第一話 二度目の旅の始まり
前回までのあらすじ
数千という魔族の軍勢がアライアに攻め入り、国王の身に危険が迫ったとき、リシェルが国王の危機を救い、単身魔族達と戦い打ち勝つ。
この功績を認められ、リシェルはこの国の英雄として称えられた。
その数ヶ月後…
世界には人間族、精霊族そして魔族が存在する。
魔族は人間族や精霊族を襲い、人間族と精霊族は共に助け合い暮らしていた。
ここはアライアという国のとある城の廊下。ここに国王に呼ばれ謁見の間へ向かう青年の姿があった。
肩までの蒼髪、瞳は黒、服装はこの国の隊長格の人間が着る薄く軽い、それでいて頑丈な鎧を身に着けている。
これが、この青年の容姿だ。
青年が謁見の間へ到着すると一人の兵士に声をかけられた。
「リシェル隊長、陛下がお待ちです。どうぞ中へ。」
兵士が扉を開きリシェルは中に入っていった。
「お呼びですか陛下」
リシェルが謁見の間に入ると、国王は口を開いた。
「待っておったぞリシェル。貴公を呼んだのは次の任務の事だ。」
国王が話し始めると大臣がリシェルの元へ歩いていき一枚の紙を渡した。
「そこに書かれているのは我が軍と魔族共の戦闘状況だ。もどかしいながらも戦力は均衡している。そこでだ、貴公には世界を巡り魔族を倒すための英雄7人を探し出し、連れてきてもらう」
「御意のままに」
リシェルは国王の話しを聴くと、謁見の間をあとにした。
「陛下、リシェルは間に合うでしょうか」
「分からぬ、しかしリシェルを信じる他ない」
ーーーーーーーーーーー
リシェルが謁見の間をあとにした約一時間後、リシェルはアライアの南にある港町『シアン』に来ていた。
アライアのある大陸にはシアンを含め三つ街や村があるだけの小さな大陸で、他の大陸へ行くにはこのシアンの港を使うしかなかった。
シアンの港の船着場に行くと、船長の奥さんに声をかけられた。
「リシェルさんまた遠征なんだってね。お城から連絡は受けてるからどこへでも行きたいところを言っておくれよ!」
「ありがとうございますパラマさん。それではサンカラ大陸へ向かって下さい」
リシェルが船に乗り込むと、船はサンカラ大陸を目指し出航した。
ーーーーーーーーーーー
「リシェル坊主、今回の任務の内容はどんなだ?」
船の上で船長が今回の任務について訊ねてきた。
リシェルは船長に今回の任務の内容を答える。
「なるほどな、国王様は魔族と決着をつけるつもりなんだな。違うのか?まぁそんな事よりリシェル坊主、当てはあるのか?」
「一人だけ、そいつにはもう連絡を入れてるから、スカー・イブルで落ち合うよ」
ーーーーーーーーーーー
船に揺られること約二時間、船はサンカラ大陸の港町『スカー・イブル』に到着した。
「リシェル坊主、頑張ってきな!俺はマクナ大陸に戻るが呼んでくれれば何時でも来るからよ」
「流石に公共の船をそこまで私物化出来ません」
船長とはここで別れ、船着場をあとにした。
そして、リシェルは1人目の英雄と出会うためスカー・イブルを出た。
「リシェルの兄貴!お久しぶりです!」
リシェルがスカー・イブルを出ると1人の青年が声をかけてきた。
オレンジ色の短い髪に黒いバンダナを着け、瞳は紅、鎧は木で出来た鎧を身に着けている。
この青年が1人目の英雄『ニコ・ロイセルス』通称『ロイ』である。
彼は過去に盗賊を生業としていた。
俊敏性があり、戦闘能力も高く主にダガーナイフを使った戦術を得意とし、狙った獲物を逃がさないことから『逃げ場無き狩人』と呼ばれていた。
彼がリシェルと出会ったのはその頃。
リシェルはロイのターゲットにされるもロイを撃退する。
このことから、ロイは自分よりも強いリシェルのことを兄貴と慕うようになった。
そして、時が過ぎ、リシェルと別れたロイは、魔族にさらわれたミッドエル王国の王女をたった1人で救い出したことからミッドエル王国の英雄になり、現在に至る。
「兄貴、残り6人の英雄のこと、調べておきましたよ」
ロイは手帳を取り出し、集めた情報をリシェルに知らせた。
リシェルは手帳を見ると、少しおかしいという表情を見せたが口には出さず、その情報を整理し、各地を巡るルートを決めた。
「そのルートだと最初は、ミッドエル王国のリカイアって街のマガラード・エル・レイシャって奴です。早速向かいましょう!」2人は行き先を決めると、歩き始めた。
ーーーーーーーーーーー
「兄ちゃん達、ちょっと待ちな!ここを通りたかったら有り金全部置いて行ってもらおうか!」
2人がリカイアを目指し歩いていると6人の盗賊に襲われていた。
「大人しく言うことを聞いた方が身のためだぜぇ?なんたって俺達のボスはあの『逃げ場無き狩人』なんだからなぁ」
このセリフを聞いたロイは呆れた顔をし、リシェルは表情を崩さずに立ち止まっている。
盗賊達は微動だにしないリシェルとロイにしびれを切らせるたようで2人に襲いかかってきた。
リシェルは片手で盗賊達を軽くあしらい、ロイは襲い来る盗賊達の攻撃をかわし、後頭部を殴り気絶させている。盗賊達は自分達では太刀打ちできないと悟ると、覚えてろよ!と、捨て台詞を置いて逃げていった。
リシェルとロイはそんな盗賊達には見向きもせずリカイア目指し再び歩き出した。
その後、暫くして先ほどの盗賊達が再び立ちはだかった。
「待ちな、さっきはやられたが今度はそうはいかねぇ。ボスは今いなかったが兄貴を連れてきた!これでお前達は終わりだ!」
「うちの若いモンが世話になったそうだな。どこの誰かは知らな…イ!?」
盗賊達に兄貴と呼ばれていた男は、ロイの顔を見ると血相を変え、頭を下げた。
「部下達が失礼しました!」
盗賊の部下は兄貴の行動の意味を理解できず困惑している。
「馬鹿かお前ら!この方が…」
「あのさ、俺、お前等みたいな部下持った覚えないんだけど?」
「この方が『逃げ場無き狩人』のニコ・ロイセルスさんだ!」
兄貴のこの一言で部下達は一斉にロイに対して土下座をした。
前書きで前回のあらすじなんて言ってますけど前回なんてありません!
あしからず!
さて、そんなこんなで新しく書き始めてしまいました
『現代と未来と異世界と』も『ポケモンオリジナル』も停滞しているにも関わらずに!
しかもこの小説はなんか気分と勢いだけで書いてしまってます
次いつ掲載できるか全く検討がつきません
なので気長に待っていただけたらありがたいです!
それでは次回にまた会いましょう!