Episode:12
◇Rufeir
イマドが料理するなんて、知らなかった。
――ちょっと尊敬。
あたしってそういうのは、ぜんぜん駄目だ。
ちなみになにがどうなったのか、お昼はあたしたちとイマドの友達と、なんか七人もの大所帯になってる。
しかもなんと言うか、生存競争が激しい。
「お前ら、ちっと遠慮しろっての! おいルーフェイア、しっかり確保しねぇと、食うもんなくなるぞ!」
「あ、うん」
でも毎日の昼休みの食堂での騒ぎといい、この今の凄さといい――シエラってなんか違うとこで、バトル厳しいような?
「ほら、これおいしいよ♪」
まるで自分が作ったみたいな調子で、ミルがあたしに勧めた。
イマドの作ったサンドイッチって、凝ってる。
「これ……なにがはさんであるの?」
お肉と野菜――だとは思うんだけど。
「なにって、葉菜とメナナとロースト肉、でしょ?」
「ロースト?
でもナティエス、このお肉……ローストって言うのに、中が生みたいだし……」
戦場あたりじゃ生は食べないのは、鉄則と言ってもいい。
「ほんとに食べても、大丈夫?」
――あれ?
言ったとたん、なんかみんなが石化した。
「ねぇ……みんな、どうしたの?」
「どうしたもこうしたも、お前普段、なに食ってるんだよ……」
なんかイマドも、すごくショック受けてるみたいだ。
「なにって、食べられるものなら、なんでも……。好き嫌い、ないし」
「意味が違う〜!」
こんどはミルが叫んだ。
――あたし、そんなに変なこと言ったんだろうか?
「と、ともかくさ、残りさっさと食べて、泳ぎに行かないかい?」
シーモアもずいぶん焦っているみたいだし、他のみんなも同意して、慌てて昼食の残りを片付け始める。
けどそんなに慌てたら、消化に悪いんじゃないだろうか?
ともかくおかげで、あっさりぜんぶなくなった。
「あたしが後片付けしとくよ。みんな先に行ってな」
面倒見のいいシーモアがそう言ってくれたから、みんなで甘えることにする。
あいかわらず波打ち際は、寄せては返す波が洗っていた。
透き通った波に足が洗われると、踏みしめたはずの砂が流されていく。
それがやっぱり嫌で、なるべく波の来ないところを歩いた。