えるか?でもDPをわざわざ使うのもな~。

 ……よし。





「うっぷ……胃の中がシェイクされた……」


 普通に侵入することにした。門から裏に回って見張り台が無い場所を見つけてリリィにおぶさったのだが、着地の衝撃で腹ん中が揺れまくった。


「う、おええええええ!」


 ドバ!と口の中から大量の黒い小さな塊が排出する。ふー、吐いたら楽になった。

 俺が吐いたモノはネトネトした俺の唾液の中をネチョネチョ音を立てて動いていた。

 やがて砂山のように盛り上がっていたそれは影のように広がる。それは大量の黒い蜘蛛だった。


「うっぷ……予想外の解放になっちまったがキチンと一匹は残ってるか?」

『『『キー!』』』


 ならよし。

 さて、早速此奴等にも働いてもらうもするか。


「んじゃいけパンデミック・スパイダー共。俺の目となり耳となれ」


 両手をあげるとそれを合図に広がるパンデミック・スパイダー達。

 此奴等はこの前購入したモンスターだ。埃ほどの大きさでしかも熱に強い卵を野菜や動物に産みつけ体内に侵入し、胃や腸の中で単為生殖して増える。その後宿主の栄養を奪ったあげく毒素を多量に含んだ糞をして宿主を殺しその肉を食らう。

 俺の眷属だから此奴等の五感を通す事が出来るので情報収集に利用しようって訳だ。持ち運び便利だし。それにもう一つ俺にとって利益がある。


「うぐ、ええ………えぇ!」


 ビチャリと白く長いモノが俺の口から吐き出される。此奴もパンデミック・スパイダーと同じく寄生生物。名をホワイトポイズン。宿主の体内に入った毒素を吸収してくれる共生型の寄生生物だ。

 まあ体内に入って50年ほどで死んで、その時溜に溜めた毒素を排出して宿主を殺すんだが。しかし毒殺されないという事で権力者に人気の一品。無理に出そうとすると毒を出すけどな。

 まあ今は麻痺させて便と一緒に出す薬とかもあるっぽいけど。


「よしホワイトポイズン、溜めた毒を寄越せ」

『キュー!』


 俺が瓶を差し出すとホワイトポイズンはパンデミック・スパイダー達の糞を喰らい体内で濃縮した毒液を吐き出す。

 売ってDPにするもよし、使っても良しの便利アイテムの完成だ。

 本来ならこの二種が同時に寄生したら腹ん中で争うんだろうが俺に支配されている限りは平気だ。ホワイトポイズンを再び飲み込みパンデミック・スパイダー達から送られてくる情報を頼りに、俺達は表通りに向かって歩き出した。






「それで、わざわざ人の街に来た理由は?」

「情報収集。地形とかはもちろんダンジョンについて、とかな。うちのダンジョンあれ以来何の音沙汰もない。不気味じゃね?」


 ダンジョンってのは冒険者に取っては宝が沸く場所の筈。何より進化する場所だ。月1ぐらいで確認しに来ても良いもんだろう。見た目は何も変わってないけど。


「ん、リリィの言うとおり冒険者ギルドがあったな……けど、こん中から欲しい情報だけを聞くのは無理か」


 直接出向いた方が良さそうだな。必要ならアルカードかリリィに冒険者の資格を取らせるか。

 この辺りでのダンジョンの扱いも知っておきたいしな。


「と、その前に商店に剣とか売りに行くか。後、服だな。やっぱ目立つだろうし」

「我等が吸血鬼の宿敵である太陽の下を歩く力をくださった王から賜れるのでしたらボロ布でも喜んで着ましょう」

「んなもん着せんわ」





 武器屋を経営して早三十年のエジロは珍しい客人に思わずへぇ、と声を漏らす。

 格好からして身なりの良い貴族だ。メイドも連れている。もう一人の連れである黒髪の子供は、使用人だろうか?見たことのない服を着ていた。

 貴族がこんな庶民の店に来るなど普通はない。彼等が欲しがるのは煌びやかな儀仗剣だ。

 勿論、見る目がある奴はむしろ無骨な剣を選ぶが。


「いらっしゃい」

「おうおっさん、この剣買い取ってくれんかね?祖父のコレクション何だが、俺らにはもう使い道がない」


 と、黒髪の少年が話しかけてきた。残りの二名は口を挟まない。

 この少年が一番立場が上なのだろうか?だとしたら使用人にまで立派な服を着せる財力はいかほどか。そして、その財力を持つ貴族が集めたコレクションの一部とは。

 想像しただけで心が躍る。


「この三本だ……」

「こいつぁ………ん!?」


 エジロは剣にあこがれ冒険者を目指し、或いは鍛冶屋を目指し才能が足らず武器屋を始めた男だ。

 いろんな剣を見てきた自信はある。が、今回の剣は見たことがない。いや、確か極東のヒノモトという国にはこの様な剣があると話で聞いたことがある。

 しかし見たことがなくとも剣をこの街では誰よりも見てきたエジロにはこれらが斬ることに特化した素晴らしい剣だと解る。特に、最初に手に取った一本はずば抜けている。


「……この二本はそれぞれ大金貨五枚だ」

「んと………銅貨の十万倍だから……五百万で二倍だから………千万か」


 指を折りながら良く解らない計算していたが、不満はなさそうだ。此方としてもこの様な剣が入るならと奮発したのだから当然といえば当然だが。


「んで、この剣は?」

「………うちじゃ買えない」

「え、マジで?それが一番名と…名剣だろ?」


 この子供にも剣を見る目があるのか、と少しだけ親近感を覚えた。見た目はほぼ同じで、素人には解らないだろうがこの一本は素晴らしいの一言につきる。

 名剣としてあれと神にでも創られたのではないかと思うほど見事な剣だ。使い手次第ではミスリルぐらいなら斬ってしまうかもしれない。


「確かに名剣だ。だからこそ、うちじゃ扱えない。貴族の中でも武道派か、B級以上の冒険者に売るんだな」

「B級以上の冒険者?」

「そりゃB級からは貴族だもんよ。まあ最近ユミナ第三王女様が決めた事だしな。坊主はまだ知らんか。坊主の父ちゃんもグチグチ言ってるかもしんねーぜ?」


 爵位としては確か最底辺で、新たに増設させた褒賞爵という地位だが、貴族は貴族だ。その政策で冒険者の量はぐっと増えた。ちなみに同等の騎士爵というのもあり、兵力も増えている。


「……へえ」


 エジロの言葉に少年は顎に手を当てて何やら考え込む。この年ならまだ政治など解らないだろう。大人ぶった少年に思わず微笑ましさを覚える。


「ま、そう言うわけだから金持ちに売ってくれ。あ、美術品として使おうとする奴には売るなよ。頼む……」

「なら私が買って良いか?」


 エジロが少年に頼み込んだ時、不意にそんな声が聞こえた。剣に見惚れて来客に気づかなかったらしい。


「大金貨12枚でどうだろうか?」

「……女騎士?」


 少年が呟いた通り、やってきたのは鎧を着込んだ上品な女性だ。


「あ、アンタはC級のエリザ・ユナ・ファッケル・ブルーメンブラット!?」

「知り合い?」


 エジロの反応に少年は小首を傾げた。


「しがない冒険者の一人だよ。少年よ、その剣を売って貰えないだろうか?」

「……名前からしてかなり高貴な貴族だよな?」

「そうだね。一応、侯爵家だ」

「なのに冒険者?」

「私にもそれなりに事情があるのさ。その事情のために、冒険者として出世したい。そのために必要なのは他でもない安心して身を貸せられる武具防具に、アイテムだ。その剣は、良いね。見て解る。素晴らしい切れ味だ」


 エリザはそういって僅かに覗く刀身をウットリと見つめる。


「不満だというなら大金貨12枚に金貨5枚を足そう」

「……大金貨11枚で良い。ただ、ちょっと頼まれごとしてくれないか?」

「これでも冒険者の端くれだ。大金貨一枚分に相応しい働きをしよう」

魔蟲王 名前:シュヴァハ 状態:寄生 Lv12 魔結晶14

HP 654/654

MP 680/680

CP 最大10710

DP 143205

攻撃力:151

防御力:95

精神攻撃:168

精神防御:1204

命中力:104

素早さ:11

運:2206


スキル

《ガチャ》 《ログインボーナス》 《創糸Lv3》

《操糸Lv6》 《残機Lv3》 《斬糸Lv4》

《寄生》



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