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ヤンデレ狼の英雄様に、無理矢理番にされました〜それでは、デスゲームを始めましょうか〜  作者: 井藤 美樹


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一番平民という言葉に固執していたのは、たぶん私ね


 リアお姉様は近衛騎士に指示をし、放心状態のユベラーヌを無理矢理立たせ連れて行く。どうやら、ユベラーヌの身体検査は、リアお姉様が自らするみたい。


(目の焦点合ってなかったわね……死の恐怖ってやつを、骨の髄から味わったからね〜)


 ガチギレ状態のカイナル様の目を、まともに見たのだからしょうがないわ。あれは、マジでトラウマものだからね……これから先、小さな物音にも身を(すく)ませたり、悪夢で夜寝れなくなるんじゃないかな。気を失わなかっただけ、凄いとほんとに思うよ。かなり危ない性格だったけど、ユベラーヌの実力はまぎれもなく本物だった。


「……ほんと、勿体(もったい)ない」


 つい、ポロリと本音が漏れる。


 叩き潰した相手だからこそ分かる。元侯爵家の件と手紙の件がなければ、私は叩き潰せなかった。


 ユベラーヌは、ただのお気楽トンボな王女様じゃない。並々ならぬ努力をしたと思うよ。やり方はどうであれ、小国だったコーマン王国を、軍事国家に引き上げた手腕はユベラーヌだし、感服ものだよ。だからこそ、心底勿体ないと思ったの。


 そして、必死で築き上げてきた物を、ユベラーヌは躊躇(ためら)う事なく捨て去った。いや、踏み台にしたと言った方がいいわね。カイナル様を手に入れるためだけに。ユベラーヌなりに本気だった。


 私に「それが出来るか」と訊かれたら、「出来ない」と答えるわね。


 私はそれでいいと思う。そうでなければならないとも思う。私はとても欲張りだから、一つだけなんて選べない。色んな大好きが、私の周囲にあるの。国を踏み台にしてでしか手に入れられないのなら、他の方法を考え、使い、カイナル様を手に入れてみせる。


(ユベラーヌ、貴女はきっと……そんな私を覚悟がない半端者って(ののし)るでしょうね)


 ユベラーヌ、貴方の敗因は、私を平民だと(あなど)っていた事よ。平民は力なく馬鹿だと、偏見に満ちた目で見ていた。多少知恵は付いても、それだけだと考えていた。最後まで、その考えを改めなかった。でもね、刃を向けられたら、平民でも防御し反撃するのよ。それに、刃を向けたなら、刺される覚悟をしないといけなかったわね、ユベラーヌ。


 扉に視線を向けながら、私はそんな事を考えていた。カイナル様は私の肩を優しく抱き寄せる。


 「シアが気にする事じゃない。本当に、私のシアは優しくて可愛いな。それに、とても強い」


 カイナル様は満面な笑みを浮かべると、いつものようにヒョイっと私を片腕で抱き上げる。この状態だと、無理しなくても視線が合うの。


 私はカイナル様の頬に手を添えると告げた。


「私はセジール王国第二王女である前に、貴方の運命の番ですから、常に強くあろうと努力していますの。護られるだけの番は嫌ですから」


 一番、平民だって事に固執しているのは、たぶん私。王族の籍に入っても、それは変わらない。


 だからこそ、私は知識を身に付け、常に考える。考える事を止めない。だって、私が戦える武器ってそれしかないでしょ。身体能力も魔力も、人族は亜人族に負けるもの。なら、少しでも戦える武器は自分の頭しかないじゃない。それに、一度叩き込んだ知識は簡単に忘れはしないわ。今回は、その集大成かな。


「私のシアが、健気で可愛過ぎる。だがな、あまり無茶をしないでくれ」


 カイナル様は切実な様子で嘆願してくる。


「私が無茶をするのは、カイナル様が傍にいてくれるから出来るのです。何があっても、私を護ってくれるでしょ」


「あぁ、何があっても、シアを護り通してみせる」


(いつの間にか、私の隣にカイナル様がいる事が当たり前になったよね)


 まぁ、七年近くも絆され続けたらそうなるよね。反対に、そうならないと罪悪感が湧くっていうか……ようは、上手いこと転がされたって事なのかな。少し悔しい。


 だから、カイナル様が一番欲しい言葉は絶対に言わないの。近い事は言ってあげるけどね。


「お〜い、そろそろ現実に戻って来い。ユリシア、カイナル、パーティーの続きを始めるぞ」


 呆れた国王陛下の声に、止まっていたパーティー会場の時間が動き始めた。


 若干、招待客たちに遠巻きにされたけど、私のお披露目とカイナル様との婚約発表は無事に終わったわ。取り敢えず、山場は乗り越えたよね。


 



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― 新着の感想 ―
題のところ”たぶん私ね”がたふんになってます。
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