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ヤンデレ狼の英雄様に、無理矢理番にされました〜それでは、デスゲームを始めましょうか〜  作者: 井藤 美樹


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煙で燻り出せばいいだけです


 私やカイナル様が直に動くと、ユベラーヌに更に警戒される危険性がある。


 コーマン王国関係者を捕縛した時点で、ユベラーヌは自分が侵入している事に気付かれた事を知った。でもそれは、十分予測していた範囲内だと思う。もしくは、計画の前段階だったのかもしれない。大物を捕まえさせて、油断させるとか……そうなると、私たちが動くのは悪手。


 なら、油断している風を装えばいい。王城の何処に身を隠しているか分からない以上、私たちは攻めでなく受け身の形を取るのが得策。


 私たちが動けないのなら、報告と伝言係はリアお姉様しかいない。お披露目会の警護の総責任者だし、私とカイナル様の関係者だもの。一番適しているのは、リアお姉様になるよね。


 元平民の私のお披露目会とはいえ、他国の方々を招いた公式の場。それを荒らす事になる可能性が高いなら、きちんと報告を上げ、許可を取る必要があるでしょ。すり合わせをしとかないとね。以前、噂話で聞いたのだけど、他国で、高位貴族が公の場で勝手に婚約破棄を宣言して、後に廃嫡、鉱山行きになった話を聞いたから特にね。


「それとなく、報告しとくわ」


「ありがとうございます、リアお姉様」


 私も笑顔で答える。たふん、目は笑ってないと思うけど。


 既にコーマン王国が、我が国に対して攻撃と思われる問題を起こしたのは明白。言わば、殺傷能力が低い三流のスパイを潜り込ませたくらいで捉えておけばいい。


 彼らの目的は、暗殺ではなく信用の失墜。


(そう、捉えられてもおかしくない)


 第二王女の番を奪おうとしているのだから。成功すれば、最悪、ゼシール王国が悪者になるよう誘導する事も可能でしょ。亜人族、人族関係なく、悲恋は格好のネタになる。有名人同士なら特にね。どのみち、コーマン王国は友好国ではないし、国交断絶、もしくは制限されるなら遠慮はいらない。


 先に喧嘩を売ったのは、コーマン王国。私たちは、自国の矜持を護るだけ。


「最悪な事に、あの女の信仰者が王城内にもいたわ」


 忌々しそうに、リアお姉様が吐き捨てる。


「それは、容易に想像出来ました。なので、リアお姉様に伝言をお願いしました。信仰者がいないと、この計画は無理ですからね。他国の関係者に紛れ込んでる可能性もありますし。それに、コーマン国王が捕まって以後も発見出来ないとなると尚更です。正直、お披露目会が始まる前に捕らえる事が出来たらいいのですが、今の状態なら難しいでしょう」


 言っちゃあ悪いけど、かなりの高難度のミッションだと思う。


 ユベラーヌの信仰者が、どれだけの数いるのか把握出来ないからね。捕縛しているのは、コーマン王国側全員。それだけ。


 それに、我が国の信仰者もだけど、下手したら、他国にもいるかもしれない。つまり、招待客の中にね。そうなると、明確な証拠がない限り外交問題に発展する可能性が高いので、迂闊(うかつ)に手を伸ばす事は出来ない。


(ほんと、嫌な所を突いてくる。これが全て計算なら、相手は化け物クラスよ)


「確かにね……こちら側は、完全に後手に回ってる。確実に誘き寄せれるものがないと、難しいわ」


 忌々しそうに、リアお姉様が言った。


 相手は亜人族。匂いの消し方、魔力を封じる方法も長けている。個人を追うのは難しい。それに、ユベラーヌは禁忌魔法にも精通しているわ。


 餌に喰らいついてもらわないと、この作戦は不発に終わる。確実に息の根を止める程の餌を撒かないといけないわね。


「ならば、やることは一つですよ、リアお姉様。確実にネズミが巣穴から出て来るように、より多くの(わら)に火を点け、煙で燻せばいいだけ。でもその前に、多くの藁を用意しなければ。まずは、今日一日、私とカイナル様が仲が良い所を見せ付けましょう。そして、明日のお披露目会前に、更によく燃える藁を用意します」


 巣穴は王城。


 沢山の藁は、撒き餌。


 私とカイナル様が囮になることは決定済み。これが、撒き餌の一つ目。仲が良い所を見せ付ければ、神経を逆撫でする事は十分に出来る。まぁそこら辺は、カイナル様が地を出してくれれば問題なし。


(でも、それだけだと弱い。追加の藁を考えないと)


 私もリアお姉様を真似して、意識的に黒い笑みを浮かべてみた。上手く出来たかな? ずっと空気だった、アジル殿下とスノア王女殿下がすっごく引いてるよ。という事は、上手く出来たみたい。


「さ、さすが、幼少期からの英才教育、完全に染まってるね……」


「まぁ……それくらいじゃないと、ゴルディー公爵家の一員になれない事を再確認したわ」


 アジル殿下とスノア王女殿下が、小さな声でボソボソと言い合っている。ちゃんと、聞こえているからね。でも、ちょっと嬉しい。嫌な気持ちが少しだけ晴れたよ。


「確かに、私はカイナル様の番ですけど、その前に、アジルお兄様とスノアお姉様の親友であり、妹ですわ」


 にっこりと微笑んでそう言うと、二人とも口元を押さえてワナワナと震え出した。


(えっ、気分でも悪いの?)


 大丈夫か訊こうとしたら、両殿下が仲良くハモる。


「「尊い!!」」


(何が?)


 偶に、理解出来ない反応するんだよね。首を傾げていると、何故か、リアお姉様も同じ反応をしていた。


 反対にカイナル様は、小さな溜め息を吐くと、私の肩に額を擦り付けてきた。何か面白くない事がある時によくする感じに似てる。


(私、何かした?)


 誰か、説明してくれないかな、お願い。亜人族の壺って、ほんとよく分からない。まぁそこが、面白いのだけど。




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