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森の外

「街に行こう……」

「…………」


 やっくんが去った日に俺は早速スキル《寄生》を使い置き土産の肉体に寄生した。それから数日、体を動かす感覚を掴んできたので前々から考えていたことを口にするとリリィのチョップが頭に当たった。

 ダメージはないけど何すんだいきなり。


「マスターそこに正座してください」

「………」

「良いですか?マスターはダンジョンマスター何です。人類の敵なんです。今でこそ危険視されず、あれ以来一度も冒険者は来ませんでしたが何のきっかけでこのダンジョンの成長がバレるのか解らないんですよ?まずは、ダンジョンを大きくしてからです。解りましたか?」


 リリィはまるで子供に言い聞かせるような言い方で俺に注意してくる。ふと、やっくんの言っていた『リリィはショタコンである』という言葉を思い出した。


「まあまあ姐さん、良いじゃねーか。俺も街には出てみたかったんだよなぁ」

「人は襲うなよ?」


 ベートは付いてくる気満々だっので釘を刺しておく。コイツ、多分だけどリリィに鍛えられた自分の強さを一刻も早く確かめたいと思っているタイプだ。


「ベート、黙れ。マスターが本気で行こうとしたらどうするんですか?」

「わはは!大丈夫だって姐さん!旦那は既に本気だか──おぶ!?」


 ドゴォ!とベートの頭蓋にリリィの踵が落ちる。地面に罅は入ったぞおい。


「は!旦那の手駒を壊さねーために手加減した蹴りなんざもう痛くもねーよ!」

「そうですか。ならもっと強く」

「おご!?」


 ベートはしかし普通に立ち上がったがリリィの後ろ回転蹴りが頬を捕らえ吹き飛ばした。すんごい勢いで吹っ飛んだぞ。


「無駄無駄!いくら蹴られたところで俺に取っちゃあんたの攻撃はもうご褒美よ!」

「…………」


 ベートの発言にどん引きした様子のリリィ。うん、いきなり蹴った相手のドM発言とか怖すぎるよな。


「てかベート、お前人化持ってんの?」

「……買ってくれ旦那」

「まあ、良いけど」


 俺の抜け殻、魔蟲族の抜け殻ってレアだからDPと交換したら110000だった。人化は50000だし、まあ良いだろう。


「だめです。無駄遣いしないでください」

「無駄使いって、じゃあゴールドガチャなら?」

「……一度だけですからね」


 本当にお母さんみたいだな。ちなみにゴールドガチャは9000DP消費する。

 倍率は20の確率でCランク、40でBランク、20でAランク、15でAA、3でS、2でSSだ。この前の話からする限りSSはモンスターしかないんだろうな。


「きたきた!B5枚、A2枚、AA3枚……Sはなしか……」

「お!確か人化とか擬態ってAAだったよな!?」

「アイテム、モンスター、ポイントだな。スキルはない」


 まずはポイントカードのDP10000をチャージする。アイテムは……《アイギス・レプリカ》?

 山羊の顔をもした盾だ。普通の山羊と違い三目だが。ん?なんかこの額の目、爬虫類じみてるな。


「それは偽・石化の蛇眼ですね」

「あぶな!?」


 石化とか怖すぎんだろ!

 って、そういや俺今寄生しているわけだけどこの場合石化するのは器だけなのか?


「魔力を通さない限り発動しないから大丈夫ですよ」

「そ、そうか……」


 しかしアイギスねぇ……石化の蛇眼とか……ギリシャ神話か?この世界にも居たのかね、アイギスとかメデューサとか。まああのやっくんなら異世界を覗いて面白そうだったから、なんて理由で入れてきそうであるが。


「モンスターは……ラッキー虫だ!」


 ポイとカードを投げるとライオンぐらいありそうなコオロギ。

 キチキチと口を鳴らしていた。

 名前はレルム・グリレ。騒音蟋蟀?


「キイィィィィ!キチチ、ギチチ!」

「何々ふむふむ……某は衝撃波を発生させて敵を吹き飛ばしたり、三半規管を刺激して平衡感覚を狂わせたり聴覚を通して幻覚を見せることが出来るでござる!ってか………ござる?」

「キチチ、キィィ」


 どんな敵も倒してみせるでござる。ニンニンか……なんだこの胡散臭せえ忍者言葉。


「Bは香り付き石鹸2個にクッキー1缶、ただの日本刀2本か……Aは日本刀(名刀)に万能対毒薬ねぇ」


 ちょうど良い。街で資金にしよう。


「駄目ですよ。人間の街は危険なんですから」

「……………お姉ちゃん、駄目?」

「……せめて後一人、表だって動ける護衛をつけられたら」


 恥を飲み込んで上目遣いで目に涙をためて頼むとリリィは目を背けながら許可してくれた。

 まあ、条件付きだけど。多分条件を満たせる者はいないとか考えてるんだろうな。

 ベートやハクは知性があっても人の社会にゃ混ざれない姿形だし、スコロペンドラゴンやゴキ、蜘蛛は完全にモンスターだし。

 しかし、一人居るんだな完全に人型の奴が。


「アルカード、ついてこい」

「……私を選んでくださって嬉しい限りですが、私は忌々しい日光がある中歩くことは」

「ほら、これやる……」

「こ、これは!」


 と、俺はスキルカードを一枚渡す。

 《弱点無効》。種族敵弱点を持つ奴が所有するとその弱点を完全に無効化するスキルだ。

 吸血鬼の場合火と水と日光などを無効化する。


「……解りました。ただ、私もついて行きます」

「もとより連れてくつもりだ…」


 召喚奴隷(サモンスレイブ)が何なのか未だ解らないが、リリィは明らかに知識がある。俺や他の眷属にはないものだ。


「よし、ビッグスパイダーズ!」

『『『ギイイイ!』』』


 と、俺が手をパンパン叩くとビッグスパイダーが集まってくる。


「マザーは留守番な。子供達は人里近くまで足になってくれ」

『キー!』

『キチチチ』

「お、そうか。サンキュー」


 足の速いのを厳選してくれるそうだ。解ってるなこいつ。




 ビッグスパイダーの足はかなり速く、しかも八本の足を器用に使い根や石をモノともせず走る。

 森の中でなら馬だって逃げられないんじゃないだろうか?


「おまけにイノシシも狩ってきてくれるし、大助かりだな」


 俺はリリィにDPで買ったタレをつけて焼かせたイノシシの肉を食いながらイノシシを捉えた背中に誰も乗っていないビッグスパイダーの頭を撫でる。

 そういえば、やっくんの言う器云々……こいつらはもう完成しているのだろうか?だとしたら殺せば魔結晶に……?いや、やめとくか。ログインボーナスと1日毎の狩りで足りる。


「王よ……」

「お?」


 森の出口が見えてきた。この辺りで降りるか。


「良いか?見つからないように気をつけるんだぞ?餌は各自、現地で手に入れるように」

『『『『キー!』』』』


 俺の言葉にビッグスパイダー達は触肢を上に上げ肯定した。

 さて、行くか。

魔蟲王 名前:シュヴァハ 状態:寄生 Lv12 魔結晶14

HP 654/654

MP 680/680

CP 最大10710

DP 143205

攻撃力:151

防御力:95

精神攻撃:168

精神防御:1204

命中力:104

素早さ:11

運:2206


スキル

《ガチャ》 《ログインボーナス》 《創糸Lv3》

《操糸Lv6》 《残機Lv3》 《斬糸Lv4》

《寄生》



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