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始まる新生活

 ダンジョン。それは世界が誕生すると共に生まれた闇と光の神が互いの領分を決めるための戦いを行った名残。

 闇の眷属である魔物達が産まれる穴。

 かつて地下に押し込められた闇の神が地上にいる光の眷属である人間達を殲滅する戦力を生み出す場。




「──と、まあ。ここまでが一般的な地上の害虫こと人間達に浸透するダンジョンと言うものです。理解しましたかムシケラ。おっと、失礼……マイマスター」


 俺の前で淡々と紙芝居を読んでくれたメイドさんの言葉になるほどと頷いておく。

 さて、俺は気がつけば転生していた。死んだ記憶はない。そもそも死んだのかもわからない。俺はやたらフランクな闇の神と名乗る男にやっくんと呼んでくれと頼まれた後ダンジョンの一つを運営してくれと頼まれた。

 うん、正直意味不明だ。取り敢えず初回ガチャ?とやらは無料でやらせてくれた。あ、ガチャってのは俺のオリジナルスキルな。

 引いたらSSのメイドさんが出て来た。名前はまだ聞いてない。聞く前にダンジョンについての説明を始めてくれた。


「まずダンジョンマスターにはHP、MPの他にDPとCPがあります。それぞれダンジョンポイント、コストポイントですね」

「ダンジョンポイントとコストポイント?」

「コストポイントは文字通りコストですね。上限が決まっており、まれにしか上限を越えることはありません。一日の切り替わりに消費され、罠、ダンジョン規模、ダンジョンの形態、モンスターによって消費量が変わります。チビムシ……失礼。マスターの現最大CPは150。マスターのダンジョンは無難な小型の洞窟タイプ。一日の消費CPは10。そして私リリ………リリィの消費CPは140です」

「……………は?」


 今、此奴何と言った?ダンジョンの消費CPが10なのは良い。この際仕方ない。だが、モンスターたった一体で140?


「正確には封印状態の私、ですが……今の私は本来の力の1%しか使えません。CPが支給されないとその一割、つまり0.1%の力しか使えなくなるわけです」

「わお………じゃ、じゃあそのCPってどうやって稼ぐの?」


 他にもダンジョンが存在するんだ。稼げるよね?稼げなきゃ全てのダンジョンのモンスターは軒並み10分の1の力しか使えなくなるんだから。


「一つ。自然回復。コストポイントは30秒に1CP回復します。つまりムシ…失礼、マスターの場合4500秒……75分で完全回復。良かったですね、史上類を見ない底辺スタートで」

「………さっきから、お前って俺のこと嫌いなの?」

「はい、何を訳の分からないことを?嫌いではありませんよ。見下してるだけです」


 俺の言葉にキョトンと首を傾げるリリィ、今完全に見下してるって言ったぞ。


「続きまして二つ。ダンジョン眷属以外がダンジョン内にとどまることですね。その者の強さによって変わります。三つ、DP1に対して10回復します。四つ、これは()()だけの特別ですね。《固有能力ユニークスキル》ガチャに必要な魔結晶を溶かしてCP全てを回復できます。くそ、何でこんな虫が……っち」


 とうとう言い直さなくなった。つーか最後舌打ちしたぞ。いやまあ、確かに……俺虫だけどさ。

 と、俺は首を動かし自分の体をみる。青っぽい体色、尻の辺りに生えた先端が黄色い刺、細長い、リリィの人差し指ぐらいの身体。何を隠そう、俺は芋虫なのだ。種族名は魔蟲。いや、ダンジョンマスターは魔王に分類されるから正確には魔蟲王だ。


「DPはダンジョンポイント。その日ダンジョンに訪れた眷属以外を時間、強さ問わず1で溜まります。他にも死体を吸収するのも手ですね。死体が消し飛んでも、ダンジョン内で死ねばそこそこ貯まります。使い方としてはモンスター、罠、陣地の購入ですね。DPをうまくためて陣地を増やすのも手です。実際、ダンジョン領域内に町を作りそこからDPとCPを貯める者も居ます。まあこの通り、基本的にCPがつきることはありませんね」


 まあ自然に回復してしかも一人くれば10Pは必ず回復できるわけだしな。


「……因みに、平均の初期CPは?」

「最低で1000ですね。あ、失礼。更新して150です」


 つまり俺が少なすぎると。まあでも俺は平和に生きれりゃもう他は望まんよ。やけに落ち着いてるのはその辺の能力もやっくんがくれたからだ。

 現状を受け入れる適応能力。ある意味諦めに近いが、もうこれで良いんじゃないだろうか?


「無理ですね。ダンジョンは宗教国家によっては殲滅対象です。特にムシケラは魔蟲族ですからね。子供に踏まれても死んでしまう。ゴブリンに握られても死んでしまう。スライムの中に落ちても死んでしまう。文字通りの最弱、地域によってはモンスターとしてすら認識されず、出す糸が少々高値で取り引きされる程度の雑魚ですから。直ぐ死にますね」

「………マジで?」

「マジです。積んでますね。しかし今貴方に死なれると私、SSの座に逆戻り何で困ります。強くなってください。痛いですよ、死ぬのは」

「ちなみに、先代達は?」

「魔蟲王は過去1745回生まれ、その全てが野良の動物に殺されました。あ、しかし記念すべき777は龍種に殺されましたよ。あの世で誇れますね。まあ、龍種が通り過ぎたソニックブームでダンジョンごと消し飛んだだけですが」

「…………強いダンジョンを作る方法を教えてください」

「良いでしょう。貴方自身のDMランクやレベルがあがれば、私も嘗ての力を取り戻せますしね。それと生前は人間だったのでしょう?人型になりたいならレベルをあげましょう。やる気出ましたか?」

「?俺前世云々言ったけ?」

「私は心が読めるので」

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