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ヤンデレ狼の英雄様に、無理矢理番にされました〜それでは、デスゲームを始めましょうか〜  作者: 井藤 美樹


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満場一致で決まりました

後三話です。


 お披露目会の翌日。


 コーマン国王夫妻たちに多額の賠償金額を記した書簡を持たせて、王都から放り出した。その中に、ユベラーヌはいない。


 その日のうちに、ゼシール国王陛下は、今回の事件を非常に重く捉え、コーマン王国との国交及び交易全てを凍結、一週間後には国境に騎士団を常駐させた。


 そして二か月後、国境に結界を張り巡らせ、完全に国交を断つ旨を他国と自国に向け宣言したのである。


 それに並行して、コーマン王国に在留している、ゼシール王国籍を持つ者全てに帰国を促すよう行動を開始。猶予期間内に撤退し戻らなければ、コーマン王国に取り残されることになる。


 なるべくしてなった結果だと思う。


 自業自得の結果だとも思う。でも……胸の奥に鈍い痛みを感じた。その理由は容易に想像出来る。


 凍結されれば、これから先、スタンピードが起きたとしても我が国からは、騎士団を派遣する事はない。もし、壊滅的損害を受けたとしても、食料及び人を派遣する事はない。飢饉にしても同じ。他国に救援を頼んでも、好んで手を貸す国はないと思う。ゼシール王国はそれ程の影響力がある国だから。もし手を貸したとしても、多額の金を(むし)り取られるでしょうね。


 軍事国家まで引き上げたユベラーヌもいない。財力もない。正直、国を維持するのは難しいと思う。


 完全に、コーマン王国は詰んだ。


 待っている未来は、暗いものしかない。現王太子が国王に就任しても、放り出した国王が退かなくても、未来は同じ。早いか遅いかだけ。


「……ユリシア……貴女が心を痛めているのは、コーマン王国の民ね」


 いつもと同じように資料の整理をしていると、スノア王女殿下にいきなりそう訊かた。驚きながらも、私は小さく頷いた。


 これから先、コーマン王国の民は多大なる苦難が待っている、その中で、まず最初に犠牲になるのは、力なき平民だ。(しわ)寄せが一番来るのも、また平民なの。


 それが、この世界の嫌な一面。


 身分制度の弊害――


「それは、ユリシアが気にする事ではないわ。言い方が悪いけど、運がなかったとしか言えないわね。冷たいって思う? でも、そう思わなければ、貴族や王族はやっていけないわ……王族は、その国で一番力があって尊い存在なの。そして、一番、強くあらねばいけない存在でもある。虚勢だったとしても、背筋を伸ばし、前を向いて、張り続けなければならない。分かるわね、ユリシア」


 スノア王女殿下にそう説かれ、私はハッとし顔を上げる。そして、また小さく頷く。


「分かれば宜しい」


 優しい笑顔を見せるスノア王女殿下。


「……ありがとうございます、スノアお姉様。割り切る事は、今は難しいかもしれません。一生、無理かもしれません。それでも、前を向き、背筋は伸ばそうと思います」


 その辛さを背負うのが、王族なのだと改めて知った。


「それでいいわ。でも、辛くなったら、ちゃんと家族を頼るのよ、いい」


「……はい」


 家族とはっきりと言ってくれて、とても嬉しかった。だから、それが素直に顔に出ていたと思う。「えっ」と声が出る前に、スノア王女殿下に抱き締められていた。


「ほんと、私の妹は可愛過ぎますわ!!」


「スノアお姉様は、優しくて、とても頼もしいお姉様ですわ」


 じゃれている私たちの横で、本来の部屋の主である生徒会長と副会長は、相変わらず空気になっていた。


(極秘の話を、いち生徒会室でしているのだから、しょうがないよね)


 これでも、内心悪い事してるなって思ってる。


「……だけど、あの自己中傲慢女は、それで済まさないわ」


 耳元で、スノア王女殿下の低い声がした。

 

「それは大丈夫ですよ。カイナル様が、絶対我が国の法にで裁くと言っていましたし、既に、ユベラーヌは王族ではありません」


 そう答えると、少し離れた場所から小さな悲鳴が聞こえた。スノア王女殿下も、ニヤリと笑う。


「剥奪しないと戦争だって言ったら、速攻剥奪されたわ。貴族牢から平民牢に移されたって聞いたけど……法で裁くのなら、間違いなく裁判が行われるわね。公開裁判なのかしら? 確かめないといけないわね」


 それからの、スノア王女殿下の行動は早かったよ。早退して王宮に戻った。当然、私を引っ張ってね。


 結果は、確かめるまでもなかったよ。


 満場一致で、【公開裁判】に決定した。一週間後に行われるそうです。


(この一週間っていうのが、中々重要よね……ユベラーヌに耐えれるかな)


 待っているのは、厳しい尋問。


 禁術を使っただけでも即アウトなのに、ユベラーヌには余罪がゴロゴロ、これでもかって程にある。殺人未遂と恐喝だけで重罪なんだけどね。それだけの罪を犯しているのに、尋問が優しいわけないわ。それはそれは、厳しいものになるでしょうね。


 ゼシール王国は法治国家。


 極刑が確定されているデキレースでも、ちゃんと裁判をしなければならない。それに、他国にも知らしめる必要があるしね。我が国で犯罪を犯すとどうなるのかを。当然、その末路もね。


(でも、そう簡単に極刑を言い渡さないような気がするのは、私の思い過ごしかな……)


 帰りの馬車の中で、やけにご機嫌なカイナル様を見て、ふと、そんな考えが頭を過った。




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