いざ堺へ!!
今話より展開が少し進みます
剣丞視点
どうも新田剣丞だ。
ここは久遠のいる城!
…ではなく!
実は現在、俺、久遠、ひよ、ころ、詩乃の五人はこっそりと城を抜け出し、ある場所に来ていた。
その場所とは…
バァーンッ!!
黄金の自由都市と呼ばれる堺だ。
戦国時代
堺は他国との貿易都市として栄え、当時は世界でも珍しい環濠(堀を張り巡らせた)都市として繁栄していったという
ひよ子「うわぁ〜っ!さすがは堺、珍しい意匠がたくさんありますね♪ 」
転子「でもちょっと高いかもね 」
初めて来る堺に興奮しまくる二人
まぁ俺も初めてなんだけどね
何故俺達が堺に来ているのかというと
話は数日前の朝に遡る。
数日前の朝
チュンチュンッ♪
剣丞「んーっ!やけに早く目覚めてしまった。だけど特にやることもないし、寝直そっと♪ 」
スッ!
俺が惰眠を貪ろうとしたその時!
ドンッ!!
剣丞「ぐふっ!? 」
寝ようとしている俺の腹の上に何かが飛び乗ってきた。
ここが現代なら鈴々姉さんなんだろうがそんなわけがない
俺は腹の上を見てみると
久遠「剣丞、いつまで寝ているか! 」
何故か俺の腹の上には久遠がいた。
久遠「遠出するからついてまいれ! 」
と言う久遠だが、今の俺に久遠の言葉は入らなかった。
何故ならば…
ちらっ♪
久遠のスカートから白い下着が見えていたからだ。
そして俺は思わず
剣丞「し…しろ 」
と口走ってしまった。
久遠「城?何を言って… 」
?を浮かべる久遠だが、すぐに自分の姿を見てみると
久遠「なっ!?こ…この助平!! 」
バタタッ!!
慌ててスカートを押さえる久遠だが、さっきから久遠が俺の腹の上でバタバタしているため
剣丞「お…重い!? 」
と、つい口走ってしまった瞬間
久遠「わ…我に対して重いとは何事だぁーっ!! 」
剣丞「ぎゃーっ!? 」
ドガバキンッ!!☆ミ
俺は激怒した久遠にボコられるのだった。
読者のみんなも女に対して重いと言うなよ!
その後、俺は剣丞体を引き連れ、久遠と共に堺に向かうことにした。
ちなみにこの事は壬月さん達には内緒にしているため、きっと今頃…
壬月「ちぃっ!!また久遠様に逃げられてしまった! 」
麦穂「まぁまぁ壬月様、剣丞様達もいないのですからきっと同行しているのでしょう 」
壬月「だから心配なのだ!あの儒子め、久遠様に手を出したら殺してやるからな!! 」
てなことになっているに違いない!?
ちなみに俺達が堺に来た目的は南蛮人と貿易するためである。
貿易がうまくいけば鉄砲等が簡単に入手しやすいからね
そして街を回っていると
ひよ子「く…久遠様!? 」
転子「こ…この甘い匂いのする黄色い羊羮のようなものは何ですか!? 」
何かを夢中で見るひよところ
その何かとは
久遠「それは『かすていら』という食べ物だ 」
かすていら(カステラ)であった。
物珍しそうにカステラを見つめる二人だが
この時代、砂糖等の甘いものは将軍等の偉い人しか入手できず、ましてや西洋菓子ならば食べたことがある人は少ないであろう。
久遠「折角だ。路銀はたくさんあるし、よかったら皆で食べてみようではないか 」
というわけで久遠の奢りでカステラを食べてみる俺達
ぱくっ!
そして一口食べてみると
ひよ子「こ…このふわふわした食感、たまりません!? 」
転子「こんなに美味しいものがあっただなんて驚きです!? 」
詩乃「久遠様についてよかったと思います。龍興様のところでは食べられないでしょうから 」
久遠「ん〜っ!!堺に来るたびに食べたくなるな♪ 」
さすがにちょっとオーバーな気もするがこの時代は滅多に甘いものが食べられないから仕方あるまい
剣丞「うめぇ〜♪ 」
かくいう俺も顔が緩んでるんだけどね
久遠「ところで剣丞、お前に聞きたいことがある 」
剣丞「何だ? 」
久遠「南蛮人はどこにいるんだ? 」
剣丞「えっ!? 」
その答えを俺はすぐに出すことができなかった。
カステラのせいですっかり忘れていたがそもそも俺達の目的は南蛮人との貿易である。
だが南蛮人と交渉しなければ貿易なんてできるわけがない
南蛮人に知り合いのいない俺達がやるべきことはまず知り合いに南蛮人がいる人を探すことだった。
剣丞「一番いそうといえば港だろうけど、他でいうと… 」
そして俺の出した答えは
バァンッ!!
教会であった。
剣丞「確か教会は外国からやってきたわけだから知り合いに南蛮人がいる人がいるはずだ 」
という俺の勝手な推測である。
ひよ子「でも随分質素ですね 」
詩乃「この辺りは仏教への信仰が強いからですよ 」
そういえば日本にキリスト教を広めようとした人物がいたけど日本は仏教があるから広めるなって追い返されたことがあったっけ
確かその人の名前はフラ…
久遠「とにかく入るぞ! 」
ギィッ!!
考える俺より先に久遠が扉を開くと
そこには…
スッ!
日の光がステンドグラスを通り
十字架に向かって祈る金髪の女の子がいた。




