Episode:04
「オマエさ、ちょっとは気利かせろよ。オレらお呼びじゃないって」
「え?? そんなわけないじゃないか! ね、ルーちゃん」
「あ、うん……」
断るっつーこと知らねぇルーフェイア、圧されてうなずいてるし。
「いいからオマエ、こっち来いっ! イマドはどーでもいいけど、ルーフェイアがカワイソウだろ」
アーマルのヤツが、ヴィオレイの首絞めながら引きずってく。
――なんかビミョーに、腹立つ言い方しやがったけど。
ルーフェイアのヤツが、ほっとした表情になった。やっぱ泳げねぇとこは、見られたくなかったらしい。
「二人に、謝らなきゃ……」
「気にすんなって。あいつら、いつもあんなだかんな」
「そう、なんだ」
こいつといっしょに歩き出す。
「向こうで教えてやるよ。あっちなら人も少ねぇし。ただ、ちっと歩くかんな」
「うん」
この海岸は、ケンディクきってのリゾート地で有名だ。延々とキロ単位で砂浜が続いて、ホテルもかなりの数が 建ってる。だから浜辺もかなり整備されてて、ところどころに桟橋なんかもあった。
その一つへ向かう。割と浜辺の端のほうにあって、この向こう側はほとんど人は行かねぇ場所だ。
ルーフェイアも、とことこついてきた。
「少しは、泳げるの。でも……習ったこと、ないし……」
「わかってるって」
よっぽど気にしてんだろう、一生懸命言い訳するあたりが、けっこう可愛い。ナティエスかミルが選んだらしい、白のワンピースの水着がよく似合ってた。
これでもう少し体型が……。
「なに? あたしなにか……変?」
「いや、おまえってマジで、幼児体型だよな」
「!!」
ヤバいと思ったときにゃ、すでに鳩尾に蹴りを食らったあとだった。
――すっげー強烈。
胸(腹?)をおさえたまま、立てなくなる。これで恐らく手加減してんだから、むちゃくちゃってしか言いようがない。
けどこの手の話だと、なんでかルーフェイアは、口ほどには傷つかなかった。ケリが出るのがいい証拠だ。もし本当に傷つけば、蹴るより先にこいつは泣き出す。
「先に、行く!」
けっこう怒ってるらしくて、ルーフェイアのヤツは俺置いて、さっさと歩き出した。