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ヤンデレ狼の英雄様に、無理矢理番にされました〜それでは、デスゲームを始めましょうか〜  作者: 井藤 美樹


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私が望んだ最良の結末


 大勢の賓客の前で、私は自分の手で鑑定の魔法紙を使用しなかった。ほぼ空気化していたアジル殿下に頼んだからだ。当事者だとまた難癖付けられる可能性があるからね。


 判定は、当然同一の魔力だった。


 近衛騎士がユベラーヌを捕らえようとしたのを、私は片手で制止させた。退場はまだ早い。


「コーマン王女殿下、これが物的証拠ですわ。貴女は、ゼシール王国第二王女であるこの私に、【隷属】と【精神関与】の魔法を掛け、殺そうとした。因みに、これは余談なのですが、この魔法が作られた背景をご存知ですか?」


 真っ青を通り越し、真っ白な顔色で言葉も失い、膝から崩れ落ちるユベラーヌを見下ろしながら、私は問い掛けた。


(悪いけど、ユベラーヌ、貴女には見せしめになってもうわ。これ以上、私やカイナル様の周りを飛ぶ虫の対処は面倒くさいから)


 返事は期待していなかったけど、歯軋りで答えてくれるなんて思わなかった。すっごく、気分がいい。


「前にもいたのですよ、運命の番に横恋慕する困った方がね。コーマン王女殿下のように、何度も何度も、色々な策を練り仕掛けていたそうですわ。でも、二人は負けなかった。そこで、等々禁術に手を出したそうです」


 私は扇をたたみ、先をユベラーヌの顎の下に添えた。そして、無理矢理顔を上げさせた。冷笑をしながら話を続ける。


「今、貴女が私にしようとした、【魂の入れ替え】ですわ。【隷属】させた私をパーティー会場から連れ出し、禁術を行使する。そして貴女は、カイナル様の運命の番に成り代わろうとした。この場で、散々醜態を見せたのは、入れ替わった私に対しての悪意ですよね」


「知ったふうな口を!! 平――」


 決まりきった台詞を何度も聞くのは嫌なので、ユベラーヌが言い終わらないうちに被せてやった。


「既に、押収済みですよ、コーマン王女殿下。ついでに、貴女のお友だちも」


 現実を教えてあげてから、扇を外した。


「話を戻しますが、入れ替わった所で、運命の番には全く通用しなかったそうですよ。彼は惑わされる事なく、瞬時に偽物だと判断しました。しかし、周囲は違った。亜人族は見た目もそうですが、匂いや声を判断基準にしますよね、そこが盲点だったのです」


 私は冷たい目で、呆然と座り込んでしまったユベラーヌを見下ろし続けた。


「誰も、彼の話を聞かない。そりゃあそうですよね。声や匂い、何もかもが同じなのですから……運命の番を取り戻すために、追い詰められた彼が心血を注いで完成させたのが、この魔法です。まさか後世において、再び使われるとは……どこの時代にもいるのですね、困った方が」


 少し行儀が悪いですが、溜め息を軽く吐く。


 運命の番を引き離そうと考えるな――


「そうそう、証拠ですね。媒介の品は別として、ご存知ですか? 禁術を用いた者の身体に紋が現れる事を。後程、女性騎士に身体の隅々まで調べさせてもらいます。因みにそれも、彼の功績ですわ。余程、腸が煮えくり返ったのでしょうね。よく、分かります」


 幸いにも、この魔法を残した彼の魔術の才能がずば抜けて突出して、神童として名を(とどろ)かせていた人物だからこそ、この魔法を開発する事が出来た。


 カイナル様も同じ道を選んでくれたと信じてる。それ程、カイナル様は私に執着してるからね。


「……私の身体を調べるだと…………無礼な!! 私はコーマン王国の王女だと知っての事か!!」


(いや、知ってるし、今更だし)


 だから、それがどうしたの。まさか、恐れをなして、追及の手を止めるとか思ってない? あり得ない話なんだけど。ほとほと呆れながら、私は終止符をうつ事にした。


「繰り返さなくても、よく存じていますよ……ところで、コーマン王女殿下、私は今は平民ではありませんわ。セジール王国の第二王女です。貴女が王族であっても、我が国で起こした禁術の使用、殺人未遂の件を見過ごす事は出来ません。王族、平民問わず。徹底的に調べますよ。安心して下さい、地下牢ではなく、貴族牢にて、その身柄を拘束させてもらいますわ」


 言い終わると同時に、近衛兵たちがコーマン王女殿下を取り囲む。そして、魔力封じの手錠の手錠をかせられた。


「ユリシア王女殿下、酷いですよ。折角、外で今か今かと待っておりましたのに」


 リアお姉様がプリプリと怒りながら歩いて来た。そして指を鳴らすと、ユベラーヌの身体が一瞬光る。


「リアお姉様?」


「念のために、スキルも封じておくわ。カイナル、私の方はあらかた狩り終えたわよ」


 この際だから、我が国にいるユベラーヌの信奉者も一緒に炙り出す事にしたの。  


「あらかた?」


 そう尋ねるカイナル様の声が、とてもとても低い。


(あ〜この会場にいるゲストたちの中にもいるからね、ユベラーヌと懇意にしていた人。今回、手を貸したかは分かんないけど)


「後はカイナル、貴方がしなさい。というか、したくてたまらないのでしょ」


 リアお姉様がそう言うと、それはそれは、カイナル様はとても良い笑顔を見せてくれた。


(怖い怖い)


 目が全く笑ってないよ。それどころか、暗過ぎる。完全に闇落ちした目だよね。それを真下から諸に見たユベラーヌは、ガクガクと震えていた。まぁ、そうなるよね……完全に怒らせたもの。それに、爆発寸前まで我慢していたから苛々もピーク過ぎてるし、しょうがないよね。


(……死ななければいいかな)


 でもこれで、私に対する評価は大きく変わるでしょうね。ただの平民が、一国の王女を完膚無きまでに打ち負かす。それも、小国ながらも、軍事国家までに引き上げたユベラーヌを相手に。


 誰もが、予想だにしなかった結末――


 これは、私が望んだ最良の結末だった。




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