表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヤンデレ狼の英雄様に、無理矢理番にされました〜それでは、デスゲームを始めましょうか〜  作者: 井藤 美樹


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

61/71

さぁ、最終決戦といきますか


「真ん中で放置って、中々やるな」


 報告を受けて、カイナル様が愉快そうに笑いながら言った。


「自己中心の塊のような方ですからね、そこを配慮したのでしょう」


 答える私も、ニコニコ出来たら良かったのだけど……緊張して、上手く笑えない。でも、頭は不思議と混乱していなかった。変な感覚。


(中央なら、人の目があるから、下手な事はできないよね)


 それに、リアお姉様の部下と暗部が、パーティー会場を警護のために、来賓と執事や侍女に(ふん)して忍び込んでいた。


 それにしても、ほんと、ゴルディー公爵家で働く者は優秀だよね。主の意図を正確に読むんだから。ちゃんと、パーティー会場のど真ん中に、ユベラーヌを置いて来たんだから。それも、名前を呼ばれないままの入場だからね、かなり目立っている筈よ、


 ましてや、ゼシール王国の高位貴族だけでなく、他国の来賓の方々も大勢いる中での放置。


 カイナル様やリアお姉様には及ばないけど、それなりに顔を知られてるから、顔見知りも多いよね。だから、一人の入場だけど寂しくはないでしょ。


 因みに、友好関係を正式に解消されているコーマン国王夫妻は参加していない。ゼシール王国に入国している事は、皆に知られているのにね。そもそも、コーマン王国に招待状を送ってはいない。なのに、参加しているのはユベラーヌだけ。だって、謝罪のための入国した人たちに祝ってほしくはないでしょう。


 とはいえ、飛び入り参加だから、ユベラーヌの扱いは、貴族や他国の王族に対するものではなかった。あの自己中女なら、その意味が容易に分かると思う。当然、他国の来賓の方々もね。


 そして、彼らは思い出す。


 囁かれている噂の数々を――


 コーマン王国の王女が、愛の女神レーシア様の生誕を祝う聖なる日に出会った運命の番を、あらゆる手を使い引き裂こうと画策した。その……あまりにも度を越した行いのせいで、ゼシール王国は怒り友好国を解消、ユベラーヌは永久に入国拒否されたと。


 噂が事実だと、この場にいる大半は知っている。その上で、今回の出来事。


 違法入国、懲りずにまた引き裂こうと画策した事を知り、直ぐに国に報告すべく動くよね。


 例え、パーティー会場内に、ユベラーヌの友人がいたとしても、コーマン王国と同じ泥舟に乗る物好きはいないでしょう。自国にそれなりのダメージを負わせることになるのだから。自国、他国関係なく、普通に住めなくなるよね。


 ここまでは、辛うじて一般的な考え方かな。信奉者がどうかは正直分からない。ユベラーヌに感化されて、視野がかなり狭くなっているかもしれないからね。妙な正義感を振り回されたら、とても厄介。なら、最悪を想定して動けばいいだけ。


(ゼシール王国を舐め過ぎ)


 それらを踏まえて、入国拒否されている者が、何故この場にいるのか――


 普通、疑問に思うよね。でも、コーマン王女殿下が荷物のように運ばれ放置、国王夫妻の不参加、理由は分からなくても、相当な事を仕出かしたくらいは容易に想像出来るわ。


(ユベラーヌ、貴女はこの圧倒的不利な状況を(くつがえ)す事が出来るかしら)


 貴賓室の様子から見て、あの自己中女は間違いなく何かを隠し持ってる。それが上手く作用すれば、自分自身を投げうってでも、この圧倒的不利な状況を覆せると信じてる。


 だから、私は貴女を特別にパーティーに参加させてあげたのよ。全てを打ち砕くためにね。入場が楽しみ。私の緊張を解してくれて心から感謝するわ。


(ねぇ、熱心な信奉者がいる貴女が、このパーティー会場でどれほど輝けるのか、果ては惨めに堕ちて行くのか、この目でしっかりと確かめないといけないわね)


 これでも、私はユベラーヌ、貴女を認めているのよ。自己中心的で、自分は選ばれた存在だって心から信じ、そのカリスマ性とそれを維持するために努力を積み重ねた事をね。貴女を嫌う人は多い。でも、それは言い換えれば、相手の記憶に鮮明に残るものがあるからよ。それに、貴女が上辺(うわべ)だけのメッキなら、ここまでする信奉者はいないわ。


 その知性と顔とカリスマは本物。


 そんな貴女が、なりふり構わず、私の大切なものを奪いに来た。なら私も本気で、なりふり構わず、今持ってるもの全部使って貴女を退ける。


「楽しそうだな、シア。もうすぐ、俺たちの出番だ。準備はいいか?」


 重厚な扉の前に立つ私とカイナル様。カイナル様が私だけに見せる甘い顔と声で、私に(ささや)き掛ける。


「はい、大丈夫です」


 私はにっこりと微笑む。でも、(まと)う雰囲気は声と表情とはまるで違っていた。私以外の誰もが気付く程に。


「シア?」


「カイナル様も、とても楽しそうですよ」


 今から狩りに出るみたい。


 たぶん、リアお姉様の尻尾もカイナル様と同様に揺れているでしょうね。私も尻尾があったら、絶対揺れてるわ。


「宜しいでしょうか?」


 扉の脇に立つ近衛騎士が、私とカイナル様に時間が来たと教えてくれた。私は軽く深呼吸をしてから頷く。


 さぁ、最終決戦といきますか。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ