表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/37

Episode:28

◇Imad

「――マジかよ」

 本気でそれしか、言葉がなかった。

 タシュア先輩のあの魔法、どうみたって普通のやつじゃねぇし。それにシルファ先輩、噂は聞いたことあったけど、あれほどとは。

 つか、水着姿でサイズ振りまわすってのも、結構見ものだった。


 とりあえず海竜が首を切り飛ばされて、片付いたらしい。俺は豪快に凍った海見ながら、ルーフェイアの方へ歩き出した。

 それにしてもあのでかい海竜が氷に押さえつけられた挙句、コゲて首のない胴体になってるのは、けっこう情けない姿だ。

 首は首で、あっちの方に転がってるし。


――え?

 今、首が動いた……?


 一瞬目の錯覚かと思ったけど、そうじゃなかった。

 間違いなくヤツ、動いてやがる。信じらんねぇ生命力だ。

 しかもシルファ先輩、さすがに気を抜いてる。

 とっさに、魔力の付与に入った。狙いはあの海竜の首に叩き込まれた、ミルの弾丸だ。


 集中して、波動捕らえて、ねじ伏せる。込められてた魔法を、強引に違うものに切り替える。

――行けっ!!

 この魔法なら、絶対にルーフェイアとぶつからねぇはずだ。根拠はねぇけど自信はある。

 海竜の身体に残ってた幾つもの弾から、重力魔法が発動した。



◇Tasha side

(泳ぎ足りなかったのですかねぇ……)

 万全を期したのかもしれないが、足止めされている海竜に、シルファがあの荒業を出してくるとは思わなかった。

 泳げない後輩の相手ばかりで、力が余っていたのだろうか?

 見かけからは想像しづらいが、シルファは意外なくらいの前衛派だ。いざとなれば即座に前へ出て、切り込んで刃を振るう。


 いずれにせよ、おおむね片付いたようだ。

 もっとも、気を抜くつもりはなかった。なにしろ相手は海竜だ。その生命力は尋常ではない。完全に死ぬのを見届ける必要がある。


(――シルファ、緊張を解くのが早すぎますよ)

 首を切り飛ばしただけで戦闘体制を解くパートナーに、軽いため息をつく。あれほど普段から、言っているのだが。

 人間にせよ魔獣にせよ、死に際の一瞬は危険だ。何をしてくるかわからない。

 案の定後ろの海竜が、首だけの状態でまだ、動いている。


 さすがに危険だと判断して、タシュアは再び呪文を唱え始めた。禁呪の連続になるが、もう1度くらいなら差し支えないだろう。

 出来れば普通の魔法にしたいところだが、ちょうどいい手持ちがない。使うとシルファを巻き込んでしまう。

 生命力を削られるのを承知で、タシュアは呪を発動させた。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ