表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/37

Episode:13

「あ、船〜♪」

「ほんとだ〜」

 ミルとナティエスが、歓声を上げた。

 つられて沖を見る。


 突き刺さる陽射しの下、あたし改めて海を見た。

 瞳に飛びこんでくる碧。

――広い。

 それに海って、こんなに綺麗だっただろうか?


 遥かな碧さ。

 煌く光。

 遠い彼方で空と混じって、そこで青が変わる。

 立ち昇った雲が、目に痛いほど白い。


 そうだ、あたしずっと憧れてた。

 海の色はあたしの瞳と同じだと、ずっと聞かされていたけど。

――ほんとうだったんだ。


 思い切って、一歩海の中へ入ってみる。

 冷たい感覚。

 波が流れていく。

 無限の回数続く、潮騒の音。

 きっとあたしが産まれる前……ううん、シュマーという家が生まれるずっと以前から、同じ音だったんだろう。


――この碧い海に訊いたらきっと、人が忘れてしまった昔も分かるのかな。

 その時、ふわりとあたしの視界を、影がよぎった。

 驚いてその影を追いかける。

 視線が行きついた先には、投げられたタオルを鮮やかに受け取った、女子の先輩がいた。


 まとめあげた艶やかな長い黒髪、紫水晶を思わせる瞳――この間お世話になった、シルファ先輩だ。

 背が高い上にスタイルがいいから、黒のシンプルな水着がよく似合ってる。

 シルファ先輩、タオルを羽織るようにしながら海から上がってきて、向こうへと歩いていく。そして投げた人――もちろんタシュア先輩――と、話し始めた。


「なに見てるの?」

 不思議に思ったらしくて、ナティエスが訊いてくる。

「うん、ほら」

「あ、シルファ先輩じゃない。やっぱり素敵だなぁ……」

「あの先輩さぁ、いつ見てもカッコいいよね〜♪ スタイルもすっごいいいし〜♪♪」

 ミルも隣へ来てはしゃぎ始めた。


「しかもさ、いつも美男美女で並んでるんだもん。もぉサイコー!」

「いつも?」

 仲が良さそうなのは知ってたけど、そんなにだとは思わなかった。

「あれルーフェ知らないの? シルファ先輩、タシュア先輩のカノジョだよ」

「有名だよね、その話」

 二人が言うところを見ると、学院内じゃよく知られてるみたいだ。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ