Episode:11
ともかくまだやいのやいの騒いでる女子連中に、声をかける。
「おい、こいつ引き渡していいのか?」
「引き渡すって、ひどい……」
「あぁ、かまわないよ。とりあえずお昼にしようと思ってるしね」
そう言えばもう、そんな時間かと思う。
「あ、そ〜だ! いいこと思いついた!!」
この一言に、自分でも血の気が引くのが分かった。ミルの「いいこと」ってのは、マジでロクなことがない。
「お・ひ・る・ちょ〜だい♪ イマドどうせ、なんか作ってきたんでしょ♪」
「冗談じゃねぇ! お前の分なんか作ってねぇっての!!」
けど思えばこれが、最大の墓穴だった。
「イマドって……料理するんだ?」
いつもみてぇに少し首をかしげて、ルーフェイアが誰にともなく言う。
「あれ、ルーフェイアってば知らなかったの?」
「――ナティエス、言うんじゃねぇ」
思いっきり嬉しそうなナティエスのヤツ、止めたけど聞きゃしなかった。
「いいじゃない、教えてあげるくらい。
ルーフェあのね、イマドってば、料理けっこう上手なの」
答えを聞いたルーフェイアが、目を丸くする。
「ほんとに……?」
「うん。てか、ウソついたってしょうがないもの」
なんとなく、次のセリフは予想がついた。
「――あたしも、食べたい、かな」
「はい、決まり〜♪♪」
あんな調子だけど、ミルのヤツは意外に鋭い。俺が断れないのを読んで、勝鬨の声を上げる。
――なんでこうなるんだよ。
ルーフェイアだけならまだともかく、こいつら女子ときたらウルサイわよく食うわ、たまったもんじゃねぇってのに。けどこいつら、食う気満々だ。
そんな俺の肩を、シーモアが叩いた。
「イマド、あたしもナティと作ってきたからさ」
「……すまねぇ」
まだ昼も過ぎないってのに、思いっきり疲れながら、俺は諦め半分で礼を言った。