表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/37

Episode:34

◇Imad

 浜辺に、ルーフェイアのヤツが立ち尽くしてる。

「だいじょぶか?」

「……うん」


 だいじょぶなワケねぇのに、そんな答えが返ってきた。

 隣に俺が座ると、こいつも砂浜に腰を下ろす。

 昼下がりの空に、波の音が響いた。


「その、なんかワケわかんねーの、ずーっとなのか?」

 俺の問いに、ルーフェイアのヤツが泣きながらうなずいた。

「んじゃ、きっついよな……」


 タシュア先輩の言いたいことも、まぁ分かる。自分のことなんだから、泣いてねぇでなんとかしろ、ってんだろう。

 けど俺の見るかぎり、ルーフェイアのその「なんか」は、自力でどうなるようにも思えなかった。

 つか自力でどうにか出来るなら、ぜったいこいつはやってるわけで。それがただ泣いてんだから、散々試してダメだった、ってとこなんだろう。


――それをどうにかしろ、ってのもなぁ。

 先輩たち知らねーからしゃぁねぇけど、ずいぶんな言い草だ。

 ただ、なんか状態変えたほうがいいってのは、俺も賛成だった。このまんまの状態続けてたら、そのうちこいつ、潰れるだろう。

 かといって、その「問題」は片付けようがないわけで……。


「どうして……あたし、なんだろう……」

 当たり前っちゃ当たり前の疑問を、ルーフェイアのヤツが口にする。

「もっと、向いてる人……ほかに……」

 どっか思いつめたふうの声に、俺は答えた。


「考えても、しゃーねぇんじゃねぇか?」

「え?」

 驚いたようすで、ルーフェイアのヤツが顔を上げる。俺の言葉が、かなり意外だったらしい。


「んー、なんてのかな。今ここで考えても、ぜったい理由とかわかんねぇし。

 だったら考えるだけ、無駄だろ」

「それは……そう、だけど……」

 口じゃそう言いながらもこいつ、どっか納得できねぇらしい。

 ただ俺的にはそろそろ、こういう表情じゃなくて、もっと楽しげにしてて欲しかった。


「俺がそーゆーの持ってるわけじゃねぇから、分かってねぇかもだけどさ。

 けどおまえ、とりあえず今ふつうにやれてるし。学院に来たから、当分は前線出ねぇで済むし。

 なら、今はそれでいいんじゃね?」


 ルーフェイアのヤツの、呆気に取られた顔。

 それからこいつが、ぽつりと言う。

「イマド……適当すぎ……」

「るっせ」


 思わず言い返すと、いつも通りこいつが謝った。

「え、あ、ごめん……えっと、そういう意味じゃ、なくて」

 慌てる様子が、見てて面白い。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ