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神の助言

「知り合いか、旦那」


 ベートが戸惑うような視線を俺に向けてくる。他のメンツはやっくんを見ていた。ん?こいつ等やっくんの事知らないのか?リリィは知ってたのに。


「まあSSの子は色々特別だからね。あ、ヤッホー諸君。ボクはシュヴァハの親友やっくんだよ!」


 何時俺とお前が親友になったのだろう?そこんとこ是非詳しく聞きたい。聞いたところで出会った瞬間とか言いそうだけど。


「え?何時から親友だって?そんなの、出会った瞬間からさ☆」


 聞かなくても言われたよ。


「紹介は終わったな?じゃ、早く本題に入ろうぜ?」

「おおっと、僕としたことがついうっかり」


 へらへらと胡散臭い笑みを張り付けるやっくん。確か、いきなりステータスが大幅にアップした理由を教えてくれるんだっけ?


「まあ簡単に言うとね、魔蟲族はそもそもレベルアップしても精々4程度にしかなれないように設定してたんだよ。だからもし10になれたらご褒美あげてみよって事で百年前から、レベル10のステータスを魔物らしくしてみたんだー」

「おい待て、つまり俺は死ぬこと前提の魔物に転生させられた訳か?」

「うん!」


 ぶん殴りてぇ。

 とはいえ、コイツ相手にして勝てる奴なんて、少なくともリリィがやられてる今いねーし。


「そしたらさー、ひーちゃんったら酷いんだよ?人間の知恵を入れてみようとか言い出して突然余所の世界に通じる穴あけて君の魂持ってきてこれを魔蟲に入れて、とか言ってきたんだ」

「つまり何か?俺はそのひーちゃんに殺されたのか?」

「本当に酷いよねー。何でわざわざ余所から?魂が合うように器をあわせる僕の立場になってほしいよ」


 酷いってそっちか。俺を殺した方じゃねーのね。何となく予想してたけど。


「さっきから何の話でしょうか?マスターが殺されたというのは?」


 アルカードが不思議そうに首を傾げてくる。が、説明しようがない。出来なくはないだろうがした後の反応が怖いしな。

 元が人間だと知られたら今ある偽りの忠誠心すら消えたりして………。


「まあ話はおいといて。とにかくそれはバグとかじゃないよ。おめでとう!お祝いするよ!」

「お祝い?」

「僕に幾つか質問する権利を与えようではないか!そだね、五個でどうだい?」

「……………」


 神様に質問ねぇ。普通なら恐れ多い気もするが相手がこいつじゃなぁ。


「………一つ目の質問」

「バッチこーい!」

「これからする質問にお前は嘘偽りなく隠し事もせずに答えるか?」

「いいえ♪」


 即答かよ。隠し事や嘘をつく気満々で質問答えてやるとかマジかコイツ。あ、いや……そういえば確かにこいつ、質問する権利をやるとしか言ってないな。


「うんうん良いねー。こういうやりとり神相手にしてくれる奴、ここ数百年は居なかったんだよね~」


 やっくんは何がおかしいのか心底楽しそうに笑みを浮かべうんうんと頷く。ムカつくなこいつ。


「ご褒美に二つ目の質問はきっちり答えてあげよう。嘘偽り隠し事なくね」

「………お前は嘘偽り隠し事しないかって質問にいいえと答えたよな?けど、嘘偽りと隠し事はそれぞれ別だ。どっちをする?どっちもか?」

「……………隠し事だけさ。嘘偽りはないよ」

「…………」


 俺の言葉に更に笑みを深めるやっくん。その言葉を信じるのならこれからする質問に嘘はないだろう。

 ………とりあえず信じてみよう。


「三つ目の質問。魔結晶ってのは何だ?」

「君が具体的にどう疑問に思ってるのか解らないから答えにくいなぁ」

「………10だ。たかが10の命で手に入れた結晶で10000を越える俺のCPが回復するか?」


 そう、どう考えても可笑しい。10匹のモンスターを殺してもCPは全快にならない。何匹も殺して、領域にモンスターを住ませて漸く一日分のCPを稼いでいるんだ。10匹狩った事で得られるCPじゃ足りない。

 最初は本来得るはずのCPを魔結晶に変えていると思ったがあり得ないと気づいた。他の所じゃどうか知らんがゴブリン10匹殺して回復できるとは思えない。


「というかそうだよ、ゴブリンを俺が召喚してた。で、リリィが殺した。なのに得られたよな?これはどういうことだ?」

「それは四つ目の質問として捕らえるよ。うん、君の言うとおりだよ。魔結晶は殺して得たエネルギーを結晶に変えてるんじゃなくて本来は回収される魂を結晶化しているのさ」


 魂ときたか。と、するとダンジョンが死後吸収するのは魂じゃ無かったわけか。てっきり魂かと思ったのに。


「でもそこの蜘蛛のモンスターやゴキブリのモンスターが産んだのは正確には魂を持たない分身みたいなものでね。器がある程度整えば魂が入るんだけどその前に殺した場合は魔結晶が手には入らないんだ」

「なるほどねぇ……」


 器だの魂だの色々聞きたいことはあるが、それはやめておこう。次で最後だし慎重に決めなきゃな。


「リリィは何者だ?」

「…………………」


 俺の言葉にリリィは何の反応も示さない。俺が何時かこういった質問をすると予想していたのだろう。


「SSっていうのはね、召喚奴隷(サモンスレイヴ)の略称だよ。リリちゃんはそれ」

「……………奴隷(スレイヴ)とはまた穏やかじゃないな」

「まあ二千年ほど前から始めた制度でね。でも何でそんなことを気にするの?」

「リリィは色々知りすぎている。お前のこともそうだし、ダンジョンの事も」


 他の知性の高いモンスター。ベートやアルカード、ハクはやっくんの事を不審者と認識していた。が、リリィは始めからやっくんの存在を知っていた。


「まあ他は隠させて貰うけどね。あ、そうだ───」


 やっくんがパンと手を叩くと、気付けば俺は椅子に座っていた。

 そう、座っていたのだ。人の形を取って。


「お茶飲む?」

「……いらん」


 久方振りの人の形に若干戸惑いながらもやっくんから目を離さない。

 何をした、何をされた?何時俺は人の形に戻り椅子に座らせられていた。


「リリちゃんは時間停止に対する耐性持ってるからね~。ならいっそ時間の流れの違う空間作って忠告しておこうかなって」

「………忠告?」

「リリちゃんには気をつけなよ」


 ん?それはどういう───


「マスター?」

「……む」


 また戻った。

 青虫の姿でリリィの掌の上。周りの状況はさっきと何も変わらない。


「どうかしました?」


──リリちゃんには気をつけなよ


「……いや、何でもない」

「……そうですか」


 リリィは特に深くは聞いてこなかった。


「さて、じゃあ僕はそろそろ行くとするよ。これ、お土産」


 と、やっくんが空間を歪めて何かを取り出す。

 黒髪の幼い人間の少年だ。ピクピク痙攣しているから、たぶん生きているんだろう。何故かレイプ目だ。


「……ジュルリ」

「ん?」

「君、新しいスキルに《寄生》があるでしょ?使いなよ……」

「どっから攫ってきた」

「失礼な!創ったんだよ!だから感情なんて持ってないよ……」


 生きてはいるけど心はないってか。寄生、ねえ。つまり俺がこのガキの身体を使えるようになるって事か。

 別に罪悪感も嫌悪感もないし使わせて貰うが、一つ疑問がある。


「何でガキ?」

「リリちゃんショタコンだから」

「──は?」


 思わず聞き返そうと思ったがその前にやっくんはその場から姿を消した。

魔蟲王 名前:シュヴァハ Lv10 魔結晶3

HP 572/598

MP 470/470

CP 10628/10628

DP 1205

攻撃力:124

防御力:84

精神攻撃:151

精神防御:574

命中力:68

素早さ:5

運:1257


スキル

《ガチャ》 《ログインボーナス》 《創糸Lv3》

《操糸Lv2》 《残機Lv2》 《斬糸Lv1》

《寄生》



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