第三話 アルとカナ
前回のあらすじ
リカイアにてマガラシャを仲間に、彼は一足先にアライアへ旅立った。
リシェルとロイは次の英雄二人と出会うためミッドエル城下町に到着。
アルバート・ウル・カリナミル、カナリード・ウル・カリナミルの住む家に到着するとそこには少年と少女が住んでいた
リシェルとロイが家の中に入ると、またロイの頭に盥が落ちてきた。
「ぃってー、あのガキども覚えとけよ!」
気を取り直し、二人は二階へ上るための階段を探す。
しかし、一向に階段を見つけられない。
「どうなってんだこの家?」
ロイが頭を抱えている隣でリシェルが何かに気づいたようで、ロイに下がっていろと促す。
リシェルは手のひらに黒い魔力の球を作り、天井へ投げた。
「兄貴!それはっ!?」
ロイが言うよりも早く黒い球は天井に到達し、眩い閃光を放つ。
そして、まわりの空間が歪み、辺りの風景が変わり、ロイの隣に階段が現れた。
「やりましたね兄貴!階段が出てきましたよ!」
ロイは階段が現れると、階段を駆け上がっていった。
少しするとロイのぐはっと言う声とともにロイが大玉に押しつぶされながら階段から落ちてきた。
ロイは暫く動かなかったが不意に大玉を跳ね除け再び階段を上っていった。
どうやらあの大玉はとても軽かったようだ。
そして再び階段から落ちてきた。
今度は数匹の蛇に襲われているようだ。
その上さらに二階から炎を打ち込まれた。
その炎で蛇からは開放されたものの炎の熱さでのた打ち回っている。
そこへ今度は水をかけられ、ずぶ濡れになってしまった。
そんなロイを見て今度はリシェルが階段を上る。
リシェルが上っていると二階から数匹の毒蜘蛛が襲い掛かってくる。
リシェルは先ほど作った黒い球を今度は両手を使い作り出し、それを蜘蛛にぶつけようとする。
しかし、蜘蛛は黒い球をすり抜けリシェルに張り付き、噛み付いた。
リシェルに激痛が走る。
リシェルはすぐに蜘蛛を振り払い先ほどの黒い球を傷口に押し付けた。
だがなんの変化もない。これを見たリシェルは何かに気づいたようだ。そこへ炎が迫る。
迫りくる炎の中、リシェルは目を閉じ階段を上る。
炎はリシェルを包み込んだ。しかしリシェルは階段を上り続けている。熱さを感じていないようだ。
続いて水が襲い掛かる。リシェルは目を閉じているのでそのまま水をかぶる。リシェルもロイと同じくずぶ濡れになってしまった。
しかしリシェルはそのまま歩を進め二階にたどり着いた。
「目を瞑れロイ、最後の水以外は幻覚だ」
それを聞いたロイは目を瞑り階段を上り始めた。
最初と同じく蛇がロイの体にまとわりつき噛み付いていたがやはり痛みを感じないのか平然と階段を上っている。
そして二人は少年、少女のいる部屋の前にたどり着いた。
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「おらガキ共!来てやったぞ!…ぃってー!また盥かよ!」
ロイが勢いよく扉を開くとまた盥が頭上から落ちてきた。
「あははっ、また引っかかった!少しは学習しなよ」
「うふふっ、お兄さん進歩ないね」
二人に小ばかにされたロイは怒り、二人に迫ろうとした。
しかし、それをリシェルが止める。
「さて、君たち、さっきの質問に答えてくれるな?」
「さっきの?…ああ、あれか、答えてもいいけどその前になんで探してるか教えてよ」
「そしたら今度こそちゃんと教えてあげるわ」
子供たちに言われリシェルは旅の目的を二人に教えた。
「なるほどね。英雄を集めて魔族と決着をつける、か」
「面白そうね」
「おい、こっちの情報は渡したぞ。で?アルバート・ウル・カリナミル、カナリード・ウル・カリナミルはどこにいるんだ?」
「それなら目の前にいるじゃん!僕がアルバート・ウル・カリナミル」
彼は『アルバート・ウル・カリナミル』通称『アル』 14歳 身長は150㎝。
蒼の右目と朱の左目を持つ。
英雄としての実績は無い。自称英雄。
噂話に尾がつき7人の英雄の一人に数えられた。
「私がカナリード・ウル・カリナミル」
彼女は『カナリード・ウル・カリナミル』通称『カナ』 14歳 身長は146㎝。
蒼の左目と朱の右目を持つ。
アルバート・ウル・カリナミル同様自称英雄。
此方も噂話に尾がつき7人の英雄の一人に数えられた。
「もちろん僕らも付いていくよ」
「だめだ!お前たちは連れて行かない」
「なんでよロイのお兄ちゃん!私たちも英雄なのよ」
「君たちはまだ若い、この戦いは命を懸ける戦い。そんな戦いに君たちみたいな子供は巻き込めない」
「…わかったよ、でも見送り位はしてもいいだろ、リシェルの兄ちゃん」
「もちろん」
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アルとカナは素直に引き下がり次の英雄を探す旅に出るリシェルとロイを町の外まで見送った。
「よし行ったな、カナ!準備するぞ!すぐに出発だ!」
「うんアル!私たちがあれくらいで諦める訳無いもんね!目指すはアライア!」
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「町の外まで見送ってくれるなんてあの二人なかなかいい所ありますね兄貴。さて次はこの大陸最後の英雄ベクタス・セルシルです。この人はミッドエル王国最北端幻獣の都に住んでるみたいっす」
この小説は4、5ヶ月に一回のペースになっちゃってますね
もう少しがんばらねば
次回の掲載はやはり未定です
気長に待っててください
ではまた次回に!