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拠点・織田軍の日常その拾壱

『馬鹿達による野望』


語り手視点


これは関ヶ原の戦いが始まる前に起きたもう一つの戦いである。


それは激戦を二日前にしたある日のこと


誰が言ったかは知らないが


『この先、戦いが続くわけだし、いつお風呂に入れるかわからないからお風呂に入りたい!』


と言ったのが切っ掛けとなり


関ヶ原の地理に詳しいものが


『お風呂は無理ですが温泉ならばこの近くにあるそうですよ』


と発言したことにより


かぽんっ!


久遠「ふぅ、いい湯だな♪ 」


久遠達武将は温泉に入っていた。


美空「日頃の疲れが癒されるわ 」


光璃「ごくらく… 」


発言が何だか年寄り臭くなってきている。


日斗美「お風呂じゃ!騒ぐのじゃ!! 」


九朗「姫、他のものもいるのですからお静かに! 」


三矢「酒をもっと寄越さぬか 」


全員ではないが日ノ本連合の武将達が温泉を楽しむなか


一葉「しかし、よいのか久遠よ 」


久遠「何がだ? 」


一葉「主様のことだ。これだけ美女が揃っているなら絶対に覗きに来るぞ 」


確かにそうである


と、剣丞をよく知るものがそう思っていた。


久遠「案ずるな、剣丞のスケベを熟知している我が何も対策をしておらぬと思っているのか 」


そう


実は久遠は対剣丞への策をすでに用意していた。


一方その頃


温泉から少し離れた場所では…


剣丞「諸君らに問う!我々の目的は何だ? 」


足軽達『さーっ!!温泉を覗くことであります! 』


剣丞が義姉さんである沙和ばりの指導をしていた。


剣丞を筆頭に集まった足軽達


その数は軽く一万を越えていた。


剣丞「では諸君らに問う!女の好みはあるか? 」


剣丞が皆に聞くと


足軽A「自分は爆乳が好きです! 」


足軽B「並乳が好みです! 」


足軽C「つるぺた最高です! 」


様々な好みの足軽達


足軽D「ちなみに総大将の好みは? 」


この質問に剣丞は


剣丞「俺の好み、それは全てのおっぱいだ!貧乳、並乳、巨乳、爆乳!全てがサイコォーだ!! 」


と答えた。


前々から思っていたがおっぱいに関しての愛情は伯父である一刀譲りらしい


剣丞「それでは諸君、全裸の女体という桃源郷を目指していくぞ! 」


足軽達『さーっ!!いえっさーっ!! 』


盛り上がる剣丞と足軽達であったが


頼廉「フンッ!覗きを企むなぞ、仏の道に背くと知れ! 」


ただ一人、頼廉だけは参加していなかった。


頼廉「我の目には今は亡き顕如様の裸以外、皆同じに見えるわい 」


ただ単に顕如にしか興味がなかっただけであった。


とりあえず頼廉は置いといて


前回(60話)でも覗きを企んだが散々な目に遭ったにもかかわらず、懲りない剣丞であった。


だが剣丞とて同じ失敗は二度と繰り返さない


剣丞「そこを踏むな!!罠が作動するぞ!! 」


足軽「ひぃっ!? 」


素早く罠を見破り、的確な指示で足軽達を率いていた。


だからといって


足軽「うわぁっ!? 」


全員を救えるはずがなく、数名の足軽が罠の餌食になってしまった。


剣丞「大丈夫か!? 」


罠にかかった足軽を救おうとする剣丞であったが


足軽「に…新田殿、オラのことは気にせず先に進んでけれ! 」


剣丞「お…お前!?わかった。達者でな! 」


足軽の誰もが剣丞を先に進ませようと犠牲になっていき


最初は一万近くいた覗き連合も、久遠達のいる温泉近くに着いた時には数十人へと数が減っていた。


足軽「新田の大将、温泉までもう少しです 」


足軽「散っていった仲間達のためにもおっぱいを見ましょう! 」


剣丞「だな、それ進め! 」


残ったみんなが温泉目掛けて突き進んだその時


?「まさか本当に来るだなんてな 」


?「さすが久遠様ですね 」


温泉の前には最強の門番たる


剣丞「み…壬月さん、麦穂さん!? 」


バァンッ!!


壬月と麦穂がいた。


剣丞「な…何故ここに!? 」


壬月「久遠様がスケベなお前を放置しておくと思ったか 」


麦穂「すべては計算済みだったわけです 」


確かに剣丞が覗きを企むことは付き合いの長い久遠ならばわかって当然である。


壬月「さぁ儒子(こぞう)と足軽達、今から引き返すなら手荒な真似はしないが 」


麦穂「それでも覗きを決行するというのならば覚悟はいいですね 」


剣丞「うぅっ!? 」


ここまで来るのに疲れきった体でこの二人を突破するのはかなり難しい


さすがの剣丞も諦めるしかないと思っていたその時


足軽達『うわぁーっ!! 』


ガシィッ!!


壬月「なっ!? 」


麦穂「何をするんです!? 」


足軽達は壬月達に飛びかかり、動きを封じると


足軽「大将、今です!覗いてください!! 」


足軽「オラ達のことは気にせず早く!! 」


剣丞「お…お前達!? 」


覗き目的のために今回だけ形成されたメンバーでありながら彼らなりに友情を築いていた。


そう。水着姿を見るためだけに龍に戦いを挑む一刀についていった兵士達のように


彼らの犠牲を無駄にしないためにも剣丞は


剣丞「すまない!お前らっ!! 」


ダッ!


足軽達を見ずに温泉へと向かっていった。


壬月「待たんか儒子! 」


麦穂「きゃっ!?どこ触ってるんですか!! 」


足軽達を払おうとする壬月達だが、払っても払ってもまるでゾンビのように甦る足軽達には意味がない


壬月「貴様ら!この力を戦場で役立てんか!! 」


そして遂に…


剣丞「うぉりゃぁーっ!! 」


バッシャーンッ!!


温泉へたどり着いた剣丞は温泉目掛けて飛び込んだ。


そう…


老女「あらお若い方 」


老女「いやぁっ!!垂れパイを見られちゃう 」


剣丞「えっ!? 」


入っているのが老女達ばかりとも知らずに


実はこの温泉


地元では老人に有名な温泉であった。


壬月「かかったな儒子、既に久遠様達は温泉から出ておるわ! 」


麦穂「私達が見張れば久遠様達が入ってると思わせる作戦は完璧でしたね 」


久遠はそこまで計算していたのだった。


老女「爺さんが若い時を思い出しちまうよ 」


老女「ちょっと背中を流しておくれ 」


剣丞「ぎゃあぁーっ!? 」


この日、剣丞は語るのも恐ろしい地獄を目撃したのだった。


一方


久遠「(今頃剣丞はどうしてるか?温泉にいたのが我だけなら共に入ったというのに) 」


と思う久遠であった。


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